『二十四の瞳』

壺井栄/新潮文庫

1995年5月30日第74刷

 

 

 

 

瀬戸内海沿いのある村での、女性教師と児童12人の、交流と信頼関係を描いた物語である。

 

 

 

 

 

 

時は戦前から戦後にかけて。

 

 

 

 

 

 

共に学んだ子供たちが、国策にその身をゆだねざるをえない運命を、教師として、又、子を持つ親として見つめ続けている。

 

 

 

 

 

 

洋服を着て自転車で颯爽と通学する通称「おなご先生」は、最初村人から敬遠されるがすぐに子供達の人気者となり、村にも溶け込んでいく。やがて戦争の影が忍び寄り、男子児童は軍人にあこがれ、女子児童の中には、女子に生まれたことを悔やむ子も。戦後に再会を果たしたときには、何人もの教え子がこの世を去っていた。

 

 

 

 

 

 

戦争への思いを連ねた小説でもある。

 

 

 

 

 


抗うことのできない運命と、命の尊さ。

 

 

 

 

 

 

最後は涙で終わるが、明るい希望を感じさせてくれる文体でもある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひらがなが多用されているせいか、読む側も、国語の教科書を読んでいるような感覚になる。

 

 

 

 

 

 

映画では舞台が香川県小豆島となっているが、原作では「瀬戸内海べりの一寒村」とあるだけで、小豆島という表記はない。

 

 

 

 

 

 

著者の坪井栄が小豆島の出身なので、そのような設定になったようだ。

 

 

 

 

 

 

12人兄妹で育ったことも、「二十四の瞳」という題名につながっている。


 

 

 

 

 

 

 

「坪井さんの文学にはえくぼがあった。かざらぬ笑いがあった」

「作者は天性のストリートテラーであり、巧みな『語り部』である」

「読者はなにげなく話にさそい込まれ、やがて感動し、多分、涙を流し、読み終わった後、考え込んでしまうだろう」

 

 

 

 

 

 

巻末の小松伸六氏の解説も名文である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1957年9月5日発行