仕事の帰り道、空が赤かった。
西に向かう道、真っ赤だった。
とてつもなく秋を思わせる赤色だった。
綺麗だ、と思うと同時に恐怖心さえ生まれる赤色だった。
赤信号とどっちが赤いだろうと見比べたけれど、やっぱり信号の方が赤い。
スマホを出して写真を撮った。
画面に残った赤より、私が見ている赤の方が鮮明に赤い。
すぐにゴミ箱行きの一枚だ。
空が赤いね、とたった一言が言える誰かがほしいと思った。
綺麗だね、と言ってくれる誰かが助手席にいてほしいと思った。
そしたら私は、ちょっと怖いね、と笑って
そうだね、と言ってもらって安心したい。
突拍子もなく、空が赤くて綺麗だね、と送ってみた。
僕の心は曇り空だ、と返ってきた。
私の、ちょっと怖いけどね、は行き場を失ってしまった。
右折して右を見た。
赤の反対は、こんなに深い灰色が広がっていた。
あの子は燃えるような赤を見ることなく、東を見ているのかもしれない。
夕焼け空を見ながら聴く曲を知ってる。
久しぶりに聴いて懐かしい。
綺麗だね、と言える誰かがほしくなった。
家に着く頃には灰色がほとんどだった。
夜が来て安心した。
私はやっぱり、綺麗だね、と言ってほしかった。