『プロローグ』横浜公演は、チケ全滅で映画館でライブビューイングを観ました。

○○全滅という言葉を、今回初めて実感しました。

というのも、2019年のFaOIは、東北枠を設定してくれていたので、すんなり買えて観に行くことが出来ました。でもFaOIを観てそのとき思ったことは、「コスパ悪すぎ」でした。

私は、ニーナ・アナニアシヴィリというプリマバレリーナが大好きで、彼女が27歳から50歳を過ぎるまで、ほぼ毎年来日公演を観に行っていたので、公演中たっぷりプリマの踊りが観られることに慣れてしまっていました。

FaOIで、お目当ての演者が時間にして全体の1割くらいしか出ないのに、万を超える入場料というのに違和感を覚えたし不満でした。ですから今年のFaOIも迷いはしましたが結局チケットは求めませんでした。でもライブビューイングは観に行って、画質の良さに大満足して、画面一杯の羽生さんに心を震わせ、コスパ的には大満足しました。

今回、羽生さんの『プロローグ』については、チケットを求めることに一瞬も迷いはありませんでした。「単独」ですから、羽生さん100%。こんな贅沢なことはありません。夫の了解は何としてでも取る、とまなじり決して談判しようとしたら、あっさり「行っておいでよ」と言われました。どきどきしながらテレ朝チケットのIDを取り、チケプラのIDを取り、リアルゆづ友さんとお互いを同行者にしてそれぞれ違う日を申し込みました。

結果、2人とも先行抽選で落選し、一般抽選で落選し、トレードにも申し込んだけれど当たらず、これが世に言う「横浜全滅」なのだなとしっかり体感しました。

そして、FaOIと同様、隣の市の映画館でのライブビューイングを申し込み、羽生さんの『プロローグ』を観ることが出来ました。今回の会場はFaOIの時の3倍くらいの大きさでしたが、1列目までぎっしり埋まっていました。FaOIの時は、前方4列くらいは空いていて「前の方で観るのは辛いから売らないのだな」と思っていたのですが、買いたい人がいれば売るのですね。

羽生結弦展グッズの、『天と地と』デザインのバッグを持ってさりげなく羽生さんファンをアピールしている人もお見かけしました。トイレでハンカチが羽生アイテムかな、という人も。

ぎっしり埋まったシアターの中、みんな羽生さんのファンのはずだけど、真面目な顔して「盗撮だめー」と叫ぶアマビエちゃんを見ながら大人しく待っている様子は愛おしかったです。ぴあアリーナMMの会場が映し出されると一気に引き込まれて行きました。

 

横浜公演の内容(覚え書きとして、家で録画を観ながら記録)

音楽(緑)、羽生さんの言葉(公演内青、映像内過去水色)、私の感想(茶)

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1. 7月19日決意表明会見の、冒頭の声明+最後のファンへの言葉

2. ロミオとジュリエット(2013-2014シーズン)の曲に合わせての映像

 会場入り、バックヤードでのウォームアップ、公式練習の様子、ジャンプ失敗、横になって手を突き上げ掴み取る仕草、9歳の演技、ジュニアの演技、9歳から20歳のスピン、陸上ジャンプ、試合でのジャンプ、トリノのプーの嵐、靴紐を締めて、額にエッジケース

今、まさに、バックヤードで同じようにウォーミングアップをしているのだろうなと思いながら見ていました。

3. 真っ暗な中リンクに登場

4. 心臓拍動の音、強いスポットライト

5.「ただ今より6分間練習を開始します。選手は練習を開始して下さい」→照明全灯

6. 『天と地と』の音楽に合わせて6分間練習。

緊張感。時々腕を前に伸ばし、その先を見る。ジャンプ。3Lo、3A、上着を脱ぐ。ドリンクを口に含む。4T-Eu-3S。3S。鼻をかむ。ゴミ箱に入れ損なう。拾う。4S。しゅっぱ。髪の毛を上につまむ。鼻をかんでドリンクを飲む。

