ほら、私はこんなに美人なのに、誰がつけたかヘクソカズラ。
夢もロマンもあったもんじゃないでしょう。

マーメイドラインのスカートのような、細身のフォルム。ぱっと開いた花は、中心が燃えるように赤くて、白い花びらのレースの縁取りが、まるで乙女のブラウスの襟のようで可憐な風情。
こんなにスタイリッシュなのに、やっぱり名前はヘクソカズラ。
たしかにちょっとは臭いけど、私じゃなきゃ嫌だという虫さんだっているのよ。
もっと素敵な名前だったら、私の歩んできた道もずいぶん違っていたでしょう。
秋にはキャラメル色の実をたわわにつけて、リースの材料にと大人気。冬には家々のドアや壁を素敵に飾っている私なのに。
ああ、私がもっと素敵な名前だったらなー。
リリーとかナデシコとかワスレナグサとかミヤコワスレとか・・・。
こんな名前を背負っていると、ときどき憂鬱な気分でうつむいてしまいそうになるの。
ヘクソカズラなんて、最初に呼んだのは、いったい誰?