前回ブログネタで書いたの Gloves の別バージョンです。
このお話は、斎藤さん大好きな、なおねぇとゆすらさんの捧げます。
Gloves 2 
春一番が吹いて、春ももうすぐ・・といった天気から一転、今日は冷え込みが激しい。
生徒会長である斎藤先輩の手伝いを終え玄関を出ると、空には星がまたたいている。
はぁっと息を吐くと、暗闇に白い息が立ち上った。
「ずいぶん冷えるな」
「桜が一気に咲き出してしまうかと思うくらい、いい天気が続きましたよね」
「そうだな。卒業式の頃には、また暖かくなるのだろうな」
卒業式か・・・。
「来年は斎藤先輩が卒業ですね」
「まだ1年後の話だ・・・。あまり先の話をすると鬼が笑うぞ」
そういって私の額を軽く小突いた斎藤先輩の指が冷たすぎて、思わず悲鳴に近い声を上げる。
「ひゃぁ~。斎藤先輩の手・・・冷たすぎです」
「そうか・・・すまなかった」
斎藤先輩は慌てて、コートのポケットに手を入れた。
「斎藤先輩、よかったら片方だけでも、手袋はめませんか?」
そう言って左手の手袋を脱いで差し出した。
「片一方でも、結構温かいですよ」
手袋の無くなった左手は、あっという間に体温を失ってしまう。
右手に手袋をはめた斎藤先輩は、私を一瞥して呟いた。
「雪村・・・手袋をはめてない手を・・・」
「はい?」
素直に手を出すと、大きな手で握りしめられ、斎藤先輩のコートのポケットに押し込められた。
急に距離が縮まり、斎藤先輩の顔が近くなる。
「こうすれば・・・手袋の無い方の手も温かい・・・と思う・・・」
「はっ・・・はい・・・」
恥ずかしさで俯いた私の鼻先に、冷たいモノが触れた。
「あっ・・・雪・・・」
空からはチラチラと雪が舞い降りてきた。
「今年最後の雪かもしれないな」
「この雪がやんだら・・・きっと・・・もうすぐ春ですね」
「そうだな・・・」
そう言って優しく笑う貴方の傍で春を待つ、今年最後の冬の出来事。