8月の『おげんさんのサブスク堂』を見ました。

Part.1はきょとんとして呆気にとられているうちに、終わってしまった。

学校で、全然授業に付いて行けなかったときみたいだった。

採り上げられた楽曲を一つも知らなかった。最後のチックコリアのSpainだけ聞いたことがあるような気がした。

知らない言葉が飛び交い、最後の闇の話になって、あ、これならわかる、と思ったら、終わってしまった。

一つには、夫をはばかり、音量を絞っていたことも原因。

初めての言葉はよく聴き取れない。

 

星野源さんも、松重豊さんも、もちろん羽生さんも、自分はよく知っていると思っていたのに、全然知らない人たちみたいだった。

変装のせいかな(ちがう)。

音楽の趣味というのは、人の内面を表す。

その内面を表す内容を何一つ理解出来なかったことが少しショックだった。

 

でも逆に、ああ、本当に、羽生さんのことで私が知っていることなんて、ほんのほんの一部なんだなあと、何だか嬉しくなってきた。

今までだって、新しい演技、新しい発表のたびにびっくりしてきた。きっとこれからも何度も何度もびっくりさせてくれるんだなと。

 

翌日、NHK+で、もう一度、ヘッドホンをして見た。

分からない言葉が出ると、10秒戻し、聴き取り、Googleで調べた。

1時間以上かかった。

本当に授業の復習みたい。

 

羽生さんの好きな曲は予想してたのに、一個も出なかったなあと苦笑してしまう。

水平線、僕のこと、弱虫ペダル、エトセトラ。

(弱虫ペダルはPart.2で出て来た)

だから、そんな簡単に理解できる人じゃないんだってば😂。

心の中は深くて深くて、きっと滝壺のように上は澄み切っていて、底には闇がうずくまっているんだろうね。

誰にも見せない(見せたいけど見せない)私たちの知らない闇が。

 

松重豊さんが源さんと羽生さんの「変態性の方向性が似てる」と言ったのには、最初びっくりしたが、羽生さんが「変態性」を否定しないので、そう思っていいのねと少し安心。

実際、羽生さんは変な人だし。ウォーミングアップやリンクサイドで口パク大音量で歌いまくるし。表情豊か過ぎるし。人を殺すような目で睨み付けるし。かと思うと赤ちゃんみたいな笑顔になるし。

 

星野源さんのことをもっと知りたくなり『よみがえる変態』を読んだ。

すごく衝撃を受けた。

星野源さんは、普通の人ではないかもしれないけど、闇に近い人かもしれないけれど、すごく優しい人だと思った。そして文章がとても上手い。

くも膜下出血を起こす前の一年間(2012年)の多忙さと来たらカオスのようで、そのカオスを苦しみながら楽しんでいる様子はすごい。

手術とリハビリの手記は壮絶だった。強い人だなと思った。

読み終わって、その夜はうなされてしまった。

 

思えば、最初に星野源さんを知ったのは、『ゲゲゲの女房』(2010年)。

主人公松下奈緒さんの弟役だった。

何か、陰の薄い人だなあ、この後死んじゃうんじゃないか、と思ったら、その弟は本当に死んでしまった。

演技が上手いんだな、と感心した。

興味を惹かれて、その後映画『箱入り息子の恋』を見て、「変な映画・・」と思った。筋書きは忘れてしまったけれど、毛布(シーツ?)を裸の身体に巻いて呆然としている主人公星野さんのシーンが強烈に記憶に残っている。

 

『昨夜のカレー、明日のパン』(2014年)では、仲里依紗の早逝した夫役だった。

幽霊になって、ちょくちょく現れる。

その幽霊は道端で野菜を売っていて、「もやしは買った日に食べる!」と叫んでいた。妙に説得力があって、それ以来、買った日にもやしを食べないと罪悪感を覚えるようになった。

 

この世とあの世のあわい(間)を漂うような、どちらも自由に行き来できるような不思議な存在。

ぱっと見陰が薄いのに、後々まで強い印象を残す俳優さんだと思った。

 

ただ、『逃げるは恥だが役に立つ』は、羽生さんのダンスで存在を知ってYoutubeか何かの違法動画を慌てて一気見したせいか、星野さんの演技はあまり記憶に残っていない。羽生さんが「ダンサーさんの動きがすごい」と言ったので『恋』のミュージックビデオを見て、星野源は歌う人なんだ、踊れる人なんだ、と遅まきながら思ったことを覚えている。

 

羽生さんが、ぼく、星野源さんがものすごく好きで(えええ、意外)、

『地獄でなぜ悪い』と『化物』がものすごく好きで(ええええ、何でそんなグロテスクなタイトルの曲が好きなん?!!!)

