毎日新聞の斗ヶ沢秀俊編集委員の経歴は次の通りだ。
1957年北海道赤井川村(小樽市近郊)生まれ。81年に東北大学理学部物理学科を卒業し、毎日新聞社に入社した。静岡支局、東京本社社会部を経て、88年に科学部(現科学環境部)の所属になった。2000~03年はワシントン特派員、05~07年は福島支局長。東京本社科学環境部長を経て、10年から水と緑の地球環境本部長兼編集編成局編集委員をつとめている。
斗ヶ沢氏は、北海道出身で、さらに福島支局長を歴任した。週刊文春の記事「衝撃スクープ・郡山4歳と7歳児に『甲状腺がん』の疑い!」(3月1日号)は、郡山から札幌に避難した児童2人の甲状腺に「異常が見つかった」という内容だった。斗ヶ沢氏は、自分と縁が深い道県がいい加減な記事で汚されたと感じ、週刊文春を名指しで批判したのだ。
毎日新聞社はかつて福島民報社の親会社的な立場にあった。今は資本関係が切れたが、毎日系のスポーツニッポン福島支局が民報ビル内にあるなど、依然として近い関係にある。福島民報社の関連会社の一つがラジオ福島。その縁で、毎日新聞の歴代福島支局長は毎週土曜日、ラジオ福島のワイド番組に電話出演し、政治や社会の問題について所感を述べている。
斗ヶ沢氏も福島支局長時代は、番組に出演していた。その後、東京本社科学環境部長もつとめたので、昨年3月以降は専門家としてラジオ福島に出演するようになった。昨年3月16日の放送では「皆さんが今受けている放射線量は健康に全く影響しません。安心してください」と断言した。
続いて、毎日新聞昨年3月18日付「記者の目」で次のように強調した。
〈福島県のモニタリングで測定された17日夕までの最高線量は最大でも30マイクロシーベルト(マイクロはミリの1000分の1の単位)以下で、多くは2~5マイクロシーベルト。胸部エックス線CTを1回受ける被ばく量が約6900マイクロシーベルト。仮に30マイクロシーベルトが続いたとしても、230時間にわたって外にいてCT1回と同程度という計算になる。
新聞やテレビの報道で、必ず出てくる言葉がある。「ただちに健康に影響するレベルではない」。この表現は科学的には正しい。私は知人に問われた。「ただちに影響しないということは、後で影響するかもしれないということでしょう」。実際には、合計の被ばく量が100ミリシーベルト以下では、将来がんになる確率が高まることはないとされる。
いま必要なのは「科学的に正確な情報」よりも「的確な情報」であり、現在の放射線量であれば、「健康に影響がない」と言い切ってよい〉
斗ヶ沢氏はこの文章を書いたことがきっかけで、ネット上の反原発派から「御用ジャーナリスト」と呼ばれるようになった。