IT化を考えている企業が最初に考えるのは、グループウエアーの導入ではないでしょうか。

 

確かにグループウエアーは、イニシャルコストが不要で、少ない人数であれば、低コストでコミュニケーション能力の向上ができる優れたツールです。

 

しかも、最近は、最初から用意されている機能も豊富で、今、現在、欲しい機能がそろっているように感じるかもしれませんし、企業規模によっては、最善の選択である場合もあります。

 

しかし、気を付けなければならない点があります。それは、基本的にグループウエアーで業務改革を行う事ができないという事です。

 

私達、ITCは、現在の業務のあるべき姿を考え、改革し、又は、処理自体を止める方向に指導します。つまり、業務改革に使えるツールか、否かが問われる訳です。

 

確かに、スケジュールを共有できたり、ワークフローが電子化されたりすれば、コミュニケーションロスは削減され、生産性向上を果たすことができるかも知れませんが、これは改善の延長線上でしかありません。改革のように飛躍的な生産性向上を果すための方法ではないのです。

 

企業が目指す事は、生産性を上げて、収益を上げて、成長することです。そのためには、業務そのものを見直す必要があるのです。

 

グループウエアーを提供する会社も、その点に気づいています。グループウエアーに機能を追加する形で、業務の効率化をサポートしたり、プログラムレスで、データベースを構築し、情報の共有を行ったりする仕組みを提供しています。

 

しかし、実際に、グループウエアーベースのシステムを使ってみると、出来ない制約の多さに暗澹たる思いに至るケースがあります。また、出来ない事はないが、とてつもなくコストが掛かる場合もあります。

 

そもそも、グループウエアーの考え方は、コミュニケーション効率を上げる事に主眼があり、ビジネスそのものを科学して、抽象化したシステムではありません。このような仕組みは、ERP(Enterprise Resources Planning)と呼ばれる大型システムでしか実現していません。

 

しかも、ERPは、構築費用や運用費用が高いだけでなく、カスタマイズする場合の敷居が大変に高いため、中小企業には不向きです。

 

だから、中小企業は、個別最適になる事を承知で、パッケージを繋ぎ合わせて仕事をしています。

しかし、同じ会社のパッケージを導入したにも関わらず、社員番号が複数存在したり、社内にあるリソース(会議室や車両など)を指すコードが統一されていないなど、全社を統合運用を妨げる状態になっている場合が沢山あります。

 

このような状況に、火に油を注ぐが如く、問題を複雑化させる要因が、グループウエアーの導入です。

 

先述した通り、グループウエアーは、コミュニケーションロスの防止の為だけにあるため、業務との親和性がありません。その結果、業務で発生する連絡事項を、いちいち、電子メールを打ち込むなど、二次作業が発生します。同じシステムであれば、インシデントの発生に連動してメールを自動的に発信すれば良いだけなのですが、システムが分かれているばかりに、連携できないのです。

 

繰り返しになりますが、少人数であり、かつ、業務がIT化されていない会社であれば、グループウエアーは、絶大な効果がありますが、今後、IT経営を目指す企業がグループウエアーを導入すると、無駄な投資になります。

 

ITCは、その点を理解して、支援先のIT経営成熟度を勘案して指導してください。