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△ピッチを走り回る選手たち
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△ゴール前の攻防
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△いわきFCのコーナーキック
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△ピッチの周りに陣取るカメラマン
サッカー天皇杯福島県代表決定戦の決勝が4月9日、とうほう・みんなのスタジアム(福島市)で行われる。2016年の決勝と同様、福島ユナイテッドFCといわきFCが激突する。福島Uが勝てば10年連続で福島県代表になる。いわきFCが勝てば、初めての代表になる。注目の一戦は、13時05分に始まる。
福島UはJ3、いわきFCは福島県社会人リーグ1部に所属している。両クラブの間にはJFL、東北社会人リーグ1部、同2部と3つのカテゴリーが存在する。本来であれば格が違うとなるが、いわきFCは地域リーグのクラブとしては桁外れの戦力を有している。アンダーアーマーの日本総代理店ドームが運営しているからだ(厳密に言えば、運営主体は子会社のいわきスポーツクラブ)。
両クラブは2016年5月23日、十六沼公園サッカー場(福島市)で初めて対戦した。調整を兼ねた練習試合で、0-0の引き分けに終わった。再戦は8月21日、天皇杯福島県代表決定戦の決勝だった。会場はあいづ陸上競技場(会津若松市)。延長の末に福島Uが2- 1でいわきFCを破り、J3の面目を保った。気温が30度を超えたため、終盤は消耗戦になった。
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△福島ユナイテッドのグッズ売り場
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△いわきFCのグッズ売り場
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△アンダーアーマー製のTシャツ
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△福島ユナイテッドのサポーター
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△いわきFCのサポーター
両クラブは、陸上競技場前の広場にグッズ売り場を設営した。西側が福島Uで、テントの色は赤。東側がいわきFCで、テントの色は黒。福島Uのグッズにはヒュンメル(デンマーク)、いわきFCのグッズにはアンダーアーマー(アメリカ)のマークが入っており、売り場の周りには人垣ができた。
ハーフタイムの最中、いわきFCのグッズ売り場にドーム会長兼CEOの安田秀一が姿を現した。スタッフを激励するためである。前半終了時点で福島Uが1点をリードしていたため、安田は「まだ1点差。後半で追いつける!」と叫んだ。そこにタイミングよく、いわきFC公認サポーターのタレント武田玲奈(いわき市出身)がやって来た。武田の女性マネージャーは、すかさず安田に「写真撮影をお願いします」と頼んだ。安田は武田と握手し、笑顔をつくった。マネージャーは、手にしていたカメラでパチリ。安田はアンダーアーマーのポロシャツ、武田はいわきFCのTシャツを着ていた。
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△表彰式に臨む両クラブの選手たち
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△トロフィーを手にしてサポーターの元へ
両クラブはシーズン終了後、監督の交代を決断した。福島Uは栗原圭介から田坂和昭、いわきFCはピーター・ハウストラから田村雄三ヘ。栗原は3年契約を満了したが、ハウストラは1年でその座を退いた。
田坂は広島市出身。ベルマーレ平塚などでプレーし、引退後は大分トリニータ、清水エスパルスの監督を務めた。2016年に松本山雅FCのコーチに就いたが、1年で退任し、福島にやって来た。
「竹鼻快GMから監督就任を打診されたとき、選手を鍛えて欲しいと言われました。私自身、選手を辞めて指導者になったとき、選手と一緒に成長したいと考えました。それは選手を育成するという上から目線ではなく、選手と共に自分自身も成長したいという意味です。ですから、竹鼻GMの話は、自分の中で求めているものでもありました。自分自身がもう一度この縁もゆかりもない福島という地で新たな指導者人生を送れるのではないか、そういった部分で心を打つものがあり、監督を引き受ける決め手になりました」(監督就任の記者会見で)
一方の田村は群馬県渋川市出身。湘南ベルマーレでプレーし、引退後は湘南のテクニカルディレクターなどを務めた。2016年はいわきFCの強化・スカウト本部長として活動。ハウストラの退任に伴い、監督に就いた。
「いわきFCが目指すビジョン、スタイルを体現するカルチャー作りを、選手と共に一生懸命行っていきたいと思います。どんな事があろうと、ブレずに突き進みます」(クラブのホームページから)
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△サポーターと談笑する大倉社長
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△福島ユナイテッドの大型バス
両クラブの監督は、奇しくもベルマーレ出身である。ただ、監督経験が豊富な田坂に対して、田村は監督1年生である。その経験不足を補うため、いわきスポーツクラブ社長の大倉智が総監督に就いた。社長兼総監督である。
大倉は柏レイソルなどでプレーし、引退後は湘南ベルマーレのスタッフや社長を務めた。旧知のドーム会長・安田の要請でいわきFCヘ。J1クラブから地域リーグクラブの社長に転身するというのは、常識では考えられないことである。逆に言えば、いわきFCはそれだけ魅力のある、別の言い方をすれば発展性のあるクラブということだ。
大倉は、いわきFCのホームページ内にある「社長論説」(4月6日付)にこう書いている。
《福島ユナイテッドFCさんへ
フットボールという興行は、両チームの攻撃的な姿勢のぶつかり合いがあって初めてお客様を楽しませることができます。相手のミスを待つのではなく、自ら仕掛ける外連味のないフットボールで、スタジアムにお越しいただくお客様に感動を届けましょう!!》
人によっては、この文章を「挑発」と解釈するかもしれない。ましてや、両クラブを比べると、いわきFCの方が格下である。通常は「胸を借りたい」と言うべきところだが、大倉は普段から「プロが試合をする究極の目的は、勝利じゃないですよ。お客様に感動してもらいたい。勝負をつけるのは、感動してもらうための手段なんです」と公言している。その考え方が、前述した文章に表れたと言えるだろう。
※2016年の試合については本ブログ(2016年11月21~22日付)で詳しくレポートしたので、参照していただきたい。
写真は、いずれも2016年の天皇杯福島県代表決定戦の決勝で撮影。