日曜日。

 

明日があるので、まだまだ気分が冬休みモードではなく、いつものような日曜日。

 

という訳で、洗濯、にち10、映画。

 

 

今日は内田吐夢監督の1959年の作品、中村錦之助と有馬稲子の「浪花の恋の物語」を。

 

近松門左衛門の人形浄瑠璃「冥途の飛脚」と歌舞伎「恋飛脚大和往来」を下敷きにしているそうなのだが、劇中に片岡千恵蔵扮する近松門左衛門が出てきて、ふたりの悲恋を戯曲に書き起こすという、いわば狂言回しとしての役割を担って登場する。

 

 

時代劇がまだまだ勢いのあった頃の作品ということで、かつてのテッパンのお話なのだろうが、まさに枷の効用やら、小道具やらを駆使した、葛藤、葛藤の悲恋モノ。

 

飛脚問屋の養子にして跡取りの錦之助と花魁の有馬稲子の道ならぬ恋...もうそれだけで、こういうガッチリとした物語になるというね、まさに「設定」はこうあるべきという、これもまた教科書。

 

さらにこの作品では聴き耳立てて物語に昇華しようとしている「作家」としての近松門左衛門の存在も描いていて、そのあたりは恐らく当時、かなり新鮮だったんじゃないだろうか。

 

少しずれるけど「恋におちたシェイクスピア」的な感じ? 違うかな。

 

 

それにしてもこのふたりのそのたたずまいの美しさ...

 

有馬稲子はいうまでもなく、この錦之助の色気、美しさ...昔の役者さんはすごいね。

 

 

私の子供の頃に観た時代劇は、NHKを除けばという前提があるにせよ、いわゆる勧善懲悪もののチャンバラ劇がメインのテレビドラマがほとんどだったので、昔のいってみれば「それ以外」の時代劇を観ると、かえって新鮮に映ったりする。

 

今ではそのチャンバラ時代劇でさえ民放では絶滅寸前、その中にあってNHKはあらゆるタイプの時代劇を何とか作り続けている。

 

単純に商売として成り立ちにくいということで絶滅寸前なのは重々承知だが、それでも作り続けている、しかもチャンバラだけじゃないというそのNHKの頑張りには、いつも救われる思いがしている。

 

 

マンガ原作のペラペラのテレビドラマが跋扈し、全体的に元気のない日本のテレビドラマだが、足元をちゃんと見据えて、時代劇も含めて、しっかりと「人間」を描き、オリジナリティにあふれる作品がやはり出てこなくては、世の中、詰まらない。

 

その一翼を担いたい。

 

 

この「浪花の恋の物語」を観て、今を思う、年の瀬であります。

 

...って、明日もあるんだった。

 

 

うぅ...

 

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