クソニンジン Artemisia annua L.② | エッセンチアのブログ

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エッセンチアは、皆が集える場所として、1999年にオープンしました。植物や香り、健康など、日々の生活で役立つことを綴っています。

植物を分類したり、説明するすには学名や属、科名、和名、英名、生薬名などの表現を使います。


このブログでも学名や科名、和名などの用語を良く使いますので、初めに、この読み解き方や何故こんなものを使うのかを、少し説明したいと思います。


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            『畑のスナップエンドウ』


例えば、キク科の植物というと世界中に数万種ありますので、これを整理するために、特性や特徴の似たものを『属』というグループで分類します。

このキク科の属には、ノコギリソウ属やヨモギ属、ホウセンカ属、タンポポ属、フキ属、アザミ属など約70種類があります。

このように分類すると、『キク科』の『ヨモギ属』、『日本に自生する』と条件を指定すれば、数万種あるキク科の植物から約35種類の植物に絞ることができます。


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この属で区分けされた植物は、形や香り、薬効などが似ていますので、科名と属を知れば、植物のある程度の特徴や特性を予測することができます。


学生時代に、この学名や科名、属を散々覚えさせられましたが、当時は何故?こんな分けのわからないアルヘァベットや科名などを覚えなければならないのか、何の意味があるのか分からず、試験前に随分苦労した覚えがあります。しかし、今になってみると、これはとても理にかなった方法だと理解できます。


当時の試験では、これらを全てラテン語で書かなければならず、例えば生薬の黄蓮(Coptis japonica T.)キンポウゲ科(Rununcuclaceae)、オウレン属を覚える際に、「ランちゃんキンポウゲ」、「コップをもった日本人」というような恐ろしいゴロ合わせて覚えた記憶があります。ゲロー
先輩から代々受け継いだゴロ合わせです。



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日本においても、ヨモギの呼び名が地方によって変わります。フーチバーからモチグサ(餅草)、エモギ、サシモグサ、サセモグサ、サセモ、タレハグサ、モグサ、ヤキクサ、ヤイグサなどヨモギ一つを取っても様々な呼び名があります。


これに海外のものを含めると一つの植物だけでも大変な数の呼び名になりますので、それぞれの国の地域の呼び名をいわれても、何の植物か判断できません。そこで、共通の言葉である学名(ラテン名)が必要となります。これは世界共通で、ラテン名で示された植物は生育条件などの違いはありますが一つしか有りません。


海外とのやり取りは、必ず学名でのやり取りとなります。



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       『藻岩山頂上からの札幌市の景色』



例えば、学名のArtemisia annua L.を見た時に何が分かるのかは、Artemisia = ヨモギ属 = キク科ですので、先ず、『キク科』『ヨモギ属』の特有の香りや薬効、形状が頭に浮かびます。そしてannua L.ですので、アルテミシニンを含んだクソニンジンという事になります。


今まで見たことのない植物でも、はじめにこれらの情報を知っておくことで、ある程度の香りや薬効、外観の予測ができます。




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ヨモギ 
学名:Artemisia indica var. maximowiczii
科名 : キク科
多年草



さて、ここから本題に入ります。このヨモギ属 (Artemisia )に分類されるヨモギ全てにアルテミシニンが含まれますが、ヨモギの種類によって、その含有量が違います。現在、日本では35種類ほどのヨモギが知られていますが、その中でもクソニンジンがアルテミシニンを一番多く含みます。



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上の図が各種ヨモギのアルテミシンの含有量を示した図です。縦軸がアルテミシニンの濃度で横軸がヨモギの種類になります。


含有量の多いAランクからGランクまで順に分けてあります。この表によるとアルテミシニンが一番多いのがAランクのクソニンジンで、次がBランクのタラゴンになっています。日本のヨモギはFGランクになります。


Artemisia moorcroftiana, Artemisia vestita, Artemisia indica, Artemisia sieversiana, Artemisia roxburghiana var roxburghiana, Artemisia parviflora,Artemisia doracunclus var.doracunclus,Artemisia doracunclus var.percica,Artemisia annua, Artemisia absinthium, Artemisia bushriences, Artemisia japonicaand Artemisia dubia   17種類


このデータの元になった論文は下記になります。マレーシアの研究者がパキスタンで行なったデータですので、興味のある方は見てみて下さい。






つづく