7. 「1番、羽生結弦さん」→『SEIMEI』

4S美、の後転倒。手を使わずにさっと起き上がる。4T美。3A美。FCCoSp。バッククロスの入ったStSq。3A-3T美。この後の一瞬のインサイドイナバウアーが凄く好き。3A-Eu-3S。この後のランジも好き。FCSSp、コレオ、CCoSp。

たおやか。それでいて重みもあって力強い。

「羽生結弦さんの演技でした」のアナウンス。レベランス

8. 映像 音楽はパガニーニ

時計が逆回転。サンタ帽子の幼時期の写真、4歳、9歳、『ロシアより愛を込めて』、2A成功、全国大会初優勝、2位は鈴木潤くん、10歳国際大会初出場、遊具を壊しそうな勢いで楽しそうに遊ぶ。12歳の決意、オリンピックで1位を獲りたい。14歳JGPF。演技『パガニーニ』。表彰式、隣(3位)はロス・マイナー。

9. 津軽三味線演奏 中村滉己氏

10. 三味線生演奏とともにMONKEY MAJIKの『Change』

左手はノースリーブ、右手は透け。黒に赤のひらひら。ビールマン。三味線の高い弦が切れる。

11. トーク

「皆さんの中での色々な思いを重ね合わせてこのショーを楽しんで頂けたらと思っています」が、心に残った。

12. 質問コーナー

新村さん。27,000件の質問。81の映画館でライブビューイング。

「ああ、昨日がよかったな」「僕のスケート、そんなに需要あるのか」

質問1. 過去プロを滑る時、過去衣装の手直しは?

何も直していません。全部入っちゃうんですよね。Continuesの時もチゴイネの衣装入っちゃうんですよね。そういう意味でも羽生結弦らしい。体重は4kg増えている。

質問2. 4回転フリップ披露の予定は?

やりたいんですけどね。確率も高くない。自分にとってFは難しい。力を入れるとアウトサイドになってしまう。不完全なものをお見せするのはプライドが許さない。ちゃんとインサイドで「これがFだ」と自分で思えるようになったら、6分間練習とか、こういう場で披露させて下さい。

質問3. 1番きつい練習はどんな練習?

今です、と言いたいが。2日間続けられるようにという練習。1番きついのは、「何のために存在しているのか」という苦しさ、「みんなの期待にこたえられないんじゃないか」という苦しさにさいなまれるときが1番きつい。

「世界中の皆さんもありがとうございました」

13. 演技リクエストコーナー

バングルつけて下さい。一回押すと青、2白、3水色、4紫、5グリーン。この時の羽生さんの green r の発音に、おお、とうなってしまった。カナダ仕込みや~。

青『悲愴』、白『ロシアより愛を込めて』、紫『レックレ』、緑「花になれ」

「きれいですねー」

「このコーナーこれだけで十分なので、僕もう帰っていいかな」「ダメです(新村さん)」

「レツクレみたい人~」レックレではなくレツクレと言ってる

「なんか、緑が多くないですか?」 え? そうかな。

「プリンスも滑りたいんだよな-」 紫より青の方が多いような気がするが。。。

「時間押すかも知れないけど、レツクレスピン無しでやっちゃおう。ステップだけでいいかな。最後のレレレレレレレレ、ジャラララー、で終わりで。スピン疲れるんで。えへへー」

この日、プリンスファンのエスむらさんがチケット当たったとツイートしていて、どうやら羽生さんはそのことを知ったのではないかと。羽生さんのプリンスへのリスペクトに対するエスむらさんの感謝の思いは有名。

「あの今、音響さん、困ってます」

「花になれがそこまで人気とは思っていなくて。でも、仲良しなんで、指田さんも喜んで下さっていると思います」

『Let’s Go Crazy』音出し、一回まちがい。ステップからスピンの前まで。

『花になれ』答の無い毎日に~

「なごりおしいですね」 バングルの灯りが消えることか。もう終わりかと思って焦ってしまった。この時点で1時間弱。

「皆さんとともに滑っているんだなーということを感じながら滑っていました」

14. Youtubeでのリクエストから

「僕がこんな曲選んでくれて嬉しかったなー、という曲を選びました。」

「Hello, I love you. 今日はコロナ禍なので、Tシャツに❤️描いてぽいっはしませんけど、ニヤニヤしてやって下さい。足さばきとかカート・ブラウニングさんらしい振付、ロックな感じ。」

