3月の終わりの頃。私は、祖父の親友ご夫妻、祖父のもう一人の親友の妹さん達と一緒にお花見に行った。

祖父のもう一人の親友の妹さん達とは、その日が初対面だったのだけれど、お二人とも私に優しく親切で、昔の話などを沢山話してくださった。

 

祖父の親友であるおじいさんにはお礼の手紙を送ったのだけれど、妹さん達のご住所はわからず、私はお礼の手紙を出せずにいた。

しかし、お礼の手紙を出して数日後、おじいさんはお手紙で妹さん達のご住所を私に教えてくださった。

ちゃんとお礼を伝えたかった私としてはありがたかった。

そして、おじいさんから教えて頂いた旨を書き添えて、妹さん達にもお礼の手紙を送った。

 

私はただお礼を伝えたかっただけ。それ以上のことは何も求めていなかった。

 

そして、今日。

郵便受けを見ると、珍しく手書きの封書が届いていた。

誰からだろうか。差出人を見ると、妹さん達のうちのお一人だった。

 

中身を切ってしまわないようにそっと封を開けると、中には何枚もの便箋に丁寧に書き綴られたお手紙が入っていた。

昔の女性の美しい文字といったような文字で流れるように書かれているお手紙を読んでいると、妹さんからの温かいお心遣いを感じた。

 

私は赤の他人だ。

妹さんは、祖父の親友の妹。私は、妹さんとは何の血縁関係もなく、先日初めてお会いしただけの人間だ。

それなのに、まるで昔から私と繋がりがあるかのような言葉の数々が散りばめられていた。

 

おじいさんも、おじいさんの奥さんも。

祖父のもう一人の親友の妹さん達も。

みんな、私と血の繋がりはない。

それでも、突然現れた孫のように大切にしてくれる。

 

これって、とても幸せなことであって、そうそう起こることではない。

 

こんな幸せが私に訪れたのは、今は亡き祖父のおかげだ。

 

祖父は亡くなってもなお私を愛し続けてくれている。

そんな気がする。