これはクラブ桜花出張版です。
薄桜鬼の完全二次小説となりますので、苦手な方は脱出してください
。
なおねぇの シロツメクサをアナタに…
の後のお話です。
土方さんの過去のお話は、なおねぇの 義を見て為さざるは 勇なきなり ① 全3話をどうぞ。

![]()
![]()

![]()
![]()

![]()
![]()

![]()
![]()

![]()
![]()
部屋に着くなり玄関をロックして鞄をベッドに放り投げる。
「ちくしょう…総司の奴…」
生意気な総司の声がまだ耳に残っている。
『やだなぁ、クスクス…コロボックルちゃんには渡してませんよ。こんなもの渡したらショック死するかもね…あ…妖精の世界にはないか…これ…』
鞄の中から忌々しい『これ』を取り出す。
見れば見るほど怒りがこみ上げてくる。
「そんなんじゃねぇんだよ…アイツは…」
何箱もあるコンドームを机の引き出しの奥に放り込む。
「あいつだって…てんでガキじゃねぇんだ。これが何かくらい知ってるだろうが!!」
引き出しを閉めた拍子に机の上にあったフォトフレームが倒れた。
棄てる事も忘れる事も出来ず、目を逸らすように背を向けた写真。
あれからどのくらい経ったのだろう。
あの時、俺はたった二人の女を救えなかった。
心の傷を負いながらも愛する人の傍で生きる明里。
廃人寸前のところから、幸せな記憶だけを持って病院で一人生きるみちる。
あの時の、暴れながら病院に収容されるみちるの叫び声が、まるで呪いの言葉のように脳裏から離れない。
忘れられない。
いや…忘れる事など出来ない。
そっとフォトフレームを手にする。
俺の傍で無邪気に笑うみちるがそこにいた。
自分の名を呼ぶ声も、ケンカして泣きながら怒る声も、もう聞くことは出来ないのだろう。
あの柔らかな身体を抱く事など、もう叶わない。
俺がすべて壊した。
俺がすべて失わせた。
俺の手ですべてを失くしてしまった。
「みちる…俺は…」
フォトフレームをそっと机に置き、見えないように裏返す。
ベッドに倒れこむと同時に携帯電話がなった。
「姉貴からか…」
用件はわかりきっていた。
「どうせ見合いの話か嫁の話だろ」
そのまま無視して目を瞑る。
「今の俺は女に溺れるわけには…いかねぇ…。あいつへの…復讐…を…果たす…までは…」
俺はそのまま深い眠りについた。
翌日は『夜』の桜花の営業日のはずだった。
しかし照明器具に不具合が発生し、修理が終わるまで『夜』の仕事はしばらく休業となった。
(この機会に『裏』の仕事を詰めとかねぇとな)
CD-ROMを数枚鞄に詰め込む。
「土方君。君はずいぶんと仕事熱心だね」
山南さんがニコニコと声をかける。
「家でまで仕事をするな…というのは、今の君に言っても無駄だね。いえ、咎めるつもりはないんだよ。今日は急に『夜』の仕事はなくなった。『昼』の仕事の後片付けの人数は足りているから、君は早めに上がりたまえ」
「山南さん、アンタこそ家で家族が待ってるんだ」
「いえね…土方君にお客様が来ているんだよ。今日は雨だ。お客様を家まで送って、君も家に帰るといい」
指差す方を見るとethlinが店内にいた。
「永倉君が配達の途中で拾ってきたらしい。こんな雨の日に一人で帰すのは危険でしょう」
「山南さん…悪いな…」
「謝る事はありませんよ。あの子といれば君は笑う。あの子も君といる時が一番楽しそうだ。ただ…それだけですよ」
そう言って俺の鞄からCD-ROMを数枚取り出す。
「閉店まで時間がありますからね。これだけは私が引き受けましょう。あとは土方君の得意分野のものばかりだね…おや…」
「どうした山南さん?」
鞄の中のCD-ROMを確認していた山南さんが鞄の中を見て何か呟いている。
「あぁ…なんでもありませんよ。それでも君に多くの仕事を持ち帰らせてしまうなと…ふふっ…まぁ…仕事好きの君にはいいかもしれませんね。さぁ、お客様がお待ちかねですよ。早く声をかけてあげないと、痺れを切らして森に帰ってしまうかもしれません」
「ここには森に負けねぇくらい綺麗な花がたくさんあるんだ。簡単に帰らねぇよ」
俺はCD-ROMを確認して鞄を閉じる。
「山南さんも無理せず早く帰れよ。明里の事だから、飯も食わねぇで待ってるんだろ?」
山南さんの肩を叩き、店へ出る。
「おやおや…土方君も早く気がつくといいですね…いや…気がついているのかな?」
「なんか言ったか?」
「いえ…一人ごとですよ。お気になさらず」
相変わらずの笑顔に何か引っかかったが、気にせずethlinの元へ急いだ。