みなさまこんばんは。

 

大阪桃谷のサロンLa Tierraにて

西洋占星術、タロット、タントリック・ダキニ・オラクル、宏林クリスタルカードでの

鑑定、レッスンをいたしておりますエストレアです。

 

「パニック障害を抱えながら生きる」④です。

 

アスリートの中にはドーピング検査に引っかかることを恐れて、薬を服用しない人もいる。

実は小谷野さんもそうだった。内田さんが説明する。

 

「パニック障害の薬が『ドーピングに引っかかる』というのは大きな誤解です。毎年WADA

(世界アンチドーピング機構)が禁止薬物のリストを公表していますが、精神疾患の薬の

ほとんどはそのリストに入っていません。治療すれば競技復帰できる可能性があるアス

リートはたくさんいるはずで、もったいない」

 

2002年には日本スポーツ精神医学会が発足。同学会は所属医師のリストをホームページ

で公開している。

 

パニック障害を抱えた患者の家族や友人、職場の同僚はどのように接すればいいのだろうか。

小谷野さんの場合、周囲の気遣いに居心地の悪さを感じたときもあったという。

 

「僕にとっていちばん良かったのは、今までと同じように接してくれること。一緒にいてくれる

だけでよかったですね。その安心感がすごくうれしかったので。周りの方にとってはすごく難しい

ことだったと思うんですけど」

 

※アットホームな雰囲気に助けられる

 

小谷野さんは昨シーズンで現役選手を引退し、今年から東北楽天でコーチを務めている。チー

ムも、本拠の仙台も初めてである。今も試合前にトイレに駆け込んで胃液を吐く。

 

「2月のキャンプが始まる前後はコーチとはなにかとか勝手に考え込んで2週間くらい食事も

うまく取れなかったです」

 

しかし、それも「これを乗り越えたら、また成長できる」と考えるようになった。

 

「あと監督や先輩コーチの方々、選手も一体となったアットホームな雰囲気にも助けられて

います。選手からいじられるのも心地いいです」

 

小谷野さんは笑う。

 

コーチとしての信念は、「人の良いところを見つけること」だという。

 

「病気で苦しんでいるときに人から心ないことを言われて、逆に自分は『人の良いところを

見られない人間にはなりたくない』と思うようになりました。福良さんやチームメイトは自分

の良いところを見てくれましたしね。この病気になっていないと、わからなかったことだと

思っています」

 

若い選手を人格攻撃するような野次がスタンドから飛んだとき、小谷野さんは普段の温厚

な姿から打って変わって、激しい口調で「人の良いところを見られないんなら帰れ!」と言い

返ことがある。観衆の喝采を浴びるプロ野球選手も人間である。ましてやパニック障害という

人間のもろさを実感せずにはいられない病気に直面したからこそ、小谷野さんんは汚く卑怯

な野次を許せない。

 

「若い選手は言い返せない、それを守ってやるのが自分の役目です。心ないことを言われたら、

委縮して本来の力を出せなくなってしまう。それは誰にでも起こりうることだし、僕と同じ経験を

させたくないんです」

 

昨年最下位だったチームは、今年Aクラス入りした。小谷野さんの挑戦はまだ続いていく。

 

                                              終わり

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