昨年から全く更新出来ていない。問題だね。ここで言い訳だけど、昨年からずっとESP-rの入門書を書いていた。やっと出版できたけど本の名称は「ESP-rとRadianceによる建築環境シミュレーション入門」、出版社はオーム社です。

このURLに詳しい内容は記載されているので興味ある方は是非、購入してお読みください。

URLhttp://ssl.ohmsha.co.jp/cgi-bin/menu.cgi?ISBN=978-4-274-21016-7

週末は本当に朝早くから本の執筆に取り掛かってたし、一方で、LEAD Projectの更新や内容の確認、新しいisoファイルの作成と結構な時間を費やしたので。ブログには手が回らない状態が続いてました。

3.11、金曜日でしたが通院後、自宅で身体を休めながらの原稿修正中。出版を4月にひかえていたため、校正の真っ最中でした。出版社の方に電話したのは震災から数日後、余震の続く中でおはなしをしました。

ビルの7階だそうで、揺れている最中にも作業をされており、感謝でいっぱいでした。本当に大変な環境での作業。少し遅れましたが4月15日には出版できました。

さて、少し落ち着いてきたのでブログの更新も進めなければダメですね。ESP-rを使ったケーススタディもWeb上で行っています。まだまだ、ケーススタディは少ないのですがまとまったら何らかの形にしたいと思っています。
酷暑、猛暑、本当にどうなってるのか。「本当の心地よさ」などと暢気な事を言っていて良いのかという疑問を持ってしまう。さて、本当に心地よい涼しさについて少し考えてみる。昔、土蔵の中に入ってひんやりとした経験を持った方も多いと思う。これは、土蔵を構成している土の熱容量に起因する。

熱容量を生かして住宅を設計すれば、冷房に余り頼る事無く快適な生活ができる。これは、単に経験則ではなく、日本建築学会でも発表されているし、コンピュータシミュレーションでも簡単に予測できる。どんな、コンピュータシミュレーションでもこの熱容量の影響は計算できるはず。できなければ、シミュレーションの意味がないから。

どうすれば、熱容量を生かす事ができるか。これは断熱材を建物の外側、外気側に施す事が前提となる。断熱材を外に施せば、室内側に熱容量の大きな材料(RC造であればコンクリート)が露出する。さて、これを外気が冷房設定温度以下の時間帯にその外気によって冷やす事が重要となる。今年の様に猛暑ではと思われるが、それでも27℃以下になる時間帯はあるだろう。そこで開口部から大量の外気を室内に送り込み、室内の温度を外気と等しくする。

外気が27℃より高い時には空気の導入をやめ、そしてもし日射がある天気であれば、窓の外側で日射を遮る。例えば「よしず」を2重に置いたりして。朝顔を育てても良いかも知れない。必ず窓の外側で日射を遮る。これで、熱容量が十分ならば室温は27℃程で推移するはず。もし、上昇したらエアコンを使う。

上でRC造しか出来ない様に書いたが、木造住宅では熱容量を積極的に増やす工夫がいるかもしれない。思いつくのは土。土壁はかなり大きな熱容量を持っている。加えて土間か。祖父の土間のある農家は涼しかった。土間や土壁を利用し、夏、熱容量を利用できれば本当に心地良く過ごせると思う。

こんな住宅を実現するために「デザインツール」はあるのです。役立てて欲しいな。
ESP-rを紹介したりしているが、自身で開発に関わっているシミュレーションソフトがある。名前はSolar Designerというが、建物の室内環境を簡単にシミュレーション可能だ。ESP-rと開発を開始した時はほぼ同じ時期で、1970年の終わり頃だと記憶している。ESP-rもSolar Designer(研究用はPASSWORK)も当初は単室で、室温変動が計算できればという本当に研究用に開発されたもの。しかし、開発のベースがESP-rはワークステーション、Solar Designerは8bitマイコンだった。

開発のベースが違ったので発展も異なり、ESP-rは多くの研究者が参加し、非常に高機能なシミュレーションプログラムに発展したけど、Solar Designerは8bitから16bit、そして32bitへとパソコンが進化するにつれ高機能化はしたけど、未だに単数室の計算しかできない(理論上は複数室も当然可能)。ただ、GUIはかなり高機能だし、計算も速く、単数室しか扱えないという事を除き、かなり高機能ではある。幾つかの大学で教育に使ってもらっているし、設計事務所でも計画の初期段階で利用されていると聞く。

伝熱理論などを知らなくても、室内の温度変動や熱負荷も計算できるので、色々と便利。例えば、teitterで以下の事を呟いたけど、これもSolar Designerを使って得た知見。

(つぶやき)
断熱性能が平均室温を決め、熱容量が室温変動を決める。(冬)

断熱性能での優劣は平均室温の上下は決める事が可能。断熱性能(Q値)が高ければ、平均室温は高い。だから高気密、高断熱は冬の平均室温は高い。でも、室温変動は分からない(室温変動率なるものもあるけど)。もし、平均室温のみを計算するのであれば、極論するとシミュレーションする必要はない。室温変動は室内の熱容量に影響を受けるから、熱容量を加味した計算をする必要がある。熱容量は変動のタイムラグを引き起こすから、絶対にシミュレーションしなければ。

手計算で平均室温は計算できるけど、室温変動とそのタイムラグを含めた計算はシミュレーションを用いないと不可能なのです。