年に2回、町にある博物館、美術館などの展示物や施設などを解説付きで見学できるツアーがある。申し込みして抽選に当たると参加できるイベントだ。
 
このツアーに友人と申し込み、無事抽選に当たって参加することに。どこも行ったことある場所ばかりだけど、時期によって展示が変わっているし、学芸員の解説が付くと、がぜん見ているものの深さが増しておもしろい。
 
まず、しおさい博物館。もともと御用邸の一部だったところに作られた博物館。海に特化した展示物と、あわせて広い日本庭園、海に続く松林などが散策できる。
 
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漂着物から、相模湾の魚介類の展示を見て、海の中にはこんな生き物がいるんだなーとしみじみ。相模湾、こと葉山沖の海が、研究者の間では世界の中でも豊かな海だとして知られているということ、昭和天皇が、ほんとうに学者天皇として研究に打ち込んでいらっしゃったということなどなど。ためになる話が満載。
 
続いて、山口逢春記念館へ。こちらでは、もともとの自宅を記念館としてオープンしているので、住居部分の部屋、画室、愛でていた景観や庭園など、作家本人の人となりまで伺われるような案内。
 
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今回の作品展示で、私の最も好きな「浜」が展示されていたので大感激。これは海岸に転がっている海草や貝殻などをモチーフに描いた小品。やはり、生で見る絵画の迫力は心にずんずんと響いてくる。
 
お昼をはさんで訪れたのは県立近代美術館葉山。こちらも海辺の皇族の別荘跡に建てられた美術館で、ロケーションは最高。
 
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用事がなくても、海に向かって張り出したカフェで、景色を堪能しながらお茶を飲むのは至福の時間。
 
ここで今開催されているのが、ロシア・アニメーションの巨匠ノルシュテインとヤールブソワ夫妻の作品展。この2人の作品は大好きで、10年以上も前に、三鷹のジブリ美術館で企画展として行われたときも見に行ったことがある。
 
アニメーションの静かでやさしい味わいも好きだけど、ヤールブソワの描く動物たちの表情がたまらなく魅力的。特に「霧の中のハリネズミ」が大好きで、アニメーションフィルムも見たし、絵本も購入した。今回はそのあとの作品もたくさん展示されているというから、とっても楽しみにして出かけた。
 
今回はこの美術館が主催した企画展で、その担当した学芸員が展示物の解説をするという、なかなか贅沢な企画。ストーリーはシンプルなものが多く、ロシアの民話をモチーフにしたり、ささやかな出来事を丁寧に取り上げたりと、いつも2人の目線はやさしい。
 
その中でもノルシュテインの思い出やイメージを無作為に(にみえるけど・・・)つないで一遍の作品にした「Tale oftales」の不思議な美しさ。また日本びいきのノルシュテインによる「冬の日」は芭蕉と竹斎という2人の登場人物によって、日本の侘びさびという微妙な感覚を表現しようとした作品など、興味深いもの満載。
 
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寒くて暗いロシアらしい色彩の、だけど、まるで夢の中のような柔らかな光に満ちたノルシュテインの作品。ヤールブソワの切なくも愛らしいキャラクターの瞳。
 
ノルシュテインのアニメーションはガラス板を何枚も重ねて、そこに風景やキャラクターを乗せ、奥行を出しながら画面を撮影して繋げてある。1秒間に20コマもの画面撮影が必要ということで、今年70歳になるノルシュテインをして、全作品でもまだ3時間に満たないというのも驚き。
 
いまや、コンピューターであっという間に3D、4Dなどが大量に作成されていく時代。こうした丁寧な手仕事により生み出される画面からにじみ出てくるやさしい動作や淡い光の輝きは、ハリウッドでは決して作れない貴重なもの。薄暗がりで輝く宝石のような、映像抒情詩。
 
もちろん今回の展覧会の分厚い本を買い込んできたので、しばしノルシュテイン&ヤールブソワの世界に浸るつもり。ハリネズミやオオカミの子どもや、ウサギやツルや、アオサギや老人たちが、本の中でひっそりと私がページを繰るのを待っていてくれるはず・・・。