老人と若者           2025/02/13  

                             川崎勝治

19才の夏、父と二人で海釣りに出かけた。

舟は旧式の木造船、艪漕ぎ型です。晴天に恵まれ、いざ、出航です。

30分程で、目的地に到着。釣りを始めました。

1時間経過すると舟が揺れ始めた。何か変だ。

当時は携帯もなく、土用波警報もありませんでした。

 

次々と押し寄せる土用波です。太平洋の彼方に台風が発生したようだ。

釣りを止めて、暫く波の動きを観察します。

父が艪に取りつきます、足を踏ん張り、歯を食いしばり、臨戦態勢です。

陸に向かって、必死に艪を漕ぎます。私はバケツで船底の海水を汲みだします。

 

暫くすると、波は益々大きくなり。波の谷間に入ると、見えるのは空だけ。

波の壁は6m位、最も危険な状態です。

何処を見ても、そそり立つ、波の壁です。もう二人とも体力の限界です。

遭難かも。荒波に.放り出されたら,助からない。

 

波との格闘を初めて、40分位、ようやく陸地が見えてきました。

助かったのです。砂浜に力を込めて、のりあげます。

舟から下りて、暫く無言で、動きません。

二人は土用波に勝ったのです。

 

釣り人よ、海に釣られるな.!!

釣果ゼロ、しかし老人と若者の命は、最高の釣果