今日はなんとなく雑記のようなことを。

なんでボイストレーナーをやってるんだろう、と思うことが実は結構あります。

ずっと、生徒さんの発声に力をいれていますが、そうすると必然的に歌唱指導をする時間がなくなる。曲がしあがらなければ達成感も低く、発表会でピッチやリズムが整っている歌を歌うところまでいけず結果を残させてあげることができない。でも、表面上整った歌は、感動を伝える歌ではない。わたしのもとにきたからには、絶対にその人の感情とダイレクトに繋がっている声を手に入れてもらう、本当の感情をこもった歌を歌う人になってもらう。その信念を曲げることはできない。

ただ、感謝される感じはあまりない。

報われないなあ。

わたしの熱量がたりないのだろうか。。。

そんな風に思っていた今日この頃ですが、今日のレッスンの一コマ。5年ほどレッスンに通ってくれている50代後半の女性の生徒さんが、レッスンがたのしみで、楽しみすぎて、先週間違えてきてしまったと言われてびっくり。(レッスンは二週間に一度。)

この方のレッスンを始めた頃は本当に手探り状態で、満足してもらえているか、不安でした。だから、そんなに楽しみにしてくださってるとは思いもよらなかった。それだけでも自分の存在意義を確認することができました。少しは役に立てているかなあ。と。そういう手応えを感じることができるのも生徒さんのおかげだなあ、そしてご縁だなあ。と感じています。

そして、今日のレッスンでは、今までに聞いたことがないくらい、感情のこもったを歌をうたわれました。

「感情をこめて歌って」
という言葉を投げかけるだけでは、生徒さんは具体的にどんな風に歌ったらいいのかわからないですよね。それに感情を込めようにも、声の出し方をマスターしていなければ、こういう風に歌いたいと思っても、できない。

声という土台ができて、初めて表現ができると考えていますが、そこまでの道のりは時間のかかるものです。習い事なんて、1年くらいやったらやめて、また新しいことをしようと思う人も多いでしょうし、なかなかたどり着ける道ではないように思います。

そんな中、こういう風に歌って、と少し助言するだけで、すぐできる。
声が整っていると、指導されたことを難なくできたりします。

今日のアドバイスを紹介すると

アーティストの歌をよく聞くこと。

聞くポイントは、息の流れがどんな風になっているか。気持ちがとぎれることなく歌っていれば、息が止まることがない。

母音をしっかり鳴らすこと。

音が下がるようなフレーズでは、逆に音が上がるくらいのイメージで歌うこと。

声の立ち上がりが遅い事で、ピッチが悪く聞こえる。メトロノームで練習する事。

など。

そのなかでも、いままで平坦になりがちだった歌に息の流れをイメージする事で、ぐっと切迫感や、切なさ、熱さが加わったことは大きな変化でした。

歌を歌う上で、1番大事なこと、感情のこもった歌を歌うこと。それが出来るようになられたと思います。そういう歌を聴けたことが、嬉しく思いました。

この瞬間のためにこの仕事をしているんだなあ。自分がボイストレーナーをやっているのは、生徒さんの感動的な歌を聞くこと、それを一緒に喜ぶことができるからなんだと、感じました。