春休みになった。2年間の単身赴任を終え夫が戻ってくる。

これがとても不安だった。

2月に夫の誕生日があり、平日休みを取って戻って来た。息子は家を飾りケーキを作りお祝いの準備をして待っていた。

お父さんお誕生日おめでとう‼️と言って帰宅も喜んだものの食は進まなかった。

3人でボードゲームをしても浮かない顔。公園でも行くか⁉️と聞いても「うーん、大丈夫」

大丈夫というこの答え方。息子がよく使います。

「もう少し食べる?」「大丈夫」「大丈夫ってなに?要らないなら要らないって言って」とイライラしながら答えたことも数知れず。

夕飯もお父さんは向こうで食べて、と私と2人別部屋で。何というか父親拒否モード。


私と2人だけの世界を邪魔するなとでも言うかのように(お布団の上での食事生活はこの後始まった)

本当に申し訳なかったのだけど夫に伝えた。

「今、あなたのことを拒絶しているようだ。仕事が入ったと言うことにして早めに単身赴任先に戻って欲しい」と。

早朝からお弁当を持って働いてくれてる夫。少しでも時間があれば戻ってくれて、息子との時間を過ごそうとしてくれていたのに、追い返そうとするなんて、酷いと思ったが、このままだともっと食べられなくなりそうな息子を見て、頼まざるを得なかった。

「ごめんね。病気だから許してあげて。嫌いにならないでやってね」と泣きながら伝えた。

「嫌いになんかならないよ、頑張ってるし。明日朝置き手紙して戻るね」


翌朝5時前に家を出ていった夫。

「急なお仕事ができたので戻るね、ごめんね。お誕生日祝ってくれてありがとう」

そうメモを残して。


夫は単身赴任先から毎朝メッセージを息子に書いて送ってくれていた。ホワイトボードびっしり書いたものを写真で送ってくる。今思えばそれもプレッシャーに感じていたのかも知れないけれど夫は自分なりに不在の間でも父親であろうとしてくれていた。それとは別に休日出かけたら絵葉書を送って来たり、ことあるごとに手作りメダルを作って送ってくれたりした。

息子も楽しみにしていて返事を書いたりしていた。


その日の朝起きて来た息子。お父さんは?とも聞いてこない。私も言わない。メモも見ない。

明後日までいるはずの父親がいなくても何も感じていない息子。

そうか、今は私しか受け入れないんだね。お父さんが嫌いとかではなくて、世界がお母さんとぼくなんだよね。


ちなみに、こうなるまでの息子は赴任先に戻る夫をいつも号泣しながら見送っていた。戻らないで!お父さん、寂しいよぅと。

夫も毎回泣きながら戻っていた。

大好きなお父さん。でも今は存在を受け入れられないお父さん。


悲しい夫の誕生日。