photo by Asahi Shinbun Digital
トリプルアクセルを含む6種類8回の3回転。女子フィギュアでは前人未到のプログラム。完璧に滑ることはほぼ不可能だと思われていたのに、オリンピックで彼女は成し遂げました。メダル争いに絡まなかったからこそ、できたのかもしれません。悟りの境地で演技に入っていくように見えました。雑念を払い、プレッシャーをはねのけ、無我の境地で挑むことがどれだけ難しいか。そのことを、この2日間で私たちは目の当たりにしました。
SPで失敗してしまった彼女はメダルには届きませんでした。そしてこのフリー演技も、前半グループで滑ったために点数が伸びず、全体の3位でした。それでも、あの演技をTVで観た多くの人が涙し、会場もスタンディングオベーション。この日はひいき目無しに一番だったと思います。
孤高の魂を持ったアスリート、浅田真央。
ソチオリンピックで歴史に残る名演を残してくれて、ありがとう。
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ちょうどプログラムの発表があった昨年5月頃に、このような記事 を書きました。彼女が不退転の決意でラフマニノフを選んだことで、きっとドラマが生まれると思っていました。そして4年間の成果が凝縮された4分間を、静かに見守りたいという思いでした。
正直、これほどの技術を持った選手が、オリンピックのゴールドメダル無冠でキャリアを終えるというシナリオは、寂しい。だけど、それも人生であり、運の巡りあわせでもあります。天真爛漫な天才少女から苦悩に満ちた孤高の求道者へと突き進まざるを得なかった背景は、多くの人が知るところだと思います。お母様を亡くされた直後の全日本でも泣かなかった彼女が、このフリーを滑りきった瞬間に、人目もはばからず顔を歪めて流した涙が、全てを物語っています。
本当にお疲れさまでしたと云いたいです。
これからの長い人生、彼女に多くの幸せが訪れることを、願ってやみません。

