【タイトル】自分を変える最新心理テクニック 神経言語プログラミングの新たな展開 RESOLVE  A NEW MODEL OF THERAPY
【著者】リチャード・ボルスタッド
【ページ数】313

 

 

【読むきっかけ】NLP Japanのおススメ本で見て興味を持ったこと。

【概要】
NLPとは何かを詳述すると同時にセラピーの実際をも描く、視野の広い洞察に満ちた書であり、教養書。NLPとそのセラピーに関する知識を必ず深めることができる。

歴史的観点からNLPとそのセラピーの考察も行っている。歴史的考察は書くべからざる要素でありながら、不十分になりがちな点である。NLPが他のセラピーとどうかかわっているのかを理解させてくれる。

【対象】すでにNLPについて熟知しており、かつ既存の心理療法についてある程度の知識がある人。
【評価:★5段階で】
 難易度:★★★★
 分かりやすさ:★★
 ユニークさ:★★★★
 お勧め度:★★★

【ポイント(特色・この本のユニークな点)】

NLPはもともと家族療法、ゲシュタルト療法、ミルトン催眠に端を発しているが、それらのみならず、メジャーな心理療法、精神分析、交流分析、ユング派の分析心理学、サイコシンセシス、ライヒ派の身体療法、認知行動療法、カール・ロジャース、アレクサンダー・ローエン、さらには、TFT(思考場療法)まで幅広く、関係性を論じている。

【批判点】
他の心理療法を列挙して関連性を論じているが、関連付けが、少し強引に感じられる点もある。
NLPのワークのほとんどを網羅しているが、ビリーフチェンジはそれほどでもない。
アドラー心理学については言及がないのは少し残念。

【役立つ点】
NLPは、他の心理療法と対するものではなく、著者曰く、「それまでの心理療法をこれまで以上に活用できるようになり、具体的な介入方法の選択の幅も広がった。」とあるように、既存の心理療法を学んでいる人にも役立てる点が多いという。

【感想】
NLPがテクニック偏重で、理論的根拠が薄いという批判をたびたび聞く。これは、バンドラーが、理論よりも役に立つことを重視したためである。
実際、この本を読むと、既存の心理療法や心理学の理論と矛盾することなく、しっかり、そこに根差していることがよくわかる。今日、NLPのセミナーで教えられていることは極めて表層的で、浅いものだが、実際にはかなり深みがあることを認識できる。
 

それから、NLPは心理学やセラピーというコンテキストから生まれてきたことは理解しておく必要がある。それをそのまま、ビジネスやセールスに応用していると、実は結構しっくりこない部分が多い。


TOTEモデルも、元々「刺激-反応モデル」では説明できない、複雑な行動が発生するための仕組みを説明するためのものだったが、これを今日のNLPセミナーでは、ある方法が駄目なら別の方法を試してみるといった柔軟性の説明に転用してしまっている。
TOTEの最初のTは、一般的なNLPではTestと教えられているが、この著者によると、Testではなく、Triggerである。3番目にTestが来るので、同じものを繰り返す必要はない。このコンセプトの成立の過程を考えても、Triggerの方がしっくりくる。どちらが正しいのがネットで軽く調べたが、TOTEモデルを検索すると、英語サイトでもNLPの文脈で出てくるばかりで、この提唱者のWikiを見てもTOTEは出てこないため、原義がどちらなのかは不明。(→追記:原著が見つかって、見たらTestで正しかった。残念)
そして、この本では、TOTEモデルを戦略(ストラテジー)のベースにあるものとして語られ、しっかりとNLP理論の中枢に組み込まれている。

また、この本では、クライアント主体であること、クライアント自身が治そうと決意すること、そしてセラピーの効果をしっかりと確認することの重要性をうたっている。


【要約・メモ】

NLPと心理療法


NLPは孤立しては存在しえない、他のセラピーに根を張り、深くかかわっている。

NLPは他者の行動を観察して分析し、それを一体化したり修正したりするためのツール。このツールは、人間の内的・外的コミュニケーション(言語)と、それが脳の機能(神経)に与える影響(プログラミング)とを分析する。

分析する一連の行為を「モデリング」という。セラピーの新たな流派を目指し開発されたものではなく、成功した心理療法士のワークに共通するパターンを解析。

NLPのほとんどが、他の学問分野を分析して説明するメタ学問であるために、そうした他分野で行われる調査研究によって、NLPの仮説が立証されてしまうことも多い。

NLPの介入法はいずれも、すでに一世紀前から別の名称で存在していたもの。

 

