西新井へ引っ越してすぐに迎えた2017年は奇しくも結婚30周年の年でした。
30数年前、初めて東武伊勢崎線(今では東武スカイツリーラインと呼ばれています)の西新井駅に降り立ち、夫の実家に歩いて行った時の驚きを昨日のように思い出します。駅前には日清紡の大きな工場があり、その周りを囲むように駅から南に関原商店街が伸びていました。商店街の両側にはありとあらゆる種類の商店が立ち並び、通りは工場の従業員や下町に住む大勢の人々であふれ、活気の中でキラキラと輝いているようでした。さいたま市の郊外で生まれ育った私には関原商店街は生まれて初めて見る大規模な商店街で、当時はすでにスーパーマーケットで買い物するのが当たり前だった私にとって、お姑さんのお使いでお肉やさんや魚屋さんで並んで買い物をするということがとても新鮮に思えたものでした。
その後数年たって駅前の日清紡が立ち退くことになり、跡地では大規模な再開発が行われマンション群とともに巨大ショッピングモールや大型スーパーマーケットができました。夫の実家に来た時には手っ取り早く大型店で買い物することが増え、私も商店街に足を運ぶことはほとんど無くなっていきました。
時が流れ、お姑さんとお舅さんがこの世を去り、私たちが西新井で暮らすことになり、久しぶりに関原商店街を訪れた時には寂しさと嬉しさが混ざりあった複雑な気持ちになりました。商店街はもはや商店街とは言えない「所どころに店のある通り」に変わっていました。マンションができて人口が増えたとはいえ、大型スーパーに商店街が太刀打ちできなかったのは明白です。しかしその中でもお姑さんが好きだった昔ながらのお肉屋さんの「末広」小川さんで30年前と同じお兄さんたちがおじさんになっても元気に働いているのを見た時は本当に嬉しかったです。お姑さんお気に入りのお豆腐屋さんも健在で30年前と同じおじさんが、ふわふわのお豆腐と山菜入りのがんもどきを売っています。激安野菜の「すわや」も健在でした。やはり、特徴のある店というのが生き残りの秘訣のように感じました。