DXの責任者は経営者である

 

経営者は自社の業務のビジョンが明確に見えています。つまり、何を自社の強みとし、何をもって顧客満足度を満たし、収益を上げて成長するかを鮮明にイメージされていると思います。

 

一方、経営者は、DXを「畑違い」だとか「自分は理解できない事」と考えて、部下や外部に丸投げしているケースがとても多いのが現実です。成長している企業の経営者は、自身のビジネスについては、リーダーシップを発揮して部下を導いているのに、事、DXについては、一番大切なリーダーシップを発揮していないのです。

 

特に、急激に組織が大きくなった中小企業にその傾向が強いと思います。ビジネスでの成功体験が、過去の組織のあり方や人事教育などを固定化し、新たにチャレンジする勇気が持てないのです。今までの事業の環境で十二分であるとかっがえがちです。しかし、それでも何か新しいを行わない事に漠然とした不安感に襲われ、形だけでもDXに取り組もうとした結果、丸投げ行動になってしまい、ビジネスの目的と合致しない、使えないシステムを生んでしまう訳です。

 

そもそも、DXは、単体で考える事は間違いです。DXは、会社の組織や文化を有効に働かせてビジネスを成功させるための道具なのです。だから、全てのDXは、ビジネスに直結しているのです。

 

このビジネスに直結しているDXを他人任せにしていては成功を勝ち得ません。丸投げ体質で構築したシステムを前にした経営者が「こんなはずではなかった」と感じるのは当然の結果です。経営者とその他の人の考えるシステムの目的やビジネスへの適応方法、効果・効用は全く違うのです。これらの相違がDXの推進に致命的な痛手となるのです。

 

では、どうすれば良いのでしょうか。

 

まずは、経営者が考える「今の課題」と「将来のビジョン」を洗い上げ可視化(文章化や図画化)を行い、部下と共有します。また、同様に部門毎も「今の課題」と「将来のビジョン」を洗い上げ可視化して、経営者と社員で共有します。

 

部分最適が全体最適ではありませんが、全体最適を目指す場合は、部分最適も考慮しなければならず、バランスの問題です。しかし、最優先させるべき事は経営者のビジョンであり目的です。この目的は不変なものでなければなりません。

 

不変な目的を達成するために目標を立てます。この目標は全社的なことから部門別、個人別まであり、ドンドン細目化されますが、元を辿れば、全て会社の目的に辿り着きます。その種々の目標の中にDXが含まれるのです。

 

世のITベンダーは、目的として捉える事は「経営目的」ではなく、「DX導入(費用対効果)」を目的にしています。それはそれでベンダーとしては正しい考え方ですが、本来の企業のビジョンや目的を達成する方向とはズレている事があります。

 

このズレをなくして、企業とベンダーがパートナーシップを築いてDXを進めるには、経営者の経営目的を明確にして導き出された目標を、そのベンダーにクリアーできる能力や文化が備わっているかを見分ける事が大切です。

 

とは言っても、経営と組織設計や人事設計、事務設計などを総合的に考える人材がベンダーに求める事は酷な状況であり、ましてや中小企業の中にそのような人材を求める事も難しいです。

 

だから、経営者のビジョンや目的を理解し、経営者と共に見える化して、一歩一歩実現に向けて伴走してくれる外部の人材が必要なのです。

 

今まで、このような経営目的を可視化して経営戦略を策定できる人材を供給していたのが大手コンサルタントでしたが、その費用はとても高かったため中小企業が利用することはできませんでした。しかし、現在は、公共窓口で中小企業の支援事業としてITC(ITコーディネータ)を紹介してくれる場合があります。

 

経営者は、理想とする経営ビジョンを必ず実現するという強い信念を持ち、それを実現するためのパートナーを得る為に、相談窓口に行かれることをお勧めします。