RESOLVEモデル

 

NLPに基づくチェンジワークを活用するには様々なステップを踏むが、RESOLVEモデルは、そのステップを理解するためのモデル。

タッド・ジェイムスが、リチャード・バンドラーが行ったクライアントとのワークをモデリングして発展させたものに、NLPの介入法をすべて分類して発展させたもの

Resourceful state for the practitioner
Establish rapport
Specify outcome
Open up the client's model of the world
Leading
Verify change
Ecological exit process

 

RESOLVEには堅固な意志を表す「決意」という意味もある。この決意はヒーリングの決め手であるにもかかわらず、これまでほとんど見過ごされてきた要素である。

「NLPがひとりでに、"治してくれる"わけじゃありません。あなたが自分で治すのです! NLPはどうすれば自分で治せるのかを理解する手段にすぎません」

 

大脳マニュアル

大脳には各感覚を司る専門領域があり、それぞれを処理している。これらの感覚をNLPでは、モダリティと呼ぶ。記憶や想像上の体験は、最初の現実的体験と同じ大脳の感覚領域で処理される。こうしたモダリティが用いられると、かつて本物のレモンを体験したときと同じ神経回路にアクセスするため、その結果として大脳は、あなたが考えていることを"本物"として扱うのである。

大脳回路がどのようにフラッシュバックを引き起こしているのかを解明すれば、問題の解決方法はいくらでも明らかになる。

感情にまつわる情報が色の知覚を変えるというプロセスは、実際、外側膝状体にある視覚システムにしっかり組み込まれているのである。
あなたが見ている色は、そこにある色ではなく、あなたの脳が作り上げている色なのだ。

脳の、親しみを感じる領域が刺激されると、親しみの感覚が生じるだけでなく、物が近づいてくるように見えたり遠のいていくように見たりする上、基本レベルのサブモダリティにさまざまな変化が生じている。
サブモダリティとある体験から得る"感覚"との関係は、サブモダリティの転換と呼ばれるNLPの重要なプロセスの基盤になっている。

モダリティ間の相関的な変化
青く塗りなおした部屋で働く会社員は、室温は元どおりでも、寒いとこぼす。その部屋を黄色に塗り直すと、室温が上がったと思い込み、実際には設定温度を下げても不平をいわない。

戦略
感覚システムで生じている一連の内部表象
各段階で全感覚を働かせていたにもかかわらず、注意は感覚から感覚へ順次移動

TOTEモデル
単純な行動なら、イワン・パブロフの研究の、刺激と反応の繰り返しで説明できる。しかし、犬が侵入者を追い出すような連続行動のタイプは説明できない。
TOTEは、神経学の研究者ジョージ・ミラー、ユージン・ギャランタ、カール・プリブラムが開発したモデルで、複雑な行動が発生する仕組みを説明
Tは、Trigger(刺激、アンカー)=侵入者の目撃
Oは、Operation(作業)=吠える
Tは、Test=立ち去ったか確認。作業の結果を望ましい結果とを比較
Eは、Exit=戦略を終了

ただし、これでも大脳の活動は説明しきれない。
TOTEでは、人間の行動は、順に進む一連の戦略の結果としている。しかし、その戦略を実践しながら、他の戦略を使ってその戦略に応じてもいる。最初の戦略のメタレベルを進んでいる。
現実の神経学的プロセスは、もっと複雑なネットワークのようなもの
ただTOTEモデルを使えば、思考のプロセスを論じ、意味を解明し、変えることができる。

心理状態と戦略
心理状態は純粋に触運動覚的体験であると仮定するものが多いが、同じ触運動覚が同じ心理状態をもたらすとは限らない。その他の一時的表象およびメタ表象にもよる。
ディルツ:アクセスのあった一時的な感覚システム、そこで作動する二次的な表象システム、その他の大脳システムの間に生じる相互作用の結果が心理状態
大脳のある特定部位が心理状態を管理しているのではなく、大脳全体の至る所で生み出される。
心理状態が、いわばすべてを要約し、一つの基本的な決定に至る準備を整える。

メタ心理状態
心理状態についての心理状態。一つの神経組織にアクセスし、他の神経組織の機能にそれを適用することによって生じる。

戦略は学習した行動であり、ある特定の感覚的表象がトリガーになる。

状態依存性の記憶と学習
記憶や学習、戦略は、それらを作り出した意識状態に依存している。
酔うと、体内にはアルコールとその副産物があふれる。その時の体験はすべて、通常とは全く異なる状態にコード化される。通常との差異があまりに大きいと、そのときの記憶に全くアクセスできない。アクセスできるのは、改めて酔ったときだ。
ときには、ある体験や一連の体験ででき上がった神経組織が、大脳の他の部分から完全に"切り離されている"こともある。