ハイドロ、全く手を氷につかない。

なんか、嬉しそうに演技するなあ。

15. 「天と地のレクイエム」の音楽で、東日本大震災の映像。

津波、瓦礫、捜索、呆然、数学の教科書、佇む人、ロウソクと花に手を合わせる人、アイスリンク仙台、「スケートを続けていいのか」、車中、神戸でのチャリティーショー、16歳の細い身体、

阿部修英さんがnoteで語っていたのだが、クレジットの使い方に私も気がついた。辛い映像にクレジットを入れることで感情の距離を取ることが出来る。

16. 2011.4.9東日本大震災チャリティー演技会 

『ホワイトレジェンド』フル映像、賢二先生と奈々美先生

「自分の好きなことを精一杯やって、少しの人だけでも喜んでいただけたのなら、これ以上幸せなことなんてないと思います」

17. 2011GPF ロミオ+ジュリエット 映像

ラーーーシ♭ーソーラーーー でツイズルしながら本人が登場

レミファー で演技開始

たゆとう感じ。しぐさが﨟長けている。音楽がゆっくり流れているような感じすらする。

叫び。レベランス無し、軽いうなずきだけで幕裏に退く

18. 『NOIR』(もっぴーさうんど)に合わせての映像 

ロミオとジュリエットの演技(2013GPF?)ソチのパリ散、ロミジュリ、ウイニングラン、

2016ACIのLCGの4Lo、2016マルセイユGPF、H&Lの4Lo成功。平昌のSEIMEI。

19. 『夢見る憧憬』(もっぴーさうんど)演技映像

20. 布を羽織って登場。FFX『いつか終わる夢』+プロジェクションマッピング

プロジェクションマッピング、木々、羽生さんを追う軌跡、渦、人の形が現れる。文字たち。

真っ暗、暗い水、光を受け止めて、応援、夢、ただ滑る、希望、水面、想い、灯る、分かっている、感情、怖い、独り、水面は心、世界、呼応、消えた力、

ここまでは読み取れた。その後は無いと思っていたら、ちゃんみーさんが残りも拾ってくださっていた。

気持ち、魂、樹木、光り輝いていく、満たされていく、ただ彷徨う光、照らしていく、枯れている、灯、光、力、本当、、

厳かで軽やか。暗い世に妖精が少しずつ灯りをともしていくような。

深い、悲しみ、切ない、力、優しさ、などの言葉が自分の頭の中をよぎっていった。

羽生結弦という身体表現の演技に止まらず、会場全体を1つの世界として届けてくれた。

21. サザンカ セカイノオワリ

カレンダーのしるし 2018年2月16、17に丸印。SPの日とFSの日。

ロウソクを持つ羽生少年、

逃げる事の方が 怖いと君は 夢を追い続けてきた

1位 2位 3位    努力が報われず 不安になって 

日野、羽生、刑事

日野、刑事、羽生、

ここで諦めたら 今までの 自分が可哀想だと 君は泣いた

パトリック、羽生、織田 2013SC     悔しそうな顔と笑顔

パトリック、羽生、ジェィソン 2013フランス    悔しそうな顔と笑顔

誰よりも転んで 誰よりも泣いて 

転倒シーン、5回 2019GPFの練習で3回(4A)、2013GP GPFでの4Sの転倒

誰よりも君は 立ち上がってきた 

2018ロステレの転倒、腫れ上がった足、ロステレのオリジン、表彰台

僕は知ってるよ 誰よりも君が 一番輝いてる 瞬間を

2021国別の4A練習での転倒、

夢を追う君へ 思い出して くじけそうなら 

いつだって物語の 主人公が立ち上がる限り 物語は続くんだ

2014中国杯の衝突、涙、跳べ!(テレ朝の7月23日特別番組?)

