
この義姉の夫である義兄が、数年前、「高校教師をやめて養蜂家になる」と宣言した時はびっくりした。養蜂家って、いったいどんな仕事なんだろう。安定した職業をやめてまでやる価値のある仕事なのかな。
とにかく、巣箱を作り、蜂を分けてもらい、手探り状態で始まったハチミツ作り。外から見ているほうもどきどきだったのだが、養蜂家になったとたん、前にもまして生き生きと仕事をはじめた義兄。
もともと野にあるほうが似合う人だった。周囲の山を歩き回って、季節季節の花の開花状況を知り、ちょうどいい森の中に巣箱を置き、アカシア、リンゴ、ソバ、その他もろもろの花の蜜を集める。
ミツバチの様子を伺い、世話をして、蜂と仲良しになって、花の蜜を分けてもらう。緑の陰のおちる森の中で、巣箱の周囲でかいがいしく立ち働く義兄の姿を見ていると、ずーっと前から筋金入りの養蜂家だったような気がしてくるから不思議だ。
もうひとつ、養蜂家になった大きな理由は、冬場、蜂の世話が休みになるので存分にスキーが出来る・・・からじゃないのかな。聞いたら「そんなことないよ」と笑っていたけれど。
夏休みに遊びに行った時などは、いらなくなったハチの巣から蜜蝋を作って、ろうそくにしたりと楽しいイベントも待っている。
自然の中で、自然を相手にして、自然の恵みで生きていく。こうして美しい森の中で採集された森のハチミツは、濃い緑の香りと優しい花の香りがして、口の中でふわふわ幸せな甘さが広がっていく。
森に降り注ぐ、透き通った光を集めたような幸福なハチミツ。今では我が家に欠かせない、花咲く森からのプレゼントだ。