「東京ジオラマ展」が実現するまでの過程を前回の「さかつうバス模型展」も振り返りながら記載しています。

 東京ジオラマ展の当日の模様についてはこちらの記事をご覧ください。

 

 

 

 模型のイベントの記録を主催者からの視点で記載したものは珍しいと思います。イベントを主催した経験を記したブログは検索した限りほとんど見つかりませんでした。鉄道模型やジオラマの展示会を開催してみたい方の参考になりましたら幸いです。


自己紹介

 


 京都出身、京都在住の社会人2年目のモデラーです。バスコレ走行システムのジオラマを製作しています。


東京ジオラマ展の原点 「さかつうバス模型展」について

 東京ジオラマ展は私が主催する模型のイベントとしては2回目です。昨年の1月に東京ジオラマ展の原点にあたる「さかつうバス模型展」を開催しています。



 Nゲージの一分野であるバスコレは今まで専門のイベントがなく、展示機会が少なかったです。知り合いのバスコレモデラーも展示機会を求めている方が多くおり、以前から開催を模索しておりました。

 様々な事情により開催の決定がイベントの17日前で、準備時間がほとんどありませんでしたが、後援企業であるモーリン株式会社様の多大なご協力により実現できました。イベント会場の手配や企画、展示など幅広くお手伝いいただきました。

 偶然、バスコレ走行システムの新商品の発売の直前の開催となり、トミーテック株式会社様にも出展いただけました。

 

 

皆様の多大なご協力により、「史上初のバスコレ展示会」を実現することができました。


東京ジオラマ展の開催決定までの過程

 さかつうバス模型展で「史上初のバスコレ展示会」を実現できたのですが、やり残したことがありました。

 鉄道模型のジオラマの規格のジオラマ(1/150や1/80など)は専門のイベントがなく、鉄道模型の分野においても「東京」や「都市」がテーマのイベントは前例がありませんでした。私は道路系モデラーで、バスコレや東京のジオラマの製作者とお話しする機会が多かったのですが、特に「線路のないジオラマ」を製作されている方から展示機会の確保のご要望をたくさんいただいておりました。

 そこで次回は「鉄道模型」や「バスコレ」に限らず、東京都内や首都圏を再現したジオラマを幅広く展示することとしました。私が大学を卒業し、社会人になってしまったことでなかなか時間が取れなくなってしまったのですが、休日に準備を進めていきました。

 8月に正式に開催を決定し、企画書の作成や会場の手配などの準備を進めていきました。今回もモーリン株式会社様とCityscape Studio様に後援企業になっていただき、イベントの実現に向けて多大なご協力をいただきました。

 当初、イベント名は「東京の鉄道とバスのジオラマ展」でしたが、東京のジオラマを幅広く展示するためにあえて「鉄道とバス」をイベント名から外してみました。集客面での不安はありましたが、結果的に名前を短縮してよかったです。


イベントの方針について

 イベントの開催目的がバスコレと都市系ジオラマの展示機会の確保です。そのため、展示作品を「東京の鉄道とバス沿線のジオラマ」に絞りました。鉄道模型のイベントはたくさんありますが、他の展示会との差別化も図っています。

 出展作品について、さかつうバス模型展は相互フォロー内で一般公募をしましたが、今回は限られたスペースで趣旨にあった作品を展示するため、主催者からの完全招待制を採用しました。

 コンセプトは「鉄道模型をアーティスティックに、アカデミックに」としました。ただ作品を並べるだけでなく、東京の魅力を表現し、伝えていく方法を追求していきました。


イベント実行委員会の立ち上げについて

 イベントの実現に向けて、正式に「東京ジオラマ展実行委員会」を立ち上げました。詳細は後述しますが、様々な改革を実施するため、東京ジオラマ展はトップダウン型の組織を採用しました。そのため、実行委員会は私が全額出資しています。
 
 個人主催のため予算は少額ですが、営利企業や出展ディーラーにも出展・ご協力いただく以上は集客を成功させる必要がありました。そのため、意思決定機関を1箇所に集中し、展示作品と物販のクオリティコントロールをしていくことを図りました。