バラード第1番、オペラ座の怪人、SEIMEI、2019SCOrigin トリノプーシャワー、2015GPFのWhy am I crying?の涙、

嬉しいのに 涙が溢れるのは 君が歩んできた 道のりを知っているから

2018平昌優勝シーン

「たとえ報われない努力だったとしても

僕の歩んできた道のりが、無駄だったとしても。

僕なんかのスケートを観てくださって、

幸せを感じてくださったのなら、

これ以上ないくらい、報われています。

僕は、

幸せです」

サザンカの花が咲く、

平昌フリー前練習、転倒受傷後起き上がる、9歳、北京の4A、天と地との2人のラスト

22. 『春よ、来い』+プロジェクションマッピング

吹雪、雪嵐、冷たい、緑の線画、花、紫陽花のような、白い花たち

暗転してからの挨拶、スタンディングオベーション、「ありがとうございました!」退場

 

拍手が続く。会場中のバングルに青が灯り始める

23. 神秘的な曲に合わせて、時計の秒針が前に動き始める11:11:00から11:12:00へ そして止まる。鳥肌が立つような静かな興奮

24. 『パリの散歩道』のギターが鳴り響く

黒Tシャツで登場、StSqから最後まで。挨拶。

Adoの『私は最強』で周回。

会場一杯のバングルの青い光を見て、「やばい」思わず手で口を押さえる。

「私は幸せ」歌いながら手で胸を叩く。

マイクを探す。

これ以上ないくらい、先ほどのサザンカのVTRでもありましたけど、僕は本当に、皆さんに観てもらえることが本当に幸せです。皆さんの願いだったり、理想だったり、そういったものが僕の夢ですし、これからも自分のためにも滑りますけど、皆さんのためにも、これから一生懸命、がんばっていきます。どうかよろしくお願いいたします。

今日は本当にありがとうございました。そして、このぴあアリーナに関わってくださった、皆さんに大きな拍手をお願いします。

それでは、また皆さんに、僕も、みなさんも、健康で会えるように、これからも一生懸命頑張りますし、皆さんも、どうか健康で元気にお過ごしください。それでは、

ありがとうございましたーーー。

羽生さん、最後、泣いてたね。

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羽生さん、すごかったよ。よかったよ。素晴らしい物を見せてくれて本当にありがとうございます。

感想がきちんと言葉になるには、まだ時間がかかりそう。というか、まだふわふわとあの時空間を感じていたい気分。

言葉にしてしまったら、あの時震えていた心の振動が、凝って違う物になってしまいそうで、怖じ気づいてしまう。

7月19日の「決意表明会見」で、「もっと緊張させてしまうかもしれないし、(僕も)もっともっと緊張するかもしれないです」と、羽生さんは言っていた。その時は、4Aを披露したりするのかな、4Aや高難度ジャンプを入れたプログラムをこれからも滑ってくれるのかなと思ったりした。

でも、今回、公演までに私が感じた緊張はこれまでとは種類が違った。ずっと恐ろしい緊張だった。

 