フロイトの、"無意識"内には記憶と動機が存在しているとする概念は、現在、記憶は心理状態に依存するという仮説によって拡大されようとしている。

状態依存性の学習(=アンカリング)は、典型的な条件付けの背後にある生物学的プロセス。

精神的な問題の大半は、状態依存性の神経組織による戦略が引き起こすもので、その神経組織は大脳の他の部分からきわめて劇的に分離している。問題を解決するのに必要なスキルが収められている神経組織は、問題を起こしている神経組織とは接続することができない。NLPの役割は、そのスキルを、機能の衰えた神経組織へ転送すること。


NLPの介入方法

 

1. アンカーを使う
2. 新戦略をインストール
3. サブモダリティを変える
4. トランスワークを行う
5. パートを統合する
6. タイムラインを変える
7. 言葉をリフレーミングする
8. 対人関係の力学を変える
9. 生理的状態を変える
10. 課題を与える

1. アンカーを使う
他の心理療法
行動療法:パブロフの刺激反応モデル。系統的脱感作
精神分析:転移と逆転移、ともにアンカーによる反応。アンカーが再創造されると、関連の神経組織がアクセス可能になる。
ライヒ派の身体療法:触運動覚とデジタル聴覚のアンカーを使い、カタルシスに現れた強烈な心理状態にアクセス
ユング派:象徴(=アンカー)により感情的な反応全体を引き起こす
など

2. 新戦略をインストール
問題の発生原因となった戦略を作動させていたときと同じ状況で、もっと有用な戦略を作動させるリハーサルをする。新たな戦略は、たいてい数回も繰り返せばインストールされ、無意識のうちに作動するようになる。
自分がそれを作動させているところを想像することによっても可能。イメージトレーニング。

他の心理療法
自由連想法、カタルシス、定期的な肯定的強化など、を使ってリハーサルをさせてきた。
精神分析:セラピストの職業的な自我とクライアントの自我の一部とが治療上協力するようになり、観察者としてのこの自我は分析医と一体となり、分析という戦略を学習する。
認知心理学:戦略のインストールは、認知の再構築や行動リハーサル。
など

3. サブモダリティを変える

NLPの恐怖症治療
リチャード・バンドラーは、かつて恐怖症を患い、のちに"それを克服した"人がどんなふうに恐怖の対象を想起しているか研究。かつては想起的視覚を使って思い出していた状況を、構築的視覚を使って想起。体験の只中から思い出すのではなく、外側から自分を眺めているように思い出す。PTSDの発症は、記憶の保存の仕方による。

他の心理療法
サイコドラマ:内的体験の構成要素を演技で表現させ、距離、高さ、大きさなどのサブモダリティを顕在化させたうえで変化させる。
認知心理学:不穏な視覚的イメージの修正方法
など

4. トランスワークを行う
アーネスト・ロッシ:心理状態に依存する記憶にアクセスしてそれをリフレーミングする。
かつて潜在意識や無意識といわれていた心の領域は、コード化の状態が大きく異なるために通常の認識から分離した神経組織に過ぎないとされるにいたった。そういう神経組織は大脳皮質や大脳のデジタル聴覚領域との結びつきが弱い。それらとのコミュニケーションは、指の動きやそれに類する身体の動きを使った信号を用いる方がスムーズ。神経組織に生じた観念が、意識的思考を経ることなく、直接運動反応を引き起こすように伝達。指の反射運動、うなずき、指から下げた振り子の動きなどを使う。

他の心理療法
精神分析:自由連想法。患者の注意を意識的な探索と熟考から分離させる。患者の無意識が示す意味を自分の無意識を使って理解。
ユング:能動的想像。夢や空想に現れた暗示的なイメージと対話。
など

