今回、友人が語っていたお話です。

友人の体験談というより、友人は物思うのでした。

そういう感じで語っていたのを、今回、記してみました。 



 


 東京のOLをしていた頃、私は風が嫌いだった。47の3DKのマンションに独り暮らし。窓は三箇所あったが、15年間の間に何度開けただろう。一年間、一度も開けなかった年もある。
 それは間取りのせいが60%、あとの40%はやはり風が嫌いだったからだ。8年後、1LDKにリフォームするまで、南側の和室と洋室には滅多に足を踏み 入れなかった。北側の寝室と、窓のないダイニングキッチンだけで暮らしていたのである。私は、自分の家が嫌いだった。

 リフォームが完了すると、私の家ほど快適な空間はなかった。南西に向いた17畳のリビングルームは、明るくてその殆どが開口部だった。それでも窓際まで 到達することはなく、大きなダイニングテーブルに座り、わき目も振らずにワープロを打っていたのである。洗濯物は全部浴室に干していたし、当時はクリーニ ング店を頻繁に利用する生活だった。

 大阪に来て、洗濯物を殆ど外に干した経験のない私には少し抵抗があったが、次第にそれも当たり前のことと思えるようになった。

 ワンルームマンションに住み15ヶ月。ドラム式の洗濯機を使うようになって、寝具やジーパンを洗うと皺が取れないことが判明する。アイロンもきかない。 必要に迫られて洗濯物を外に干さなくちゃと、このとき初めて思ったのだ。風がなければ洗濯物は乾かない。随分時間が掛かったが、今ようやく風の有り難味を 実感している。風が吹いたら洗濯日和。
 独り暮らしが長過ぎると、常識では計り知れないヒトが出来上がるかもしれない。
 

 

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