 大規模な改革を実施しより高い価値を提供していくため、以下の施作を実施しました。

施作①展示作品は都内と首都圏のジオラマのみ
 先述の通り、展示作品は「東京の鉄道とバス沿線のジオラマ」に絞りました。博物館や美術館の企画展のように、テーマに沿った作品を主催者が集めていく方式です。
 あえて展示作品を狭めることで、イベントの目的と役割を明確化しました。

施作②地域や沿線ごとの展示
 一般的な鉄道模型のイベントは製作者やグループごとに固めて展示しますが、今回はあえて地域や沿線ごとに展示することにしました。
 ジオラマは風景の一部を切り取ったものですが、同じ地域の作品を連続して並べることで作品に連続性と関連性が生まれ、会場全体で「東京」を表現することを意図しております。出展者の方から、作品の管理や破損への懸念の声を多くいただいておりましたが、皆様のご理解をいただきながら、作品の位置を調整していきました。主催者が作品の展示位置や方法を決定する方式は珍しいと思います。 

施作③出展料金は同額で、作品展示し放題!
 一般的なイベントは展示面積に比例して料金が上がりますが、今回は出展数にかかわらず料金を一定としました。魅力的な作品を多く集めて、イベント全体の価値を高めていくためです。


イベントの準備について

 今回私は作品は展示せず、イベントの準備と運営に専念しました。限られた時間を有効に使うためです。
 10月ごろより順次、出展作品の申し込みの受付を開始し、前回出展いただいた方と都市系モデラーの皆様にお声がけしていきました。皆様、東京ジオラマ展の趣旨と理念に共感いただき、多くの方に出展いただくことができました。

 入場料と出展料は、会場費や人件費などの経費がかかりすぎてしまい高額となってしまいました。その分高い価値を還元できるよう、出展者にもお客様にも楽しんでいただける展示空間作りを目指しました。

 

 

東京ジオラマ展のデザインについて

 

 鉄道模型をアート化するため、ポスターや各種掲示物のデザインにはかなり力を入れました。ポスターはPetaBahn様に、チケットデザインとイメージイラストはヤゴクレ様に製作をお願いしました。




 ポスターは展示作品を多く入れていただき、東京がテーマの作品が多数集まることを強調しました。

 チケットデザインはあえて写真ではなくイラストとし、東京ジオラマ展の趣旨と展示内容が分かりやすく伝わるよう、工夫しました。

 

 

 各エリアごとにヤゴクレ様のイラストを活用した掲示物を作成しました。展示作品の役割の明確化と、出展者同士や、企業、お客様と交流する「きっかけ」を生み出せたと思います。

 

 

1坪100円レイアウト展について

 3月中旬ごろ、1坪地主会代表の巌様が偶然東京ジオラマ展と同じ日にオフ会を企画されており、会場を探しておられました。ジャンルは異なるものの、同じ鉄道模型のイベントで相乗効果が見込めるため、東京ジオラマ展の会場内で「1坪100円レイアウト展」を開催していただきました。
 会場内の各種掲示物の作成に多大なご協力をいただきました。

 

 会場内の注意書きは「東京ジオラマ展」と「1坪100円レイアウト展」で共通化し、会場内のデザインの統一と、出展者の負担軽減を図りました。

 


東京ジオラマ展を振り返って

 今回は376名もの方にお越しいただけました。予測値より多く、大変感謝しております。

 普段はあまり模型を購入しないライト層やファミリー層の方にも多くお越しいただきました。「鉄道模型のアート化」という目標に一歩近づけたと思います。


 また、多くのモデラーや模型業界の関係者の方にお越しいただきました。モデラーとお客様、企業の交流の場を創出できました。鉄道模型や都市系ジオラマのコミュニティの拡大に寄与できたと思います。
 

会場内ではヤゴクレさんのポストカードを配布しました。アンケートの回収率が大幅に向上しました。

 

 

最後に

 

 東京ジオラマ展は多くの方のご協力により実現できました。改めてお礼申し上げます。この度は東京ジオラマ展にご協力いただき、本当にありがとうございました!