『ポアロ登場』
アガサ・クリスティ作:小倉多加志訳/ハヤカワ・ミステリ文庫
1987年9月30日第16刷
NHK-BSで「名探偵ポアロ」が放映されている。
独特のカメラワークが面白くてたまに見ている。
そのシンプルな映像が却って新鮮だ。
ポアロはベルギー人だが、イギリス国内で探偵をやっている。
イギリスの探偵と言えば、何といってもシャーロック・ホームズだ。
ホームズは、コナン・ドイルによって、この約30年前に世に登場している。
産業革命が他国に先駆けて始まったイギリスは、警察組織も早めに編成され、犯罪とその解決話も世間を賑わせていた。
コナン・ドイルも、アガサ・クリスティもイギリス人。
推理小説を書き始めたのも、そうした社会背景が影響しているのかもしれない。
14の短編集。
『ポアロ登場』というタイトルだが、決して「ポアロの初登場」というわけではない。
原書は1924年の発行で、ポアロはこれ以前にデビューをしている。
そもそも原題は、“Poirot Investigates(ポアロ調査する)”。
さまざまなショートストーリーに、ポアロがたくさん登場するという意味なのだろう。
ポアロとその友人のヘイスティングスとの掛け合いが、ホームズとワトソンのそれにそっくりで、このあたりコナン・ドイルの影響が強くあるようだ。
言葉の連想から真相を突きとめる『マースドン荘の惨劇』は秀作。
短編の名手とも言われるクリスティ。
長編推理小説のみならず、多くの短編集も発表している。
1978年4月15日発行
