という訳で年末年始の連休恒例(?)の「超大作を映画館で観よう」を実行した。

 

 

急に寒くなってきたのでその寒さに震えながらも自転車を駆ってユナイテッドシネマとしまえんへ行って、初登場3位に甘んじてしまった「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」をIMAXの3Dで観た。

 

 

今回は重要なシーンは通常の24コマから48コマに倍増されるHFR、ハイ・フレーム・レートが採用されていて、それも含めてジェームズ・キャメロン渾身の13年ぶりの続編はさて、いかに...

 

 

もうまさに圧巻の映像、時折切り替わるHFRのヌメヌメ感は確かに噂通りヌメヌメしてて最初は違和感があったけど、慣れてくるとより没入感があって、初体験だったけどなるほどこれも圧巻の映像に充分寄与していることも理解できた。

 

 

でも肝心の物語は...映像の素晴らしさで3時間12分は全く飽きさせないとは思ったけれど、お話そのものは結局前作で滓のように残っていたとあるキャラの「怨恨」にまつわるイタチごっこに終始してて、ジェイク・サリーとネイティリが結ばれて家族の物語にシフトしてはいるけど、それも何だか古臭い家父長制に縛れたようなどこか前時代的な人間関係描写だし、新たに出てきた海の種族との関係形成は前作の人類とナヴィの対立と共生の狭間で葛藤するというパターンとほぼ同じ、で結局は更なる続編もまたイタチごっこを見せられる予感しかなくて、うーん、正直言ってもうちょっと期待してたんだけどな。

 

しかも前作でかなり重要な位置を占めていたネイティリの描き方が、なぜか今回はほとんど前に出てくることがなく、先ほども言ったような軍隊上がりのジェイク・サリーから駄々洩れの男根主義が邪魔をして、せっかく色々描けたであろう家族の物語が古い家父長制に埋没してしまっていたことが残念で仕方がない。

 

ひょっとしたら私ごときが宣う程度のいちゃもんなんぞキャメロンは織り込み済みで、故意に物語を簡素化して映像に浸る「余地」を与えてたのかも知れないし、それこそ家父長制駄々洩れ家族をあえて描いたのも第3作以降で物語をより深化さえるための「前振り」なのかも知れない。

 

何せ構想としては5作目まであるそうだし、これまでいい意味で世界を裏切ってきたジェームズ・キャメロンのことだから、やはり「前振り」だということで今作ではあえて甘受するべきなのかも知れない。

 

 

でもやはりこの映画の根幹は前作から更に進化した映像革命で、架空の惑星パンドラの自然をここまで想像力豊かに、CGでここまで表現できるのかというのはホント、感心したし、前作をもはるかに凌駕する、CGっぽさを見事に脱却したまるで「実写」かのごとき構築された世界観は、モーションキャプチャーの最先端を走っていることも含めて今の映像表現の最高峰であることは間違いないんだろうと思う。

 

 

パンドラ観光PRビデオみたいだと揶揄されたりしつつも、前作から受け継がれている人類の過ち、白人の侵略の歴史や自然破壊への警鐘というテーマ性はちゃんと汲み取れるんだけどね、3時間12分は思ったより長くは感じなかったけど、その長さに値するだけの重厚なドラマがあったかといえば、それは今回も前作同様に希薄だったことは否めない。

 

 

いやまあね、ある程度は覚悟してたんだけどね、映像を楽しめればいいやと割り切っていたつもりだったんだけど、それにしても想像以上に「薄かった」とは思う。

 

 

まあでもね、としまえんのIMAXがこの映画のポテンシャルを充分引き出していて、まさに圧巻の映像は堪能できたので、ま、いっか。

 

 

2009年の「アバター」はシネスコバージョンとIMAXバージョンと大雑把に2種類の上映方式だったので、その違いを知ることも含めて2回観に行ったけど、今回はさらに細分化されてるようで、IMAXは1.90:1だがその他はビスタとシネスコに分かれているだけでなく、ドルビーシネマかどうか、3D、HFR、HDRのどれが採用されて、どれが採用されていないのかなど、もう訳が分からないし、キリがない...ていうかIMAXはHDRがないだけだし、何せ大画面だし、私の観に行ったユナイテッドシネマとしまえんはIMAX Laserだしね、音響も含めて充分堪能できたと思うので、他の上映方式はもういいかな。

 

 

噂ではドルビーシネマの方がHDRである分、IMAXよりは優れていると言われているらしいけどね、HFRのあのヌルヌル感を体験できたことも含めてもうお腹いっぱい。

 

 

あともうひとつ、パンフレットを買ったんだけど、これ、パンフレットじゃないじゃん。

 

ヴィジュアル・ディクショナリーと銘打ってある通り、映画の内容にはほぼ触れてなくて、オタク向けの「設定資料」でしかない。

 

色々詳しく乗ってるけど、これじゃない、これじゃないんだよ、映画ファンが読みたいのはさ。

 

物語が薄かったことがこのパンフレットならぬ「ヴィジュアル・ディクショナリー」に反映されているという何とも皮肉な...

 

しかも1650円という値段も...ねえ。

 

 

という訳で、まだご覧になっていない方はあまり期待せずに観に行きましょう。

 

 

いや、嘘です。

 

 

パンドラの架空の世界の本物以上のリアルさが圧巻の映像絵巻、ご堪能あれ。