先日、接客業をされている方とお話する機会がありました。

その方は、仕事の中で喋る機会が多く、喋っていると喉が痛くなったり、声が枯れるということでした。

普通の会話のお話し声は、息漏れのない、無駄の無い通るお声でしたので、特に問題はないように思われました。

ただ、もし話し声が持続しにくいとするならば、声帯の合わさり具合がうまくいっていないということが考えられます。この方のお声をよく聞いてみると、少し声に深さが足りないような気がしました。

いままでの経験から言うと、こういったお声の場合は筋肉でいうと咽頭収縮筋の働き、肩甲甲状筋の働きが良くなると改善されるように思います。(筋肉の話は、私の聞いた感覚でしか捉えられていないので、解剖学的、医学的、運動学的には、もっと別の見解があるかもしれません。)もし私がボイストレーニングを担当するとすれば、アンザッツでいうところの6および3aをより強化するようなアプローチをすることになると思います。つまり、喉を下方に引き下げ後方にも引く方法です。

いずれにせよ、声帯の合わさりが良くないと、それを補おうとして、他の筋肉が頑張ってしまい、
力みが入ってしまったりすることになると思います。お仕事になると神経を使うでしょうし、緊張もあるでしょう。そうするとさらに力みが入りやすくなることが考えられます。筋肉の弛緩を促すような、例えばリップロールのようなことをやってあげるといいかもしれません。

なお、わたし自身の話ですが「単に水分不足」だったり、「単に睡眠不足」ということが声のかすれの大きな要因になっていた、ということがありました。過去に、発表会のリハーサルで、急に声のコントロールが利かなくなったことがありました。さまざまな理由があると思いますが、体感的には発声に必要な筋肉群が著しくバランスのを欠いている感じがしました。
その時は原因がわからなかったのですが、のちのちよく考えてみると、会場はひどく乾燥しているのに、冬場ということもあり、水分が十分に摂取できていなかったことが大きな原因だったように思います。水分不足で声帯周りの粘膜が乾燥してしまい、声帯の合わさりが悪くなり、それを他の筋肉で補おうとして、筋肉群に偏りが出てしまったのかもしれないと考えています。また、リハーサル前には曲をたくさん覚えなければならず、かなり睡眠を削っていました。レッスンでも生徒さんが、夜勤明けなどに来られる際は、必ずといっていいほど声がかすれおられます。睡眠をしっかり取ることも大事ですね。

お仕事で声を良く使う方は、他の人に比べて、声帯を酷使していることと思います。効率のいい声の出し方を訓練するのはレッスンの範疇ですが、それ以外に水分補給を心がけ、体を休めてご自身でしっかりケアしてあげることも大事ですね。長くいい声を保っていけるように、のどを労わってあげてられるといいですね。