阿蘇 草千里に憧れて

 

写真は阿蘇市観光協会より引用

 

 

阿蘇と言えば三好達治のこの詩

 

中学校の国語の教科書に掲載されており

 

大人になった今でも印象に残っている詩です。

 

皆さんの中にもご存じの方がいらっしゃると思います。

 

いつか訪れたいと憧れていた場所です。

 

 

大阿蘇

 

雨の中に 馬がたつてゐる

 

一頭二頭仔馬をまじへた馬の群れが 雨の中にたつてゐる

 

雨は蕭蕭(しょうしょう)と降つてゐる

 

馬は草を食べてゐる

 

尻尾も背中も鬣(たてがみ)も ぐつしよりと濡れそぼつて

 

彼らは草を食べてゐる

 

草を食べてゐる

 

あるものはまた草もたべずに きよとんとしてうなじを垂れてたつてゐる

 

雨は降つてゐる 蕭蕭と降つてゐる

 

山は煙をあげてゐる

 

中岳の頂きから うすら黄ろい 重つ苦しい噴煙が濛濛とあがつてゐる

 

空いちめんの雨雲と

 

やがてそれはけぢめもなしにつづいてゐる

 

馬は草をたべてゐる

 

艸千里浜(くさせんりはま)のとある丘の

 

雨に洗はれた青草を 彼らはいつしんにたべてゐる

 

たべてゐる

 

彼らはそこにみんな静かにたつてゐる

 

ぐつしよりと雨に濡れて いつまでもひとつところに 彼らは静かに集つてゐる

 

もしも百年が この一瞬の間にたつたとしても 何の不思議もないだらう

 

雨が降つてゐる 雨が降つてゐる

 

雨は蕭蕭と降つてゐる

 

 

 

馬が放牧されている様子が見られるかもしれません。

 

    ▲草千里ヶ浜は阿蘇中岳の西側に広がっています

 

阿蘇山は世界でも有数の大型カルデラと雄大な外輪山を持ち

 

「火の国」とも言われる熊本県のシンボル的な存在です。

 

草千里浜は面積78万5,000㎡の広大な草原地帯です。

 

 

私は、学生時代にここを訪れ、中学校の頃学んだ詩と

 

実際に目で見た光景を重ね合わせ感動したことを覚えています。

 

広大な草原に身を置くと、大自然に浸り

 

時を忘れ、我を忘れ、俗世間を忘れ

 

大自然と一体化したような気分になります。

 

訪れた当日は雨ではありませんでしたが

 

「雨は蕭蕭と降つてゐる」の「蕭蕭と」いう言葉を思い浮かべ

 

この景色にあてはめて眺めていました。