挑戦者のパンチはシャープで、ディフェンスもしっかりしていたが、パンチの種類が少なすぎた。



そこをチャンピオンに見透かされ、途中からは余裕を持たれて試合を支配された。



初回のチャンピオンは今までになく力んでいた。珍しく大振りになり、インサイドブローでダウンを奪われ、それなりにダメージも受けた。



ダウン経験がないせいか、防御に入った際のダッキングやクリンチワークもあまり練習していないようで、辿々しかった。



しかし回を追うごとに実力差が表れ始めた。



お互い序盤は利き腕のパンチを当てようとしていたが、警戒のあまりか、途中からはリードブローの打ち合いになった。


チャンピオンの左、挑戦者の右のパンチの差が、そのままポイント差になっていった。リードブローのスピードと威力はチャンピオンが圧倒的に優っていた。


そしてフィニッシュブローは利き腕の右。



それまでのダメージとは比べ物にならない大きさだった。



東京ドームでの世界タイトルマッチは、1988年と1990年に行われているが、両方とともテレビで放映された。特に1988年はこけら落としとして行われたのでよく覚えている。



今回の観客4万人超は凄い。観客数もさることながら、チケットの高さも、プロモーターの腕が良さが垣間見える。



だが、本来ならアメリカを主戦場にしたいチャンピオンサイドが、軽量級故か、うまく事が運ばないがための、苦肉の策とも受け取れる。尤もそれでこれだけの興行ができれば、充分過ぎるほどお釣りが返ってくるのだろうが。



この日も勉強時間を作った。静かに集中してやれていて、こうした時間を作ったのは良かったと思う。