昨日に引き続き夜更かシネマ。
今日は2002年のフランス映画。
といっても「中国の小さなお針子」という中国の話。
原題は“Balzac et La Petite Tailleuse chinoise”。

 

文化大革命の只中、反革命分子の子として再教育のために奥深い山村に送られた二人の青年。
その山村で「小さなお針子」と呼ばれる村一番の美少女と出会う。
禁書とされている西洋の本を通して、二人の青年と「お針子」の三角関係、成長を描く。

識字率の低い山村に二人の青年から紹介されるさまざまな文化が影響を及ぼしていく。
中でも「お針子」は西洋の本を読んでもらうことにより感化されていく。
その中でもバルザックの作品が彼女に徐々に影響を及ぼして...

ボーイ・ミール・ガールの範疇に入る作品だが、舞台は1971年の中国、文化大革命の只中ということで、なかなか奥深いお話。
原作・脚本・監督のダイ・シジエという人は中国人だそうで、全体的にはやはり中国映画のたたずまい。
ただひとつだけ、中国っぽくない濃厚なラブシーンがあるのだが、そこだけはフランス映画の香りがする...エロかわいい、ならぬ、エロ美しいシーン。

若者の三角関係の微妙な距離感が切なく、いとおしく、美しい。
クライマックスで少女と青年たちの関係が大きく変化するのだが、ラストは...それが解決されないまま終わり、それがかえっていい余韻を残す。

中国映画(フランス映画だがw)を見ていつも思うのは、私は中国があまり好きじゃないのに、映画は好きだということ。
たくさん見たわけではないが、見た中国映画はどれもいい作品ばかりだったように思う。
それはNHKのドキュメンタリーなどを見たときも同じで、ニュースで流れるような私の嫌いな中国とのギャップにいつも困惑する。

いい国なのか悪い国なのか...好きなのか、嫌いなのか...いまだによく分からない...それが私にとっての彼の国。
私にとっての中国。