私は今までの人生において、1度だけ占い師に占ってもらったことがある。
それは、私が大学時代のことであった。

その当時、私は同じ大学のK先輩と付き合っていた。
K先輩は私にとって初めてお付き合いする男性であり、K先輩にベタ惚れだった私は、K先輩に対して尽くす女であった。
付き合い出して1年ほど経った頃、そんな私が重荷になったのか、私はK先輩にフラれてしまった。
私はものすごくショックを受け、K先輩と一緒に所属していたクラブ活動も行けなくなってしまった。
なんとかK先輩とヨリを戻したかった私は、わらをもつかむ思いで原宿の「占いの館」を1人で訪れた。
占い師にK先輩とやり直せる方法を訊きたかったのだ。
 

私が見てもらった占い師は、にこやかな白髪混じりのおばさんであった。
私は、涙ながらに
「K先輩と、なんとかやり直したいんです。」
と占い師に訴えた。
でもその占い師、
「そのK先輩とは、もうやり直すことはできません。」
と非情な言葉を私に投げかけた。
その上、
「でもあなた、行かなくなってしまったクラブ活動にはちゃんと行かなくてはダメですよ。」
と説教まで始めたのである。

ただでさえ暗かった私は、その占い師の言葉で、もう奈落の底に落ちたようであった。
それから占い師は私の手相を見て、
「あなたは長生きしますよ。それに結婚後は、安定した生活を送れますよ。」
と、そのときの私にはどうでもいい情報まで提供してくれた。
最後に占い師は、
「K先輩はこういう顔ですね。」
と言って、K先輩の似顔絵を描いてくれたが、それはK先輩そっくりであった。
占い師の似顔絵通り、K先輩の顔はハーフっぽい目の大きい顔であったのだ。
なんでこいつわかるんだよ。
ただものじゃねーな。(だから占い師だって。)
…と私は、すっかりビビってしまった。
今でもはっきり覚えているが、そのときの占い料金は3000円であった。
 

その後、私は占い師の言う通り、行かなくなっていたクラブ活動に顔を出した。
ところが、Iという大バカ野郎が私に向かって、
「お前、ずっと無断欠席してたんだから、みんなに謝れよ。」
と冷たく言ってきた。
これでも勇気を振り絞って、やって来たというのに…。
なんで私がみんなに謝らなくてはならないのか?
まだクラブの部長に言われるならわかる。
でも、てめえは偉くも何ともないだろ!
私は腹が立ち、もう二度とクラブ活動に行くことはなかった。
占い師の言う通りにしたのに、こんな目に会うとは…。
せっかくのアドバイスも、私には逆効果であったらしい。

その後、K先輩と別れてしばらく経つと、私はK先輩と別れてよかったんじゃないかと思えるようになってきた。
K先輩は、あまり性格がいいタイプではないと思えてきたのだ。
私は、私を心配してくれた友人に、
「今、K先輩と付き合ったら、きっと私の方が半日で嫌になるよ。」
と言えるほど、私は立ち直っていた。
すると、その私の言葉を聞いた友人は、
「私だったら、あんな男とは1秒も持たないね。と言うより最初から付き合わない。」
とはっきり言い放った。
私はそんな男と付き合っていたというのか?
若い頃とはいえ、なんて男の見る目がない女だったのだろう。
それからの私は、K先輩などというつまらん男のことは、さっさと忘れていった。
 

ところが、もう二度とその名前を聞くことはないだろうと思っていたK先輩の名を、私は数年後に聞くことになるのだ。
大学を卒業して会社で働き始めた頃、同期入社の男が私に向かい、
「まさこさん(私)の元カレ知ってるよー。」
と言い出した。
話をよく聞くと、知ってると言ってもそいつの友達が知ってるというレベルらしかった。
どの男だろうと思っていると、どうもK先輩のようである。
「その元カレ、超カッコイイらしいじゃん。」
とビックリするようなことまで言っている。
あの男の、どこがカッコイイのだ?
私も付き合っていた当時はそんな錯覚に陥ったかもしれないが、思い出してみてもちっともカッコイイとは思えない。
でも、男が男をカッコイイって言うのって、信用できないばかりか、気持ち悪いものがある。
それにしてもそのときは、忘れたはずの男のことを聞いて驚いたものだ。
 

月日は流れ、今の私はというと、占い師の言った通り、事故にも事件にも巻き込まれない安定した生活を送っている。
あとは、長寿を全うするだけだ。
長生きでも、ボケてたら嫌だな。
でも先にボケたもの勝ちか。
 

ちなみに大学時代に私の所属していたクラブ活動とは、体育会のバレーボール部であった。
体育会系の好きだった私は、バレー部のマネージャーをしていたのだ。
恥ずかし!(何が?)

 

 

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