羽生さんと、羽生さん陣営は、プロになってから、そして公演準備の段階でも、これ以上無いほどファンに寄り添って下さった。

Youtube開設に始まって、『プロローグ』アナウンスと共に、ツイッター、インスタグラムアカウントの開設、Youtubeメンバーシップの導入、

アイクリ枠でツイッターが騒然となった時、アイクリ枠と先行抽選枠での重複当選を無効とするように調整してくれたり(又聞きです)、八戸のアイクリ枠が取消になったり、

横浜も八戸もチケット一般発売は、先着順から抽選に変更、

グッズ販売は整理券方式で入場時間規制を設け混み合わないように、

通信販売グッズがあっという間にSOLD OUTになったら、すぐに追加受付を可能に、

各アイテム5つまでとして各サイズで5つ買う猛者が現れると、すぐさま「サイズにかかわらず」という文言が付け加えられ、

ぴあアリーナMM会場入場も時間差規制で混み合わないように、もちろん退場も、

テレ朝チャンネルで最終公演の放映、

ライブビューイングを決定、売り切れに伴い会場を70館から81館111スクリーンに増設、

八戸公演は2日から3日に

八戸公演は、横浜落選組が有利になるように調整、

他にも心づくしが。

初めのうちは、わあ有り難いなあ、羽生さんすごい気遣い、と単純に喜んでいたのですが、だんだん気がかりになってくる。もちろん、チケット、グッズ、ライビュに関わることは、羽生さんが信頼するスタッフの方が担当しているのだろうけれど、羽生さんの意向は常に伝わっているような気がするし、何より、ツイッター民の悲鳴、叫びが悉くすぐにすくい上げられていく様子を見ると、そこまでやると、羽生さんが疲弊してしまうのではないかと心配になってくる。

私たちはいいんですよ、とにかく羽生さんが『プロローグ』公演の準備に集中して下さい、と思う。

そしてチケット、グッズ、ライビュの完売の様子を見たり、また、ツイッターやYoutubeコメントなどで、どんなにみんなが『プロローグ』を楽しみにしているか、期待しているか、羽生さんの各メッセージにすぐさま万に近いコメントがありとあらゆる言語で書かれていく様子を見ると、だんだん恐ろしくなってきました。

みんな、羽生さんなら何かをやると思っている。自分たちの想像を超えたことをやってくれると思っている。一体どうやって、その期待に応え、その期待を上回ることを実現出来るというのか。準備期間はそんなにない。たった独りのショー。どうやって、時間を持たせるのか。体力の限りに頑張って1日持たせたとして、翌日も? 無理だ。考えていると緊張と不安で眠れなくなる。

布団からがばと起き上がって、緊張と不安を鎮めるために、深呼吸をして水を飲む。

夜中のパソコンに向かい、メンバーシップのリプライ欄に、

「チケット、ライビュ、グッズの売り切れを見るにつけ、羽生さんの人気の凄まじさに震えています。羽生さん、『プロローグ』への世間の期待に押しつぶされそうになっていませんよね? 私は(多分他のファンもそうだと思うんですけど)、何か驚かせてくれるショーを期待しているのではないですよ。羽生さんが羽生さんらしくある様子を見たいだけです。羽生さんが健康で滑ってくれることを、毎日祈っています。」

と書いてしまった。

図々しくも羽生さんの代わりに、自分が押しつぶされそうになって、その不安を言葉にして書き付けてしまった。朝になってから読み返し、余計なお世話だと思った。こんな言葉は羽生さんにとって、害はあっても益はない。最後の一文だけ残して削除した。

 

そして、どう?

一体何を心配する必要があった?

『SEIMEI』(フル)、『Change』(フル)、『レツクレ』、『花になれ』、『Hello, I love you』、『ロミオ+ジュリエット』(後半)、『いつか終わる夢』(フル)、『春よ、来い』(フル)、『パリの散歩道』。

フルで4曲、他の曲もその神髄をしっかり見せてくれる演技だった。

映像も、羽生さんの気持ちがはっきり伝わるものだった。実際にご自分が編集したのかと思うほどだった。現実的にそうではなかったと思うけれど、きっと何度もダメ出しをしながら作ったのでしょう。「朝までやってもらった」とインタビューで言っていたそうだ。

 

プロジェクションマッピングとのスケートも素晴らしかった。初めて見たときは、羽生さんのスケートだけを観ようとして、小さかったり、はっきり見えなかったりして、ちょっといらっとしたのだけれど、録画を観るうちに、これは、会場全体を舞台として表現しているのだと気がつき、その素晴らしさに震えました。

羽生さんの動きはゆっくりなのだけれど、高いエネルギーを感じる。羽生さんがどう動くかを見るプログラムではなく、羽生さんが空間をどう動かし変化を与えているかを見る、そんなプログラムだと思った。

実は、先日能の『石橋』を観たのだが、動きの少ない前場においても、シテが立ち、身体と顔をゆっくり向けるだけで、ある重厚な空間が産み出されていく。

演ずる者の身体能力(技術)に主に興味を向けるのが西洋的だとすると、和の世界では演ずる者が作り出す空間を堪能するのかなと思った。そして空間を作る出すのにも身体能力(技術)は必要なのである。『いつか終わる夢』からはそういう醍醐味を感じた。羽生さんが動く。光が後を追う。羽生さんが妖精のように、光を操る。光は渦巻き、動き回り、客席の方まで広がって行く。MIKIKO氏との共作は見応えのあるものだった。

