このお仕事してると、毎日必ず初対面の方が4~5人はいて
そういう方と、いろんなお話ししていくので
結構、変わったキャラクターの方でも、普通に対応できるようになります。
統合失調症の方でも、最近普通になってきました。
(もちろん、あらかじめそういった疾患を持っていると
こっちが知っているからですが)
が、久々に昨日会った70歳のおじいさま
ちょっと、びっくり。
ナースからも、独特なキャラ故に主治医にそうとう苦情がいっているようで
主治医から
「○○って薬だすけどさ、これ、安定剤って説明してくれない?」
と言われてました。
が、その日は私は薬を監査しなきゃいけない日だったので
(その日によってシフトが変わる)
たとえ私が薬を渡せなくてもいいように、薬の袋に
「気持ちを安定させる作用のあるお薬です」
と書いて、病棟に払い出しました。
で、今日は病棟に私が行ける日だったので、薬が効いているか
その人のところに様子を伺いに行ったところ
カーテンの外から
「○○さーん!」
と、声をかけても、返事がない。
でも、いる気配はあるので、もう一度呼んでみると
「あぁ?」
と、不機嫌そうな返事が返ってきた。
やーな、予感。
「こんにちは。薬剤師のえっせと申します。
お薬について、少しお話伺ってもいいですか?」
「あぁ?くすりぃ?」
「はい。昨日渡されたお薬があると思うんですけど、飲んでみて、いかがでした?」
「なんの薬だかもわかんねぇから、こっちはただ飲んでるだけだ。
だから、なんにも変わりはない。
だいたい、何の薬かもしらねぇのに。あんたに渡されたわけじゃないし」
?????
「あれ?お薬の袋に、どういったお薬かっていうことを書かせていただいたんですけれど
何も書いてありませんでしたか?」
「袋なんか、最初からねえよ」
「お薬は、袋に入っていなくて、薬だけ、渡されたのですか?」
「袋なんか、ねえって言ってんだろ!」
と、ベッドサイドにある棚の引き出しをあけたおじいさま
しっかり、薬袋がはいっていた。
「あ、それですね。ちょっと見せてもらってもいいですか?」
無言で私に薬袋をつき返され。
見ると、ナースが「安定剤」と知られるのを面倒くさがったらしく
私が書いた薬袋ではなく、ナースの手書きの薬袋に変えられていた。
当然、何も書かれていない。
「あ、わかりました」
そう言ったとたん、嵐のような言葉が返ってきた。
「あんた、袋を今ちらっと見ただけで、何がわかるっていうんだ。
それでわかるんなら、あんた天才だな。
しかも、あんたは今、逆から袋を見ているのに、それで漢字が読めるのか!
天才だな!!
しかもな、薬の飲み方っていうのは、袋の裏に書かれているものなんだよ!
その裏面を見ないで、なにがわかるんだ?え?
裏を見てから、ものを言え!!」
ちなみに、その方のいう「裏」とは
全ての薬袋にあらかじめ印刷されている、一般的な薬の飲み方のこと。
『食後とは、食事してからおおよそ30分後のことです』
とか
『お薬は、お水で飲みましょう』
とかいう、一般的な注意事項が印刷されています。
表のほうに、患者さんの名前や、その人のための薬の飲み方が書かれているのです。
・・・・・すごいな、この人。なんで入院してんだろ。こんなに元気なのに。
「ごめんなさいね。この裏に書かれていることは、どなたにでもあてはまる
一般的な注意事項を書かせて頂いているので、私たちは毎日これを
見ているんです。だから、裏はその都度見なくても、何が書かれているか
分かっているんですよ。だから、裏を見なかったのです。
表に、その方のための、薬の飲み方が書いてあるのでかくにんを・・・・・・・」
と言っている途中から
「でもあんたは今、逆から袋を見ただろう?
漢字を逆から読めるのか?
やっぱり、天才だなぁ?え?」
「袋に、説明が書いてあるかを・・・・」
「あんたは、ちらっとしか今見なかった!それで、なんでわかるって言えるんだ?あ?
しかも逆から!!天才だな。すげぇな!!あんた!!」
すごい剣幕。
こちらが何か言おうとしても、「天才、天才」と連呼されるばかりで、全く話しにならない
それどころか、話そうとすればするほど、ヒートアップしてくる。
少なくとも、私の手には負えない。
私の能力を超えているし、このまま粘っても、多分関係が悪化する一方だろう。
そう感じて、
「では、医師に、薬を飲んでみても、何も変化がないということを
お話ししておきますね」
と言って、撤退。
主治医はその日、他の大学病院に研究に行ってしまっていた日だったので不在。
仕方なく、医師への連絡板(というのがある)に、
「○○さんの薬は、効果があるとは思えないので中止でいいですか?」
と書いて、目下研修医とお互い二股中の、同じ病棟を担当している薬剤師に
申し送っておいた。
70歳で、認知症でもないのにあれだけ「へりくつ」をこねられる人というのも
珍しい。
むしろ「天才」は、あなたのほうでは?
と思ったえっせでありました。