軽業師、チャッピー ふと目を外に向けると、なにやら黒くて小さな影がよぎった。 薄紫の、夜の始まりの空気の中を、電線を伝って駆け抜ける影。 そう、我らがヒーロー、軽業師・チャッピーの登場だ。 細い電線の上をためらいもなく走っていく。 まったくバランスを崩さず、安定感のある身のこなし。 物音がすると、ぴたっと止まって様子を伺う。 しっぽがふわふわと上下する。 ふーむ、はたしてぴんと張ったロープの上を人間は走れるか。 ついつい、そんなことも思ってしまう、夏の夕暮れ。