今の日本代表が、どれだけ恐れられているかわかる夜だった。



グループEのヨルダンvsバーレーン、韓国vsマレーシア。



両方の試合展開が、選手、ベンチスタッフの思惑と絡み合い、得点と時間の経過と共に複雑なものにしていった。


日本の本当の実力は別として、1回戦での敗退を避けたいという思いがどのチームにもあったようだ。


最大の見どころは、同点で迎えたATのVARによる韓国のPK獲得の瞬間だった。


誰も喜ばないし、誰も口を聞かない。何とも複雑な表情で面白かった。


キッカーはプレミアリーグプレーヤー。ゴールを決めるのか決めないのか、皆、固唾を飲んで見守るのみ。蹴る本人も微妙な表情だった。


そしてPKを決めた後の選手の表情も格別だった。早々に一回戦で日本との対戦が濃厚になった瞬間だった。その後同点に追いつかれそうはならなかったが。


但しペナルティキック自体は正確で見事なものであり、プレミアリーガーのプライドを感じさせた。




韓国がわざと同点にされたとは思わない。ただ最後の場面は、マークも寄せも甘く、守りに入る時間帯であるにもかかわらず人数も足りていない。リードを死守するメンタルは伝わらなかったとしか言えない。


一方のバーレーンvsヨルダンは、当然韓国がマレーシアに勝つだろうという前提で進められた試合だった。つまりヨルダンは強く勝ちを臨んだわけではない。


韓国に1位を取らせれば両チームとも2位以下となり、日本との対戦を避けられる。


だからバーレーンが1点とってからは、ヨルダンも積極的に攻めなかった。



実際、ヨルダンが1-0で勝った時点では、韓国はマレーシアに3-2で勝っている状況だった。



終了後の両チームの選手や監督の和やかな様子が、この結果の意味を物語っていた。



その後韓国が同点に追いつかれ、バーレーンはまさかの1位となって日本と対戦する事になったわけだが、どんな気分になったのだろうか。


これほど日本がマークされるのはあまりない事だが、やはりドイツを4-1で下している事実と、徐々にコンディションを戻してきているという事が大きいようだ。


だが今回分かったのは、中東勢が力を取り戻してきているのに加えて、東南アジア、中央アジアの国も充分に力をつけている。


次回からワールドカップのアジア枠は倍に増えるが、時差のあるヨーロッパ組を呼ばなければならない日本は、コンディション調整が今まで以上に重要になってくる。