少し前に、知り合いの地元の生物学者Kさんから、「今年は久留和海岸にウミガメが産卵したようです」と連絡が入った。
 
昨夏は、葉山の一色海岸と大浜の2箇所に産卵巣が確認され、孵化の現場に立ち会いたいと夜な夜な出かけては産卵巣を見つめる日が続いた。
 
久留和は、長者ヶ先の隣にある小さな海岸。ちょっと毎晩通うというわけには行かない。
 

 
産卵したのが7月7日。8月25日に赤ちゃんが出てきたと連絡を受け、もういてもたってもいられない感じ。
連絡をくれたKさんと約束して、土曜日の明け方4時に現場で落ち合う約束をした。
 
まだ真っ暗な海岸で産卵巣を見つめながら座っていると、地元の人たちが次々集ってきた。ウミガメが来たと聞いて以来、産卵巣を見守り続けてきた人たちだ。
 
結局、この日はなんの動きもなく、砂の中の温度を計っても、かなり高めで卵が生きているかどうかもあやしい状態。結局30日に堀上調査をすることに。
 
で、Kさんが産卵巣を掘ってみると、かなり浅いところに卵があることがわかった。その上部から1匹、産卵巣の下の方からもう1匹。2匹の赤ちゃんが出てきて、みんな大喜び。
 
 
結局、孵化卵が110個、未孵化卵が27個で、かなりの数の赤ちゃんが生まれて出て行っていたことがわかった。
 
未孵化だった27個と死んで見つかった1匹以外は全部生存していたなんて、なかなか優秀な産卵巣じゃないのかな?
 
生きていた赤ちゃんカメを海に返すことになり、みんなでお見送り。
 
 
やはり、取り残されていた赤ちゃんカメは、自力で外に出られないほど弱々しい。砂浜に下ろしても、なかなか自分の力で渚まで進んでいくことができない。
 
水に入っても、泳ぐのが精一杯の赤ちゃんウミガメ。がんばれ!とエールを送りつつも、湾の外まで出ることもおぼつかない様子に、自然の中で淘汰されていく束の間の小さな命を、しんみりと見送る。
 
こうして、毎年近隣のどこかにウミガメが産卵にやってくる。そのたびに、ウミガメの旅立ちを見送りたいという人が浜に集い、海のこと、砂浜のこと、自然のことに思いを馳せる。
 
これって、とっても素敵なことだなー。