朝早くはまだどんより曇っていたけど、みるみる空は晴れてきて、まぶしい日差しが辺りを照らし始めた。
海は青く、雪を被った富士山がくっきりと青空にそそり立っていた。暖かくてさわやかな、そう3月の美しい1日。
そう思っていたら、夕方に一転して曇り空が広がり小雨がポツポツ。それでも海のほうはまだ日差しがさしていて、すぐにやむかなと思いながらククの散歩に出かけた。
ずんずん歩いて海の方へ。途中まできたところで、急に雨がひどくなった。で、すぐ近くにあった道沿いの屋根だけのガレージに飛び込んで雨宿り。
やれやれ、雨宿りなんて久し振り。雨がおさまるまで、ククと二人でぼんやり空を見上げていた。すると、目の前のアパートから傘をさした若い女の人が出てきた。手にはもう1本傘が。
すたすたと私の目の前に来ると、傘を差し出して「これ、使ってください」とにっこり。きっと、窓から雨宿りしていた私たちが見えていたんだろう。雨に降られて、困ってるように見えたかな。
ありがとう、と受け取って散歩の続き。お日様はますますまぶしく、でも雨雲は黒々と分厚く空を覆って、雷鳴まで響いてきた。雨はだんだん弱くなってくる。不思議な空模様。
海に行くと、厚い黒雲の下にはまぶしいお日様がだんだんと染まりながら落ちていくところ。


頭の上にまあるくさしたやさしい傘に、雨音が軽やかなリズムのように跳ねている。
振り返ると、黒々とした雲のかかる山の端に、うっすらと虹がかかって空の上へと伸び始めていた。
夕日と、雨と、虹と。そしてやさしい傘。夕日は、赤く赤く空を染めて、雨の落ちる海の向こうに沈んでいった。