5. パートを統合する

パート:大脳の他の部分からコントロールされることなく自律的に機能して、自らの戦略を作動させることのできる神経組織。

フリッツ・パールズとヴァージニア・サティアの研究にあったもの。

他の心理療法
精神分析:エス、自我、超自我。精神分析医は自我と協力して、自我を不安から守り、自我の領域を広げていく。エスのあったところに自我が生じるようにする。何かを取り除くのではなく、抵抗を和らげ、これまで切り離されていた領域にも道を広げる。
対象関係論:健全な自我は望ましくないものを抑圧して意識が認識できないようにすることができるため、それを意識から完全に分裂させるまでもない。分裂は、解離という形をとることもあれば、別々の識別システムを活発に作動させて、意識へのアクセスも、知覚や運動の制御へのアクセスも考慮しないという形も取ることもある。
交流分析親、大人、子供。一つの自我状態が別の自我状態を"汚染"したり、排除したりするのを防ぐ。
ゲシュタルト療法:二脚の椅子を使い、パート間の葛藤を解決
ユング:集合的無意識に共通する元型。アニマ、アニマス、ペルソナ、自己。
サイコシンセシス:NLPのパートワークと類似。
サイコドラマ:役割演技。自己が様々な役割から発生。
アレキサンダー・ローエン:生体組織の各層にはそれぞれの状態があり、それを表現する戦略がある。身体が緊張するとその活性化が妨げられる。
行動療法:スキーマ:1.情報処理の手引きをする心的なフィルター。2.根本的・本質的な信念の内容。スキーマを再構成し、修正し、解釈しなおす(リフレーミング)。


6. タイムラインを変える

記憶
 手続き記憶
 意味記憶
 エピソード記憶:タイムラインを使う。

再刷り込み、自分史を変える、タイムライン・セラピー
トラウマとなっている元の出来事を新たな時間的観点から眺め、その間に、自分の人生の他の領域にある感情的リソースにアクセスする。
タイムラインの上に浮き上がると想像し、出来事の前までさかのぼり、出来事の肯定的な内容を全部保存する。学び取ったことを保存したうえで、問題の出来事より過去の上空から、出来事以降に起きたことを見渡すと、無意識は問題の感情をあっさり手放す。

ミルトン・エリクソン「元の体験をすっかり変えるわけではなく、その知覚の仕方を変えるのです。そうすれば、それが知覚の記憶になります」。

他の心理療法
精神分析:幼少時の記憶を催眠状態で浮かび上がらせる。過去を変えることではなく、過去に対する反応を変える。
交流分析:親と子供の自我状態を、幼少期の体験に再接触し、再決断。人生を楽しみ望ましい決断をしていいという"許可"を子供に与える。
ゲシュタルト療法:"今"に焦点を絞る。過去に取り組まないのではなく、通常とは異なる時間のとらえ方で取り組む。過去は"今"から振り返るだけでは解決できない、視点を移動させることによって解決。それを現在に、できるだけ完全に持ち込み、そこにあると想像して、現在の言葉でそのドラマを演じる。
認知行動療法:過去と取り組むという点で、想像力を使うテクニックは明らかに催眠におけるエリクソンのワークともタイムライン・セラピーの視覚化とも符合している。

7. 言葉をリフレーミングする

コミュニケーションのパターン:
1. メタ・モデル
2. ミルトン・モデル


3. 巧弁パターン
 体験をリフレーミングする方法。
 量子言語学:命題を反転させて意味を分解する
  ex. パートが喫煙させるのは、リラックスできるように。
  →「完全に喫煙して健康な肺になること以外に、あなたにふさわしい方法で完全にリラックスできる方法はありません」

他の心理療法
セラピストは、問題の行為について常に新しい意味を提示していく。
ユング:夢分析。謎に満ちたメッセージを、新たな戦略を学習する機会、体験が教える役割を改めて自分のものにする機会に変える。

8. 対人関係の力学を変える

性格の相違:
1. 価値観の相違
2. メタプログラム

 ユングが明らかにした性格の型(内向/外向、思考/感情、直観/感覚)
他者との協力的な関係を築くために、相違を理解し、異なる性格と歩調を合わせられるようにする。

他の心理療法
精神分析:転移
 ゲーム:
  ゲシュタルト療法:組織化された面白いやり取り
  交流分析:子供の自我状態同士の間に生じる不快な交流

9. 生理的状態を変える
空間的なアンカー、身体の動きや位置決め、など。

眼球運動統合法
 治療したいと思う記憶を意識し続ける事によって、その記憶の保存されている神経組織が活性化する。そのとき、素早く眼球を動かすと、通常の情報処理システムが活性化して情報を移動させ、その情報が新しいリソースの保存されている神経組織と接触できるようになる。

