ボクシングの井上尚弥の世界戦が、地上波では放送されずPPVで放送された。
日本人の試合としては珍しいことである。
PPVは言うまでもなく有料視聴であり、見たい人はお金を払ってアクセスしないと視聴できない。ある意味、絞られたファンへのサービスと言える。
ボクシングのPPVで肝心なのは、まずPPVに値する実力のある選手か、だ。
戦績もさることながら、パンチの威力やスピード、防御の技術、スタミナ等、オールラウンドな「魅せる力」が要求される。
又、対戦相手のレベルも大事。そこはプロモーターの手腕にかかっている。
さらに宣伝も重要である。お金を払ってでも見たくなる宣伝を実現できるかどうか。宣伝量はもちろん、宣伝手法も質の高いクリエイティブワークが要求される。
早い回でのKOが多かった井上だが、結果的に8Rまで戦った。挑戦者は有料放送に値するだけの時間、立派に立っていた。
料金を徴収して配信する方法は、井上ファンからすればコアな満足感を得られて良いだろうが、そうでない一ボクシングファンや一般人が、今後(今回のPPVについて言えば)高いと思える料金を支払ってまで見るかは疑問だ。
アメリカのボクシングのPPVがうまくいっているのは、ヘビー級をはじめ重量級や中量級の迫力ある試合が多いからだ。
軽量のバンタム級やスーパーバンタム級なら、パンチ力もさることながら、スピードや手数の多さも試合を盛り上げる要素である。さほど手数の多くない井上が、PPVで成り上がるには、パッキャオのように複数階級制覇や複数統一戦の道を歩まざるを得ない。それはマッチメークの問題だが、やはり今そのような魅力的な相手がいるかどうか微妙だ。
ボクシングのPPVは、プロモーターが人気ボクサーを囲って、ボクサーとスタッフのために収益を上げられる有効な手段だが、同時に一般メディアに広く取り上げられないと、視聴者が増えず、当該選手の興行自体がブラックホールのように萎んでいってしまうリスクを孕んでいる。今後に注目だ。