 

表現者としても人ならざる存在の羽生さんですが、プロデューサー、ディレクターとしても、人ならざる存在だなと思います。

 

 

質問コーナー、1日目の3つの質問は、

  1. プロローグを見て受け取って欲しいテーマは?
    「ここまでの道筋を、1つとして同じ演技がない中、羽生結弦のドキュメントを見ていただきたかった」日刊スポーツ
  2. 節目はどこだったか。
    質問は「人生で迎えた沢山の節目、羽生選手にとってどの節目がスケーターとして価値観が変わったか?」

ボクにとって大きかった節目は2019年全日本……体力的にも身体が動かず、悔しかった。

フィギュアスケートってなんだろうって考えた。考えながらSEIMEIをやって……あぁ凄くフィギュアスケートらしいなって思った。

ボクにとって、季節が変わったとか、花粉症になったとか、そんなことでも価値観は変わる。

努力と一緒で、一つとして無駄なことはない。

プロローグも無駄なことは無かったと思える映像が詰まってる。普通では考えられない、この広い広いリンクに自分の過去を詰め込んだ。皆んなにとっても、今日が一つの節目になったら嬉しい。machidayさん

 

「節目はどこだったか」には「小さなことでも節目はある。19年のグランプリ(GP)ファイナルの後、全日本でも体が動かなくて…(ともに2位)。その後『フィギュアって何だろう』と思って、でも、さっき演じた『SEIMEI』を演じたら、フィギュアらしいなと思って」と立ち直った時期を挙げた。(日刊スポーツ

 

この質問と答えを伝えてくれたツイートや記事は少なかった。2019年GPFを、全日本を、その悔しさを、(怒りを、)感じた人たちにとっては、とても重い言葉だったと思うのだけれど。「節目は花粉症になった時に感じるそうです」というツイートはいくつか目にした。でも羽生さんは、いつも思うけど、自分の言葉を人に押しつけない。分かり易く語るけど、全ての人に自分の思いを正しく受け取ってもらうことは期待しない。それはスケートも同じですね。自分は一生懸命伝える。でもそれをどう受け止めるかは、受け取って下さる人の自由。誠実で慎ましい。

 

 

 

3. 選手と呼んでいいですか?

 

「プロになった時点で選手ではなくなってしまうということかもしれませんけど、僕にとっては競技をやっていくのとなんら変わらないです。以前より体力と、いろいろな表現力を身につけましたし、これからも選手と呼んでいただけたらうれしいです」松原孝臣さん

 

私は以前は羽生さんのことを羽生くんと呼んでいた。でも、2020年の5月くらいから羽生さんと呼ぶようになった。羽生さんの深い精神性、芸術性、自己を律する様、人に敬意を示す様子、ひっくるめて人間性を感じるにつけ、軽々しく羽生くんと呼んではいけないような気になったのだ。羽生選手と呼ばなかったのは、私にとっては羽生さんは選手である前に人であり芸術家だったから。

プロ転向以降、メディア各社が選手と呼ぶのを止めて「さん」づけで呼ぶのは、「もう選手じゃ無い普通の人だよね」という、冷たい付き放しを私は感じてしまうのだけれど。自分はそういうつもりで「さん」づけしているのではないので、何となく居心地が悪い。どうしたものか。しばらく、羽生選手と呼んでみようかな。

 

11月1日に質問を募集してくれたとき、数の1つになれば意味があるから、うざい質問でも大丈夫かなと、送ったのが以下。

 

「あなたは天使なのですか?

どうしていつもそんなに澄明なのですか?

羨んだり、妬んだり、恨んだり、憎んだり、軽蔑したり、そういった負の感情を人に対して持つことはないのですか?

 

100万人の人々からの愛をどうやって受け止めているのですか?

言葉を交わしたこともない人たちからの愛をどうやって信じることが出来るのですか?

