アメリカの属国、日本...「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」
思いがけずお休みを頂いたのでウチで映画を。日曜日に「F1/エフワン」を観た際にApple TVの字幕の酷さに辟易してたんだけど、それでも1週間の無料お試し期間をつい無駄にしたくないという下心で、あまり魅力のないコンテンツばかりだけどそれでも何かないかなと探していると「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」を見つけたので観てみた。同名の名曲もあるけど、まさに文字通り「私を月に連れてって」なアポロ11号の月面着陸にまつわるお話。公開当時、いわゆるNASAものということで気にはなっていたもののついつい観逃して、なおかつ大コケしてしまったという話も聞いて複雑な思いを抱きつつも、一応いつか無料で見られる時が来るかもしれないとチェックリストに入れておいたんだけど、すっかり忘却の彼方...で、ああ、アップルが作った映画だったのかということを今更ながら知ることとなり、まあたまたま見つけられたということでせっかく「タダ」なら観られるうちに観ちゃおうと。いわゆる「フェイク」だとか「陰謀論」が跋扈する現代社会において、それをエンタメ作品に巧みに取り入れてシニカルに笑い飛ばそうという試みも見え隠れする、そんなひと捻りもふた捻りもあるような作品。何といえばいいんだろうか、同じNASAモノでフェイクを巧みに取り入れた傑作「カプリコン・1」からサスペンス要素を減らし、ラブロマンスを加味した作品とでも言うのだろうか、アポロ11号のあの栄光のミッションにこれまでにない角度からフェイクと陰謀論を織り交ぜて、実はその裏で様々なことが起こっていたという紛れもない「フィクション」なんだけど、コマーシャリズムに対する批判があったり、フェイクニュースに対する皮肉をまぶしてたり、なかなかの力作であった。でも大コケしちゃったんだよね。まあ確かにクライマックスに至るまでのそののらりくらりが冗長というか、ラブロマンスも中途半端、サスペンス味もあるのかないのかよく分からない、そんな感じで1時間半くらいを費やすので、なるほどこれはしょうがないかなと。ただそのクライマックスのハラハラ、ドキドキ、カタルシスはなかなかのもので、あのアポロ11号の一連のミッションに絡むフィクションとしての様々なサスペンスはなかなかのもので、そこでスカーレット・ヨハンソン扮するアポロ計画の広報を担当したケリー・ジョーンズの「本当の顔」が垣間見える過程もベタではあるけれど、人間ドラマとしては卒なく描かれていたように思う。そのスカヨハ扮するヒロインの相手、チャニング・テイタム扮するフライト・ディレクター、コール・デイヴィスもアポロ計画のその壮大さを巧みに取り入れたなかなか泣かせるキャラクターだったんだけどね、そのふたりのロマンスの描き方がイマイチテンポが悪かったというか、アポロ計画の「裏側」を見せるサスペンスも押しなべて中途半端で、クライマックスが面白い分そのあたりがもったいなかったかなと。まあとにかく全体的には物語そのものはいくらでも面白くなる要素たっぷりなのに、どうもテンポが悪かった、これに尽きるんだと思う。あとはねえ、もうこのApple TVの字幕の仕様が...「F1/エフワン」と同じで「バリアフリー字幕」だったようなんだけど、今回は画面上に映される英語の言葉を訳した字幕が何とセリフの字幕と重なっちゃって読めないという致命的な欠陥もあって、それだけで冷めちゃって、その都度集中力を欠いた。あと気づいたんだけど、全体的に直訳調というか、いわゆる「映画字幕」らしくなくてどうも文字数が多すぎて、結果的に長時間字幕を追うことを余儀なくされる。「F1/エフワン」を観た時にもそれは感じていたんだけど、それは「バリアフリー」だったからだけじゃなくて、単純に訳語として文字数が多かったのだ。映画の字幕ってそれこそいかにして文字数を減らしてかつセリフの意味を観客に的確に伝えるかという翻訳者の技量がものをいう、まさに芸術的な職人芸の上に成り立っているものだと思うんだけど、ふたつの作品を観た限りではあるがこのApple TVのコンテンツにおける字幕はまさに直訳そのもの、単調で機械的で長ったらしいというか、本当の意味で作品を堪能するには足を引っ張る存在でしかないのではないかとさえ思った。他のコンテンツも恐らくそうなんだろうと思う。繰り返し弁明しておくが「バリアフリー字幕」はあっていい、いやあってしかるべきだが、それはそれ、これはこれ。健常者だろうと、耳の不自由な人だろうと字幕の欠陥によって興を削がれ、作品を充分に楽しめないのは絶対に看過できない。前にも言ったけど、大国アメリカ、ビックテックの傲岸不遜な側面がこういうところにも見え隠れして、改めて辟易とした。俗物の権化トランプとアタオカネタニヤフが結託してイランに先制攻撃して戦争を起こしてしまったあの一連の暴挙に関して何も言えない高市早苗とその仲間たち、自民党の腰抜けっぷりも含めて、所詮日本はアメリカの属国なのか、というね。という訳でApple TVではこの欠陥が質されない限りもう二度と利用することはないだろう。でもこの「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」は決して嫌いになれない、魅力的な作品だったことだけは言っておきたい。そう思ってBlu-rayを買おうかなと調べてみると...作られていない模様(涙)。大コケするとはこういうことなのかと、改めてショービス界、ハリウッドの厳しさも感じられた「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」なのでありました。フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンAmazon(アマゾン)