長久保さんと小海途さんによる羽生くんの写真集「YUZU’LL BE BACK」を買った。
最初は買わないつもりだった。自分がスチル写真に対しての鑑賞力が低いのを自覚していたから。能登さんや田中さんによる写真集は持っているが、素敵な写真だなあとは思うものの、今一どう鑑賞していいのかわからない。能登さんや田中さんが好きだから買ったようなところもある。
「能登さんや田中さんにはこういう表情をするのね。いいわね」という、なんか写真集を観て感じるのとは違う感想を持ったりする。
「要するに猫に小判、豚に真珠だ」と開き直っていた。
でも、未練たらしくamazonの「YUZU’LL BE BACK」レビューを読む内に、うずうずしてきて注文してしまった。
届いた写真集をめくるうちに、目頭が熱くなり涙が出てきて驚いた。写真集を観て泣いたのは初めてである。
何故なんだろう。
もう一度初めからめくる。
この瞬間は、この表情は、私が目に焼き付けておきたかったものだ、と思う写真が何枚もあった。
私の思いを汲んでくれたかのような写真集だと思ったからかもしれない。
世界選手権2019。
最初の白黒写真は、ショートの後の記者会見ではなかったか。
3位になり自分への怒りを冷凍。これからどうするかを冷徹に思考する横顔。
公開練習前にキスクラ陰から姿を現した瞬間のぶれない表情。
ファンの前で氷上練習ができる喜び。
Y字ではしゃぐ羽生くん。
可愛い顔、厳しい顔、きれいな顔、くしゃくしゃの笑顔。
羽生くんの白目はなんてきれいなんだろうといつも思う。
Otonalへ向かう前、プーを見つめる顔。なんだか少し覚悟が決まっていない表情に見えて少し不安だったのを思い出す。
Otonalを終えて。唇を噛む。上を見上げる。
Originを終えて。吠える。龍のような蛇のような形相。こういう羽生くんもすごく好きだ。
長久保さんのしかけについて。
ツイッターで読んでから、何度も全ページ見返した。
わからず、あきらめようと本を閉じかけた瞬間、何かが見えた。
え? まぼろしの天女?
もう一度本を手に取る。
「春よ、来い」のページをそっと少しだけ開く。
天女が二人いた。サイドバイサイドで。
ふふっと笑ってしまった。
眠いのに眠れないとき、羽生くんの演技を動画で観ていると、羽生くんが二人になって、サイドバイサイドで滑り出すことがある。SBSでドーナツスピン、SBSで4回転ジャンプ。何て贅沢なんだろうと思いながらベッドに倒れ込むとすーと眠れる。
写真集でもサイドバイサイド。嬉しい。
そうと分かってからは、背景の暗い見開きのページを次々とそっと眺めてみる。長久保さんと小海途さんと羽生くんからの不思議なプレゼント。
「この瞬間は、この表情は、私が目に焼き付けておきたかったもの」と感動した動画があったことを思い出した。YUZU’LL BE BACKを観たときと似た感動だったと思う。嬉しくて涙が出そうになった。
Sugar Autumnさんの「羽生結弦~champion in pyongchang」だ。
今も何度も観る。