ずっと以前、友人達の間で「精神年齢を調べるHP」が話題になったことがある。

数10問の質問に答えて、精神年齢を判定するHPであり、メールでお互いに自分の精神年齢を暴露して楽しんでいた。

でも私はその当時、インターネットを使える環境になかった。

会社の先輩から譲ってもらった白黒画面のノートパソコンを使って、メールだけを利用していたからである。

それでも友人達の、

「私の精神年齢は○○歳だった。実年齢と同じ。」

とか

「ショック! ○○歳だってー。」

などというメールを読むのはおもしろかった。

 

その中で、ある1人の友人から、

「わーい!私の精神年齢19歳だったよー!」

というメールが舞いこんできた。

もうすぐ30歳をむかえる(当時)というのに、精神年齢19歳ってうれしいことなのか?

外見が19歳ならうれしい気持ちもわかる。

でも中身が19歳なんて、ただのバカじゃないか?

若い感性の持ち主だとも言いたいんだろうか?

すっかり呆れ果てた私は、

「それってそんなにうれしいか?」

という冷淡なメールを、やり取りしていた全員に返信したものであった。

 

そのように友人の精神年齢にコメントしてるだけの私であったが、ある友人が、

「そのHPに載ってる質問をメールで送るから、それに答えて返信してよ。そしたら私が精神年齢調べてあげるよ。」

と言ってくれた。

なんて優しい友人なのだろう。

その友人の精神年齢は、実年齢よりかなり上であった。

さすが中身が老けてるだけあって細やかな気遣いができる女だ。

 

早速その友人から、質問が書いてあるメールが届いた。

これでついに私の精神年齢も判明する。

質問は、『はい』『どちらでもない』『いいえ』のどれか1つを選んで答えるというものであった。

項目の中に

「よく無駄遣いをしてしまう」

というものがあり、私は、

「『いいえ』。私はこれでも無駄遣いはしていないと思っている。もし私が無駄遣いをしたら、一家離散である。」

という答えを友人に送った。

友人は私が浪費家であるのを知っていたので、この答えはてっきり『はい』だろうと思い、私に答えさせるまでもないので、勝手に『はい』にしようと思ったが、一応訊いてみたと言っていた。

なんて失礼なっ!

その当時、子供までいた私がそんな無駄遣いするわけないだろうが。

信用ねーなー、私って…。

そんな金遣い荒く見えるか?(見えるのだろう。)

 

また、

「バカ騒ぎが好きだ」

という項目もあった。

それには、

「『はい』。バカのつく言葉は好きだ。バカ正直、バカ力など。」

と答えた。

そういう意味じゃないだろう。

本物のバカだな、私って。

日本語も理解できないようである。

 

その他の質問も答えて友人にメールをした。

あとは友人からの「判定結果」を待つだけであった。

私の精神年齢は果たしていくつなのだろうか。


そしてついに友人からのメールが届いた。

期待に胸を膨らませてそのメールを開くと、

「16歳だった。」

とう答えが…。

ウ・ソ・だあああ!!

私はもうすぐ30歳をむかえる大人であるというのに(当時)、中身が16歳とは…。

他の人の「判定結果」には、気の合う有名人の名前も載っているのに、それすら記載されてない。

こんな精神年齢16歳の大人と気の合う有名人なんて、この世にいないらしい。

ショックを受けていると、あることを思い出した。

私は、精神年齢19歳だった友人をすでにバカにしているのだ。

これはまずいと思った私、速攻で質問の答えを何問か訂正し、友人に、

「この前のは間違いだった。これが本当の答え。」

とメールして、また判定しなおすことにした。

親切で私の精神年齢を調べてくれた友人に対して、二度手間をかけさせるとは…。

精神年齢どうこういう前に、私は相当性格の悪い女であると見た。

 

これで私の精神年齢も、実年齢に近くなるはず。

そう思っていた私のもとに、友人から「判定結果」のメールが。

早速確認すると

「17歳。やっぱりこんなのだった…。」

という答えが…。

それを読んだ私は、一気に体中の力が抜けた。

もう質問の答えを訂正する気もない。

何度やっても10代のような気がしてきた。

それにしても、見かけは立派な大人なのに、中身は女子高生の私って?

妖怪か?

 

そして33歳になった今、私は再度その「精神年齢を調べるHP」に挑戦してみた。

すると、その結果は「21歳」であった。

もう私の中身は女子高生ではない。

でも実年齢との差は、前と変わってないような気も……。

 

 

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