郡山三東スーツ本社跡地は、郡山市大槻町の住宅街にある。佐藤祐二元社長は2002年8月、この土地を約9億7000万円で水谷建設に売却した。水谷建設は、この土地を月800万円でヨークベニマル(郡山市)に貸していた。ベニマルはセブン&アイ・グループ傘下の食品スーパーだ。
水谷建設は07年5月、この土地を不動産業のサンシティ(仙台市)に約13億円で売却した。さらにサンシティは翌6月、この土地を外資系投資会社に転売した。価格は不明だが、サンシティは最初から転売目的で水谷建設から土地を購入したと見られる。東京高裁が収賄を0と認定したのは、この土地が9億7000万円を超える価格で転売されたからだ。

青木理「特捜検察にはチェック機能がない。だから、走り始めると、止まらなくなる。宗像さんの表現を借りれば、護送船団が動き始めると、後戻りができない。大阪地検の証拠改ざんもそうだ。福島の事件では強引な取り調べで、ありもしないことを供述させ、調書をつくり、起訴したとされている。共通している」
宗像紀夫「検察は独自捜査をやるとき、この事件の構造がどうなっているか、仕上がりはどうなるか、その見立てをする。(福島県)知事の事件だと、弟がやっている会社の土地の売買にゼネコンが絡まっている。ダム工事の下請に入っている。これは賄賂じゃないかと見立てる。
実際に捜査をやってみて、違ったと思えば、引っ込めばいい。しかし、見立てに当てはめて、強引に捜査を進めると、間違ってしまう」
江藤愛「そういう『つながっている』と思うきっかけは何か。誰かからリークがあるのか」
宗像「8億円の土地を9億7000万円で買ったゼネコンが、ダム工事の下請に入っている。だから、増収賄があるに違いないという筋書きを立てて、捜査を始める。その筋書きがおかしいと思ったら、途中でやめればいいが、なかなか戻れない」
青木「佐藤さんは在任中、原発に批判的な立場をとり、モノを言う知事と呼ばれた。佐藤さんが検察に狙われたのは、それが原因か。『国策捜査』というのはあるのか」
宗像「いま言ったように、この知事は日本の行政にとって有害だから排除しようという考えは、検察にはないと思う。
知事の事件は、『アエラ』という週刊誌に載った記事がきっかけだった。知事の弟とゼネコンが土地取引をやった。値段が相場より高く、そのゼネコンがダム工事の下請に入っていたと。特捜部は週刊誌やアングラ雑誌をよく読んでいる。国会でも、変な質問をする議員がいないか、ずっと見ている」
青木「新聞やテレビの記者が情報を持ち込むこともある」
宗像「ある。はっきりと言っていいのかどうか分からないが…」
(つづく)