『リング』
鈴木光司/角川ホラー文庫
1998年3月15日第26版
親戚の女子高生の不審死。さらに3人の男女が、同じ日の同じ時刻に不可思議な最期を遂げた。4人の接点が見つかり、雑誌記者の主人公はこの謎を解くべく、4人が泊ったとみられるホテルに向かう。その部屋にあった一本のビデオテープ。再生するとそこにはあるメッセージがしるされていた・・・。
物語は序章もなくいきなり本筋に入っていく。
従って読み始めから極度の緊張感を味わうことになり、全編それを維持させられる。
特にビデオの映像を伝える筆力は凄い。
主人公が感じる息苦しさやリアルな体感が、ダイレクトに伝わってくる。
1週間というタイムリミットが切迫感を募らせる。
過去にさかのぼった、歴史考証にも似た行動と、時間との戦いが醍醐味である。
最後は明快な終章ではない。
延々と続く戦いを予測させるラストとなっている。
この話にはある伝染病が登場する。
すでに根絶された病気だが、ふと今の社会にリンクするような感覚にとらわれる。
本作は同名映画の公開後、続編も含めてアメリカでも上映され、ヒット作となった。
きわめて日本的なミステリーが、映像として海外で受け入れられたのは興味深い。
1993年4月24日初版
初出1991年6月角川書店