TFT:問題の状況を意識し続けているところへ生理的に介入する。

笑いクリニック
生理学:簡単なリラックス方法
 吸気ではなく、呼気に注目する方法、優位でない方の鼻孔で呼吸する方法

10. 課題を与える

変化の焦点を、心理療法のセッションから日常生活に戻す


RESOLVEモデル

人間はある特定の状況下に置かれると、非常にうまく自分自身の行動を変えることができる。
断酒:元依存症患者の2/3以上が、誰の助けも借りずに自力で断酒。
禁煙:治療プログラムに参加した人は、自力で禁煙した人ほどうまく禁煙できていない。

自力で変わることに成功した人々は6つの段階を繰り返していた。
セラピーの成功率が低い理由のひとつは、どのクライアントも同じ段階にいるかのような治療が行われていること。


1. 熟考以前:問題ととらえていない
2. 熟考:変えるのか維持するのか揺れる
3. 決意:本当に変わりたいと明言
4. 実行:戦略を顕在化させ改変させる
5. 維持:新しいライフスタイルを形成
6. 再循環:将来同じ悪習に陥るようなことがあったときの対処

ミルトン・エリクソン
ジョーが受けた心理療法は、「あなたが紳士なら、かまわないわ」という一言です。心理療法は患者の内面で行われなくてはなりません。すべてを行うのは患者であり、患者がその気にならなくては始まりません

一般的な治療法でも依存を生む危険性がある。自力で変わる力になりえず、その力を奪ってしまう。

抑うつ状態
救出は危険な賭け。これまで以上に躍起になって、今の助けでは不十分なこと、今の助けは役に立っていないことを示そうとする。
誰であれ、他人の気分を"力づくで"良くすることはできない
誰かに救ってもらわなくてはならないと信じ込んでいる状態が、まさに抑うつ状態なのだ。
変われない、変わるべきではないという信念だと定義することすらできる。

バンドラーは、自分に何をしてほしいと思っているか訊ね、さらに、自分は魔法使いではないと断っている。

 

RESOLVEモデル

Resourceful state for the practitioner
 プラクティショナーは自信を持ち役割を明確に把握し、NLPの基本前提を具現化

 好奇心と遊び心と創造性に満ちた積極的な状態に自らをアンカーし、ラポールを築くときには、クライアントがアクセスしているパターンに巻き込まれない人でなくてはならない。

Establish rapport
 ヘルパーがまずクライアントの現実に入り込んだ場合に高まる。相手の現実を利用する形で変化を促す。いったんラポールの感覚が定着したら、健全でリソースに満ちた呼吸や話し方、行動スタイルに徐々に復帰していく。
 
 反映的傾聴で応じるのは、判定も支配もしていないことを確信してもらい、安全な環境を整えるため。この聞き返しは"非指示型"ではなく、焦点の絞り方や枠組みに共通点があり、他人の行動ではなく、クライアント本人の反応に的を絞るというもの。そして、クライアントが自分自身の地図と心理状態に責任を持ち、原因は自分にあると自覚できるよう力を貸す。
 
Specify outcome
 目標を明確化
 目標の設定そのものが変化を促すプロセス。クライアントの変化を手助けする以前に行うのではない。目標設定と変化は、同一システムの2つの局面。
 何が最も重要な問題かを明確にしてもらう。

 「この問題はなんの一例?」「何か他の例は?」「これらの問題のどれを解決したら、他の問題も一緒に解決できる?」「最初に変えるとしたら、どれが最も簡単に変えられる?」

 次は、問題の解決法について考える状態へ。
 「私に相談した結果何が変わるはず?」「どういう結果を得たい?」「解決したことはどうすればわかる?」「解決したと実感するためには、どんなことが起きるべき?」「解決したら、代わりに何をする?」
 まだ自分の問題について語るようなら、ラポールを築くプロセスが完了していない。
 ついで、例外について質問する。「この問題がそれほど辛く感じられないのは、どういうとき?」
 例外はないという返事なら、例外を仮定し、奇跡という言葉を使って質問。「奇跡が起きて解決したとして、解決済みだと知るには、どんな変化に気づく必要がありますか?」
 
 目標が達成出来たら選択の幅が広がるか?
  本当の意味で変わるなら、適切な選択肢が増えるはず。酒に溺れる代わりに、リラックスできる楽しいことがある。
  
 目標達成に必要なのは、達成可能な小さな一歩一歩
  最初の小さな第一歩として、今日何をしますか?

