私は子供のころから動物好きであり、今までにさまざまな動物を飼った記憶がある。
動物にとって飼われるというのは、非常に理不尽なことであるらしく、なんとか逃げ出そうと奮闘するものである。
そして、私も多くの動物達に逃げられた経験がある。

私は小学生の頃、カニを買ってもらったことがあった。
それは結構でかいカニで、横幅が7~8センチはあったと思う。
私はそのカニを子供用のバケツに入れて飼うことにし、そのバケツを玄関に置くことにした。
次の日、カニを見に行った私は目を疑った。
なんとバケツからカニが忽然と姿を消してしまったのである。
カニは、バケツの高さなどものともせず、逃げ出してしまったのだ。
当然カニは見つからず、私は大変ショックを受けた。
でも、時の流れとともに、そのカニのことは忘れていった。
 

そして、カニが行方不明になって半年ほど経ち、大掃除の季節が訪れた。
ある日、台所の奥に置いてあったゴキブリホイホイを確認していた母が急に大声を上げた。
何事かと思って駆け寄ると、ゴキブリホイホイの中に、以前逃げ出したカニが身動きひとつせずいるではないか!
あのカニは、ゴキブリホイホイの中で生涯を終えたようであった。
かわいそうなカニ、安らかに眠って下さい。
それにしても私、ちゃんとカニの飼い方勉強してから飼えよー。
でもその当時の私にとって、カニは飼いたくなるほど魅力的だったのだろうか?
私は子供のときから変わったもの好きだったんだなあ。
…と、今頃気付く私であった。
 

また私は小学生の頃、長い間セキセイインコを飼っていた。
今でも、動物の中で1番かわいいのはセキセイインコだと信じているほど、私はセキセイインコを愛してやまない。
でも今は飼っていないし、将来も飼うつもりはない。
死んだときの悲しさは、例えようもないほどの苦しみであるからだ。
私が飼っていたセキセイインコは手乗りであったため、私はよくインコをカゴから出して部屋に放し飼いにしてかわいがっていた。
その日も私は部屋で、かわいいインコちゃんを肩や手に乗せて遊んでいた。
ところが、ちょっと目を離した瞬間、インコちゃんの姿が見当たらなくなってしまった。
探せども探せども全然インコちゃんは見つからない。
部屋のドアは閉まっているから、この部屋にいるのは間違いないにもかかわらずだ。
あらゆるところを探した後、やっとインコちゃんを発見した。
インコちゃんは、立てかけてあった丸めたポスターの中に滑り落ち、身動きできなくなっていたのだ。
インコちゃんは唾液まみれになり、相当苦しかったと思われたが、命には別状はなかった。
そのとき、私はインコちゃんの発見と生還を心から喜んだものであった。
でも、セキセイインコって、やっぱり鳥だけあってバカなんだなあ。
うっかり落ちてしまったのだろうが、死体となって発見されてたら、飼い主の私も泣くに泣けないところであった。
 

実は、私は窓からセキセイインコに逃げられてしまったこともある。
その日も、私はいつものように部屋にセキセイインコを放し飼いにしていた。
途中で喉が渇いた私は、ジュースを飲むことにした。
台所でコップにジュースを注いで飲んでいると、何かが目の前をすごい勢いで横切っていったのに気付いた。
その何かは、10センチほど開いた台所の窓から外に出て行った。
私はすぐに状況を把握した。
大事なインコちゃんが窓から逃げてしまったのである。
前にもインコちゃんが窓から外に出て行ったことはあった。
そのときは、インコちゃんはベランダの手すりに止まっていた。
私は、今回もインコちゃんは手すりにいるのではと思い、すぐに窓を開けて、手すりなどを確認した。
でもインコちゃんの姿を見つけることはできなった。
焦った私は、外に出てインコちゃんを無我夢中で探した。
でも結局インコちゃんは見つからなかった。
 

私はものすごいショックを受けた。
ちゃんと窓を確認していれば…、放し飼いにいていた部屋のドアを閉めていれば・・・。
いくら後悔してももう後の祭りである。
ところが、そこであきらめる私ではなかった。
私は、当時住んでいた団地を一軒一軒訪ね、
「セキセイインコが逃げてきませんでしたか?」
と訊いてまわったのである。
小学生のくせにすごい執念である。
そして私は何十件目かの家で、やっとインコちゃんを見つけることができた。
話を聞くと、その家に住む少年は迷い込んできたインコに大喜びし、大変かわいがっていたようであった。
 

でも少年の母親は、目を真っ赤にしてやってきた私を見かねて、すぐにそのセキセイインコを返してくれたのだ。
そのときの喜びは、言葉では言い尽くせないほどであった。
私の執念は無事実ったのだ。
私にとって、今もそのときの思い出は忘れがたい宝物である。
でも、インコちゃんが見つかったおかげで、私は執念深く、根に持つタイプの性格の悪い大人になってしまったような気がする。
良かったんだか、悪かったんだか、自分でもわからない。

 

 

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