と言うので、やれやれと思いながら、『地獄でなぜ悪い』と『化物』をYoutubeで聴いて、「あら、すてき」と思ってしまった。

特に、『地獄でなぜ悪い』。

 

 

『蘇る変態』を読んで、その歌が、特に歌詞が生まれる瞬間を知り、ちょっとぞくぞくした。そして、歌詞が生まれる前に、あのメロディで「ラーラーラ」で歌って先に収録を済ませてしまうという離れ業(後で生まれた歌詞がしっくりそこに合うということも含めて)を知り、すごいと思った。

つまり『地獄でなぜ悪い』の曲は、くも膜下出血で倒れる前にすっかり出来上がっていて、歌詞は入院している間に生まれている。

そして、MV(ミュージックビデオ)は、病床から指だけ(Vサイン)参加している。

今にも死にそうに見えるのに、闇と地獄と仲がいいくせに、ものすごいエネルギーが静かにふつふつと絶えない人なんだろうなと思った。

 

Part.1を5回くらい観たので、Part.2はずっと分かり易かった。

 

2016年の試合の時に、恋ダンスをしょっちゅう踊っていたのは、どこかでキャッチされて星野源に届かないかという下心故だったというのも驚きながら笑ってしまったけど、まさか、2018年の「Continues 〜with Wings〜」が星野源の「Continues」を継承したものだったとは、本当に腰を抜かすくらい驚いた。

そもそも羽生くんが、恋ダンスを踊っていたのは、ガッキーが好きだからなんだと思っていた(それにしては、あの踊り方はガッキーのコピーらしくなかったが)。星野源さんが好きだったからなのか〜。

プルシェンコとジョニーのスケート継承者としてのネーミングとしか思わなかった。当時から先月種明かしされるまで、そう思っていなかった人がいるだろうか? いや、いないんじゃないか。羽生さん大ファンのVanessaさんは、星野源の大ファンでもあるけれど、彼女は気づいていたのかな。

今、思えば、twitterでの「Continues 〜with Wings〜」のハッシュタグを羽生くん自ら、「#CiONTU」としたのは、「#Continues」がファンから発生してしまうとまずい、と思ったからなんだろうな。源さんのツアーあるいは楽曲のハッシュタグとして既に存在していたから、領域侵犯したら大変、と。

何だか、本当に、羽生くんがものすごく可愛く思えてしまった。

 

星野源さんの楽曲で滑る羽生さんは『RE-PRAY』で見せて頂けるのだろうか。とても楽しみ。

 

『GIFT』の前日腰を痛めリハーサルを中断。とは、『蒼い炎Ⅳ』で1行記述があったけれど、どうやらロンカプも、後半演技も全てゲネプロで滑れなかったと今回聞き、そんなにひどかったのかと、身震いする思いがした。どれだけ不安だったことか。そこからあの翌日本番を成功させてしまうとは、何と強い心の持ち主だろう。これまでもその人間離れした心の持ち方には何度も驚かされてきたけれど。本人のいう「豆腐メンタル」とどう整合性がとれるのかよくわからない😂。

そして、それが出来た理由として、自分が滑ることだけに(コンテンツの提供だけに)集中できた。他のことは、周りのスタッフを信頼出来たこと、全て任せることが出来たことが大きい、と言うのには、すごいや、と思った。

MIKIKOさんも、羽生さんは任せるところは、ぽんと任せてくれる、と言っていた。大きな仕事を成していくためには、その能力も必要で、競技時代はそれができなかったそうだが、プロになって、あっという間に会得していくのもすごいと思った。

 

豊豊さんの「人生の一曲」がフォーレのレクイエムの中の「サンクトゥス」で、私もすごく好きな曲なので嬉しかった。そして演奏の指揮者、交響楽団についてもちゃんと言ってくれて嬉しかった。

というのは、ラジオNIKKEI こだわりセットリストの藤原菜々花さんが、ポップスについては演奏者をちゃんと言ってくれるのに、クラシックになると演奏者情報を何も言ってくれないことにとても不満を持っていたから。第1回の後、サイトの番組へのお便りやtwitterのリプライでもお願いしたのだけれど、取り入れてくれない。

クラシックの曲は、演奏者によって本当に違うのに。

この演奏好きだ(嫌いだ)と思ったとしても、YoutubeやCDでその演奏を探すことが出来ない、買う(買わない)ことが出来ない。不親切。

 

おげんさんの「人生の一曲」キース・ジャレットの『Danny Boy』を聞きながら、羽生さんの目の焦点がいきなり無限遠になったのを見て、あ、滑ってるところをイメージしているんだな、と思ったけど、これは当たりだったようで、嬉しかった。

ただ、「フィルターをつけて見ている」というのが何のことかよくわからなくて、悩んでいる。

 

豊豊さんの言葉が、理解者、応援者的で、どれも有り難かった。

松重豊さんは、『ちりとてちん』『カムカムエブリバディ』『どうする家康』など、とても好きな役者さん。ドラマの中では大体いつも眉間に深いしわが寄っているのだけれど、今回は眉間が伸びきっていて、リラックスしていて、いいなーと思った。

 

羽生さんが『RE-PRAY』に向けて、創作、制作、練習に充実した幸せな時間を過ごしておられるように、心から祈っている。

埼玉公演に、私は応募することができないのだけれど、羽生さんを愛する人たちが、たまアリを満杯にして、羽生さんと最高の時間を過ごしてくれますように。

願わくば、県内の映画館でライブビューイングが実施されますように。