ネイサンがいない最初のシーズンが終わった。

五輪制覇のインパクトと多彩な才能の故に話題には事欠かず、メディアへの露出はむしろ増えた。が、私が好きだったアスリートのネイサンはもういない。

 

しかしながら不幸中の幸い、なんと今シーズンはアンドレアスがシニアデビューするシーズンでもあったのだ。4年前に初見して一目惚れ、成長が楽しみと思ったものの、ネイサンで頭一杯状態だったのでその後はほとんど追えてなかった。いつシニアに来るのかなあと時々漠然と思うぐらい。最後にチェックした時少し伸び悩んでる印象だったので期待値は低めだった。だからJr.GPSで3位になったのは嬉しい誤算。そう言えば昨シーズンのJr.ワールドは10位だったけ(観てないけど💦)と相応の感慨に浸っていた。ところが次のニュースがフィンランディア杯の台乗り・・え?え?それってシニアの大会なんですけど?!いつの間にシニアに?そんなの聞いてません!(て不精でチェックしてなかっただけ💦)という衝撃のシニアデビュー。しかもよりによって今を時めく乙女のトキメキジュンファン様(キャードキドキスターと一緒の華麗なる表彰台!ラブ、なんてところもSWE選手にはあるまじき押し出しの強さではないか。その後もアンドレアスはジュニアとシニアの掛け持ちでシーズン通して出ずっぱりの一大露出大サービスをやってくれた(若いって凄い)。それでしっかり気がまぎれ、ネイサンロスを寂しがることもあまりないままシーズンは過ぎていった。結果自分でも驚くほど穏やかな気持ちでワールドの行方を追うことができた。アンドレアスがいなければ、ネイサン不在の男子トップ争いを心から楽しむなんて芸当とてもじゃないが出来なかったと思う。運命のシンクロニシティに感謝してる。

 

そうやって例年通り流れていったフィギュア界隈の時間と並行して別世界の時間を生きていた感のあるネイサンだが、米国のショーで久々にリンク上の人となった。聞けば多忙な中でもスケートの練習は継続しているとのこと。夏にはきっとまるで何もなかったかのような顔をしてまたthe ICEに戻って来るんだろうな。なんだか不思議というかシュールというか。各界のメガスターや著名な学者と交流している様を見るにつけ、もはや別世界の存在になってしまった気がしてるけど、また変わらぬ気さくさで戻ってくるに違いない。ネイサン恐るべし汗。人生の多面性恐るべし。

 

ネイサンはトータルパッケージのスケーターで、芸術性でも極めて高レベルの独自の境地を切り開いた。それは確かなのだが、それでもやっぱり彼の本質はアスリートだ。自伝を読んで改めてそう思った。時に応じてショー等で演技することは今後もあるだろうが、彼がプロスケーターとして歩む未来は正直想像できない。そして、彼のアスリートとしての物語は北京五輪で完結した。いくら惜しむ気持ちがあっても、それ以上を求めるのは最高の終わり方をしたドラマに無理して続編をつけるようなものだと思う。有終の美って大事だ。

もちろん彼が競技に戻ってくる可能性も皆無なわけではない。状況次第でそういうシナリオもあるかも知れない。そうなったら、もちろん喜んでまた応援するよ。が、今現在その可能性を期待するのはなんか違う気がする。平昌から北京に至るネイサン物語があまりに秀逸過ぎたんでね。下手にいじくって台無しにしたくない。

 

まあ、そうね。五輪直後に思ったことは1年たっても変わらなかったな。過去どれだけ好きな選手でも引退後は追うのやめてきた。選手らの私生活には基本興味がない。もっともネットが充実した現在では特に努力しなくても情報は入ってくるからね。増してやネイサンは今や自身がメガスター、これからも時に応じて興味深い話題で刺激をくれるだろう。それはそれで勿論大歓迎。

 

私が愛したアスリート・ネイサンはもういない。

だが、彼の人生はまだ始まったばかり。活躍の場を次々と移し更なる高みを目指して、龍は飛び続けるのだろう。その軌跡は黄金の光となって多くの人々に希望を与え続けるに違いない。

偉大なるフィギュアスケーター、偉大なる魂。ほんの少しだけど触れ合えた幸運に感謝。