<第5話>「今後、入居募集をしませんよ!」



 

 

 不動産会社兼管理会社Aの店長はオーナーに「言う通りにしてもらわないと今後、入居募集をしませんよ」と言い放ちました。
 一般的に、入居希望者がアパートを内見し、入居申込をすると、家賃保証会社の審査が入り、その後「こういう人が入居を希望していますがよろしいですか?」とオーナーの所へ確認の連絡が入ります。オーナーは入居希望者についていくつか質問をして問題がなければ入居を承諾します。
 空室があればオーナーにはその分の家賃が入りません。収入減です。入居者が決まると不動産会社兼管理会社へ入居者から手数料が入ります。また、毎月オーナーから管理戸数分の管理料が入ります。不動産会社や管理会社は入居者が決まれば収益がアップします。
 うちのアパートは、過去において家賃滞納やごみトラブル、ペット禁止の契約違反、仲間が集まってどんちゃん騒ぎの騒音等で大変苦い思いを何度もしましたので、入居希望者に懸念材料があるとお断りする場合があります。すると、不動産会社兼管理会社Aの店長(入居者を見つけてやっているんだから文句を言うなとばかりに)標記の言葉を浴びせかけたのです。1社独占の殿様商売でしたので完全に不動産会社兼管理会社優位の立場です。

 今までのトラブル経緯も踏まえ、オーナーの要望を率直に伝えました。すると、当時、入居募集をしていた不動産会社はA社1社だけでしたので、空室が出てもその後の入居募集をしてもらえなくなり、入居率は50%くらいまで落ち込みました不動産会社兼管理会社A側からすると、オーナーが言うことを聞かないからこうなるんだという「見せしめ」だったのでしょう。

 先代からアパート経営を引き継いだ時には、家賃収入は半分に減り、収支は火の車で廃業寸前の苦しい状態でした。
 私は、この状態を何とか乗り越えなければと、思い切って不動産会社兼管理会社A以外の不動産会社C社と入居募集契約を結びました。C社はオーナーの要望をしっかり聞いた上で入居募集を熱心にやってくれました不動産会社兼管理会社Aの入居募集がストップしても、入居率は90%~100%まで回復しました。C社の担当者は、お客さんをアパートに案内した時のお客さんの反応(入居を決めるポイント)を教えてくれ、今後のアパート経営の方向について具体的なアドバイスをしてくれました。
 一筋の光が見えてきた思いでした。

 
<チェックポイント> 
①オーナーと不動産会社、管理会社は、対等な立場ですか
②不動産会社、管理会社にオーナーの要望をきちんと伝えていますか
③不動産会社、管理会社はオーナーの要望を尊重してくれますか?それとも自社の主張を通そうとしますか?後者の場合、脅しともとれる言動はありませんか