今日はあいにくの雨...
という訳で、ウチで映画を観た。
観終わって、明かりをつけ、窓を開けてみると...雨は雪になっている。
そういえばこの冬、まともに雪が降っているのを見るのは、初めて。
みぞれはあったんだけど、今日は本物の雪。


今日は「天国の青い蝶」というカナダ・イギリス合作の映画。
詳しくはこちらに。

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=320212#1

脳腫瘍を抱える余命いくばくもない少年と、その少年の「青い蝶」を捕まえたいという熱意にほだされて協力する昆虫学者の心の交流をメインに、その幻の青い蝶、ブルー・モルフォを南米のジャングルに捕まえにいく、というお話。

実はこの映画、ガンに侵された少年がジャングルにその蝶を捕まえにいったら、そのガンがいつの間にか治っていたという「実話」が元になっているという。
「事実は小説よりも奇なり」を地で行くような話だが、「実話」といわれればしょうがないw。

個人的にはこういういわゆる「難病モノ」といわれるような映画やドラマは敬遠しがち。
テレビでも、番組改編期になるたびにこの類のスペシャル・ドラマが放送されるが、正直いって好きではない。
前にも何度も言っていることだが、こういった苦労を抱えている人たち(病気、身体的障害)の生き方を「お涙頂戴」として扱うことに抵抗がある。
彼らは、そういう病気や障害を抱えていない人たち、いわゆる「健常者」に感動を与えるために生きているのではない。
そういう「健常者」には分からない苦労や苦しみをテレビドラマや映画という形で、感動の押し付けの道具にしているのではないか、当事者の方たちにとっては感動どころではない、健常者の想像を絶する苦しみがあるはずだ...いつもそんな風に思ってしまう。

だからよく「難病モノ」のドラマやドキュメンタリーを観た人たちが、感動しただとか、パワーをもらっただとかいう感想を述べることが、とても軽々しく感じられ、それがとても嫌なのだ。
「感動」なんて言葉、そんな人たちに絶対言ってはいけないように思うのだ。
極論なのは自分でも分かっているが、私は彼らから「感動」をもらおうとは思わないし、彼らの存在を自分自身の生きる糧になど、決してしたくないと思う。

...ああ、また前置きが長く...いや、横道に大きくそれてしまった。
「天国の青い蝶」である。
この映画に登場する脳腫瘍を抱えた少年は、病に苦しんではいるが、それをことさら強調することはない。
いや、少年自身や母親、協力する昆虫学者が彼の死期を悟っていることが「青い蝶」を捕まえにいく原動力になっていることは事実だが、物語のメインは「闘病」ではなく、あくまでもその蝶を捕まえること。

そういう意味では、この映画は「闘病モノ」のジャンルには入れたくない...言い訳がましいかも知れないがw。

もちろん、少年は病に苦しんでいるので「青い蝶」にたどり着くまでにはさまざまな困難がある。
周りの人物、母親や昆虫学者、地元の住民たちは、いわば彼に巻き込まれているとも言え、物語としても二転三転あって、不謹慎かも知れないが「ワクワク」感がある。

その二転三転する展開から、いよいよクライマックス...これがインディアナ・ジョーンズばりのw、ちょっとしたアドベンチャー。
ラストはハッピーエンドなのだが、いささかあっけないというか、悪く言えばちょっと拍子抜けだったがw、事実を元に、という「枷」だと考えれば、それは致し方ないのかなとも思う。

少年と昆虫学者の関係もベタベタしていなくて、あくまでも「青い蝶」を追うという共通の目標に向かいながら、お互いに理解を深めていくという風な描き方なので、すんなり観られたように思う。
少年の母の、その死期が近付いている息子を抱える母親としての苦悩をことさら表に出すことはせず、割とシンプルに「息子を思うひとりの母親」というスタンスで描かれていたのも、私は好きだった。

このあたりは、全ては「奇跡の結末」を受けての描写だったのだろうが、押し付けがましさが全くないこの映画の全体の雰囲気は、何だかとても心地よかった。
そのあたりも、私の観る前と観たあとでの印象がかなり違っていたことの要因になっていたと思う。

昆虫学者を演じていたのはウィリアム・ハート。
“A.I.”の演技が個人的にはとても印象的だった、渋い役者さん。
この映画でも、著名な昆虫学者だが自分自身の家庭をちゃんと築けなかったという欠点も併せ持った、とても人間的なキャラクターを渋く演じていたように思う。
この役者さんは、本物の大人だな、こういう男になりたいな、そんな風に思わせるカッコ良さがある。
例えばトム・クルーズやブラッド・ピットなどのカッコ良さとはまた違った、「大人」の魅力...ちょっと憧れるな。

ちなみにこの映画、いつものようにBS-hiで録画していたものを観たのだが、なぜか二ヶ国語放送で、字幕なし。
「ハイビジョン日曜シネマ」の枠で放送時間もいつもと同じだったのに、何で今回だけ二ヶ国語放送だったのか...NHKの意図はよく分からないが、子供にも観てもらいたかったとか、実験的にそうしたのか...まあどちらにしても、ちょっとしたイレギュラーだった。
個人的にはオリジナル音声を字幕スーパーで観たい方なので、ちょっと抵抗があったのだが、久し振りにいわゆる「吹き替え」で観てみると...子どもの頃に観ていた地上波の洋画劇場を思い出して、ちょっと懐かしくもあった。
ハートの吹き替えを担当していた津嘉山正種の渋い声がとても魅力的だったのもあって、吹き替えもたまにはいいなとw。

年が明けて、ウチのテレビ内臓HDDはいつにも増して忙しい。
映画はもちろん、BS-hiの「刑事コロンボ」(フィルム素材からダイレクトにハイビジョン・テレシネしている本物のハイビジョン放送!!)や山田太一の「ありふれた奇跡」(HDDから消せない...)など、とにかく残り容量がいつにも増してギリギリだ。

観ちゃあ消し、観ちゃあ消し...いたちごっこは終わらない。
...永遠に終わんないんじゃないか...w