 

傷つくかも知れないのに、どうしていつも心を開いていられるのですか?

 

夜中に、たった1人で、黙々と練習し続けられるのは何故ですか?

 

どうしてそんなに美しいのですか?」

 

羽生さんのことを考えるとき、本気で不思議であり、本気で知りたいと思っていることです。でもこれにはまず答えてくれないだろう、そもそも羽生さんの目に触れさせる前にはじかれるだろうなとは思ったけれど、枯れ木も山の賑わいになればと送りました。27000の質問のうちの1つではあるわけです。

 

リクエストコーナー

私は、Origin、バラード第1番、クリスタル・メモリーズが観たいですと書いたけれど、全てひっかからなかった。海外のファンが集計したところ、Originがダントツに希望が多かったそうだけれど、軽く無視されましたね😂。

ロンド・カプリチオーソを滑る怖さは、24時間TVで克服できたとおっしゃっていたけれど、Originはまだ辛いだろうか。それとも、八戸ではサプライズで滑ってくれるのかな。

1日目のリクエストコーナーは、『スパルタカス』だったのですね。テレ朝チャンネルで見せてくれました。私は『スパルタカス』は関先生の振付かと勘違いしてました。都築先生だったのですね。

都築先生は私的には、納得出来ないところもあるのだけれど、羽生さんを正しく教え、育て、支えて下さった偉大な師であることに異存はないです。羽生さんが都築先生の前でいつも少年のようになるのが、なんかいいなあと思う。都築先生が北京の羽生さんに向けておっしゃった「報われなかったなんてとんでもない。これ以上報われた人がどこにいるんだ」にも、羽生さん、本当に救われていたよなあと思う。

 

『いつか終わる夢』(ファイナル・ファンタジー10)

私はファイナルファンタジー10というゲームを知らないのだが(実はゲームは何1つ知らない)フモフモさんの説明によると、

シンは「夢のザナルカンド」を守り続けようとする。そして「夢のザナルカンド」の天敵、機械文明が実世界スピラに現れると滅ぼそうとする。

ティーダは「夢のザナルカンド」の住人なのにシンを倒そうとする。倒せば自分も消滅してしまうのに。それでも「まやかしの希望」ではなく、「自分の物語」を生きることを選択して。

羽生さんは、メディア各社によると、『いつか終わる夢』を、ISU公認の初めての4Aの成功者に自分がなれなかったことになぞらえて語ったらしいですが、それだけなのかなとちらと思いました。

全くとんでもない考え違いかもしれませんが、私には、次のような事が頭に浮かびました。

ISUは、「フィギュアスケート競技」を守り続けようとする。そしてAIや複数ビデオ、羽生さんの論文など新しい審判技術の「機械文明」が現れようとするとそれを滅ぼそうとする。

羽生さんは、まやかしの「フィギュアスケート競技」の世界ではなく、「自分の物語」を生きることを選択した。そのことにより、4Aの初成功者となることは叶わなくなるし、もしかしたらISUによって与えられた過去も虚しくなる可能性もある。自分の存在意義の証しとして頼ることも出来なくなるかもしれない。

でも、ISUの今の「フィギュアスケート競技」は、スポーツと呼ぶにはあまりに恣意的で不公正で、いつか終わる夢であるはずだし、自分はそこから出て新しい一歩を始めなくてはならない。

あまりに安易なアナロジーかもしれませんが、私には、ISUこそがいつか終わるはずの夢を見続けているように思えてなりません。羽生さんは、そこから出て、出発したのです。

 

 

とりとめもなく書いてしまいましたが、八戸公演も今のところ全滅です。今朝一般抽選に申し込みました。保険としてライブビューイングにも申し込みました。どうなるでしょう。私としては、会場が満席になればそれでいいかなと思っています。羽生さんが自分の需要を把握して、ショーが成功し、幸せになってくれればそれが1番。

八戸公演まで2週間を切りました。羽生さんがコンディションを整えて、ご自分の思い描く演技・公演を実現し、観客が喜び、羽生さんが幸せになれますように。