エステクニカルワークスです。
本日はジェットスキーネタでお送りいたします。
ジェットスキーはインペラと呼ばれるプロペラで推進力を得る構造です。
漁船のような外から見て船体の後ろにプロペラが見えるような構造ではなく船体裏側にあります。
そのインペラのネジ舐めについて書きますね。
まずインペラは水の中で使用されるものなので一般的な鉄ではなくステンレス製で作られております。
インペラが取り付けられる軸も同様にステンレス製で作られております。
この部品はある程度の強度が必要で、ホームセンターで売られているようなステンレスボルトのような物とは配合が違う特殊な材料のステンレスです。
ステンレスというのは錆びないメリットもありますが当然デメリットもあるわけで、
一般に売られているステンレスボルトを思いっきり締めたことがある方はわかると思いますが、オーバートルクで締めると緩まなくなります。
これは多くの場合、ネジ山同士のかじりによるものでオーバートルクで締めた後に緩まなくなったものはほぼ100%それ以上緩めることができません。
こうなってしまうとナットを割ったり、締めあげて(又は思いっきり緩める方向で)ボルト自体を折るしか手立てはありません。
本題へ戻りますね。
写真はカワサキ ウルトラ250Xのインペラです。
インペラを交換するため、普段のように専用工具を全長60cmのブレーカーバー(スピンナーハンドルとも言います)につけてインペラ緩めようとしたところ全く緩みません。
それどころか万力を固定している机ごと動くほどでした。
それでもまだ緩まないため秘密兵器を使って何とか緩めることができました。
インペラ側
シャフト側
塩噛みだと白いものがあるのですぐにわかるのですが今回はなかったので塩噛みではないようです。
このインペラの場合はちゃんとモリブデングリスが塗ってありました。
可能性として考えられるのは、前回の組み立て時に
1.オーバートルクでの組み立て
2.ネジ山に何も塗らなかった
3.ネジ山がかじりかけのまま無理やり締めた(=オーバートルクでの脱着を2回以上している)
このインペラはおそらく3の可能性が高いと思われます。
前述のような噛みこんで折れてしまうような普通のステンレスではないもののステンレスの特性上かじりは避けられません。
ステンレスのネジ山にはマニュアル等に塗り物禁止の表示がなければグリスを塗るか、ステンレス用のかじり防止剤を塗ることをお勧めいたします。
このインペラの場合はモリブデングリスを塗ることが指定されておりますのでグリスを塗り、規定トルクで締めつけをしましょう。
(走り出してから海上で緩んでしまうと航行できなくなり遭難の危険がります。)
インペラが外せずお困りの方はご連絡いただければご相談に乗らせていただきます。
100%外せる保証はないことと、この写真のように外せても再利用不可の場合があります
相談は下記アドレスのホームページよりご連絡ください。
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