Open up the client's model of the world
 世界モデル=内的な思考・信念・イメージ・感覚
 効果的に解きほぐさない限り、変化のプロセスが順調に進まない

 "原因は自分にある"とクライアントに自覚させる。
 1. 一般的なことを取り上げ、それを変えらえることを証明
 2. クライアントの現在の問題を取り上げ、それを変えられることを具体的に証明
 3. 同じ問題を、選択した特定のテクニックによって変えられることを証明
 
 問題を引き起こしているクライアントの戦略にアクセスし、それを顕在化させて、実験的に変更を加える。介入前のテストと、介入後のテストで確認しておくと、ワークの後、その感覚の有無によって、変化が起きたかわかる。
 
Leading
 目標を達成できるように内的体験の変化を促す
 どのテクニックを選ぶか。

 コンサルタント:自分が熟知している、楽しめるテクニックを選ぶ
 問題:クライアントがどのような枠組みで問題や目標をとらえているか。
  恐怖症があり、自分の不安と"距離"を置きたい→視覚的に分離する
  「一方では...他方では...」→パートを統合
 クライアント:好みがある。個人能力モデル。問題について訴え方が、クライアントのもつ能力を教えてくれている。

個人能力モデル
・分離体験する能力
 体験から距離を置き、外側から眺める。思考型
・実体験する能力
 体験に踏み込み、内側で感じる。感情型
・チャンクアップする能力
 包括的な全体像を認識する。直観型
・チャンクダウンする能力
 特有の詳細を認識する。感覚型

普通、特に二つを組み合わせて使っている。

ex.

スピリチュアルな覚醒を達成するために自分がどう変わるべきかを詳細に説明していた女性

→コアトランスフォーメーションでは駄目。チャンクダウンしつつ分離体験するタイプであることがわかり、サブモダリティの信念をこれまでよりはるかに詳細にわたって変化させる方法を使うと、大変喜び、スピリチュアリティへの道が開いたのを実感。

ロバート・ディルツの統一場モデル
 時間、知覚ポジション、神経学的レベルの3軸で分析

不安症:未来志向
嗜好など衝動の問題:
 「現在」に行き詰まっている。
 体験のすさまじい緊急性に圧倒される。
抑うつ:過去志向

抑うつ状態
 個人能力モデルでは、実体験スキルを使ってチャンクアップしている。統一場モデルでは、過去志向で、知覚の第一ポジションから離れられないまま、自己認識レベルの問題を抱えている。


不安
 特定の構築的な内的表象が、未来に起きる"可能性のある"出来事を想像しない限り発生しない。

身体の健康に関する問題
 問題志向の心理療法:
  ガンと心臓病が最も多く発症したのはセラピーを長く受けたグループ
  何年もの間、週に一度、人生の具合の悪い点について話し合うのは確かに健康的ではない。


 NLPを使って健康問題に取り組むとき、適用すべき重要な原則
  1. スピリットから環境に至る全神経学的レベルに注意を集中
  2. 身体の動きや表現を利用。身体の健康に問題がある人は内的な状態を生理的に表すスキルがあることを示している。TFTや気功など身体に介入する方法。


Verify change
 変化を確認する
 変化を前提として訊ねる方法のひとつは、他に何が変化したかと訊ねること
 訊ね方:失敗の可能性をほのめかすような質問と、成功を前提とした質問をした場合、結果にはっきり違いが出る。
 
 効果がなかった場合、やり方のどこが異なるのか突き止める。治すのは本人である。本人を度外視してNLPに効果があると主張するのは、NLPの前提に違反する。
 
 変化が起きている最中に、批判的な内なる声を使って失敗する場合。自分の内なる声をリラックスさせるなり、その声に役立つ課題を与え、もう一度プロセスを繰り返す。
 
 メタプログラムの納得戦略:完全に納得することがない人
 「あなたの場合、これが変わったということについて、どうやっても完全に確信できないと分かっているわけですから、いっそ今、変わったと認めてしまってはどうです?」

Ecological exit process
 エコロジーの問題を解決して終了
 クライアントの起こした変化を"未来ペースする"ことがいかに重要か。
 実生活で新しいスキルを使っている自分を想像:計画の妥当性をチェックする(エコロジーの問題を解決する)とともに、未来の成功への期待を植え付ける。
 この先一年間の自分の成功を綴る"未来日記"を書かせる。
 未来に足を踏み入れ、自分の変化について気持ちが変わるとしたら、それはなぜかを徹底的に考え、そういう状況を避ける備えができるように指導。
 心の中で未来へ旅立たせ、そこから過去を振り返って、変化がどう発生してきたのかをチェック。
 
 問題の再発
  内なるパートにあの変化ではまだオーケーを出せないそれ相応の理由があるからかもしれない。