郡山三東スーツの土地取引問題に火をつけたのは朝日新聞社系の週刊誌『アエラ』だ。同誌は2005年1月31日号で「福島県知事の親族会社がゼネコンと不透明な土地取引を行った」と報じた。執筆したのはライターの長谷川熙氏。宗像紀夫弁護士が言った「アエラの記事」とは、これを指している。
佐藤栄佐久知事は、この記事に対し、2月16日の定例記者会見で次のようにコメントした。

「郡山三東スーツは、私の父が創業者で、私も役員をやっておりました。代表役員になったことはないんですが、そういう関係です。
家業といえば家業のようなものでございましたが、私は知事になってから、応援してくださった企業、あるいは応援してくださった方々、私の最初の選挙等、例えば青年会議所の友人などが応援してくださいましたが、そういう方々も含め、県政には口を出していただかないようにしていました。
知事になってからも家業のこの株を持っておりますが、それを売らなかったのはどうかという指摘もいただきました。株については、売るかどうかは皆さんの判断でよろしいと思うんですが、経営については、一切ノータッチでやってまいりました。
会社の方でそういうことを十分配慮して、この土地を売る売らないも含め、相談も、それから報告もありません。なかったというのが実態でございます。
それから、株主であり役員であった時期もありましたが、決算書等も残念ながら見たことはございません。そのことをはっきりさせておきたいということです。
例えば、県の関係する工事とかなんかの話も(記事に)ちょっと出ておりましたが、それはもうご承知のように一般競争入札で進めているわけでして、あるいは一般競争入札でなくても、県の場合は副知事が委員長の指名委員会で進めておりますので、私には、入札でどこが決まったか、どういう業者がいるとかいないかも含めて、副知事からはもちろんですが、報告が一切ないというのが実情でございます」

郡山三東スーツ本社跡地には、前述したようにヨークベニマルの店舗ができた。このため、一般市民はそれまで「三東スーツが直接、ベニマルに土地を売却した」と思い込んでいた。実際はアエラが書いたように、土地の売却先は水谷建設で、ベニマルはそれを借りていたのだ。
もちろん、県政や地元経済界の関係者は、売却先が水谷建設であることを知っていた。「県発注工事を請け負っている会社に土地を売却するのはおかしい」という人もいたが、アエラの記事が出るまでは水面下の話題にとどまっていた。
(つづく)